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「今度は雑誌の仕事をやることになり、私のレシピを人様に紹介してお金をいただくからには、私しか伝えられないような何かを持つべき、と思ったの。で、行き着いたのが“理にかなったもの”。調味料を入れる順番とか、料理の手順にはすべて理由があるの。反対に、昔から常識のように言われていることでも、自分で作ってみて、そうだと納得できなければ採用しない。たとえば、ゴボウは必ず皮をこそいで、とある。でも私は自分の経験で、ゴボウはアクがあってもおいしいし、皮付きのほうが香りが楽しめるって思うから私のレシピでは皮付きのまま使うことにしてる。
同じことは生活全部に言えると思うの。皆、“自分の趣味”をもっと貫くべきじゃない? さして料理がうまいわけでもない私がこの道に進んだのはただ“人と違うことがやりたかった”から。人と違うことがカッコイイ、と思って生きてきたの。 料理好きは聡明な女だとか、さも、料理上手がいい女の条件みたいに雑誌なんかでも散々煽っているけど、そんなこと信じちゃダメ。おもてなし、っていうのは手料理を作ることじゃないの。下手な手料理作られてもおいしくなければ楽しくない(笑)。お料理が苦手だったら、よいお皿を1枚買って、お店で買ったおいしい料理をのっければいいの。音楽好きな人だったら、その人のセンスで編集した音を部屋に流せば、それで立派なおもてなし。すべて自分で決めなさい。いろんなメディアにあまり踊らされちゃダメよ(笑)」。
松田さんはいつも美しい姿勢で料理をする。背筋がピンと気持ちよく伸びている。そしてそれは彼女の生き方にまさしく通じていると思う。常に自分で考え実践し、自分を、そして自分の世界を築き上げてきた人だ。ときおり、少女のような屈託のない表情になり、好奇心でキラリと瞳が輝く。きっと“ジェロ”を初めて口に入れたときもこんな瞳だったんじゃないのかな。
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