カフェグローブ 知的キャリアの高感度サイト cafeglobe

ニュース 政治・経済ネタも世界の旬情報もナナメ読み

更新日:2001年4月3日 RSS


013
C.W. ニコル Clive Williams Nicol
環境問題は、そのままあなたの
健康の問題なんです

C.W. ニコルさん  
C.W. ニコル/作家

1940年、英国ウェールズ生まれ。17歳で家出をしてカナダに渡り、政府職員として北極圏の生物調査などに携わる。環境保護官などの仕事を経て、69年から日本に暮らす。長野県黒姫山の懐に暮らし、執筆活動と自然保護活動を行っている。95年に日本国籍を取得。主な著書に、『森を愛さぬ日本人』『風を見た少年』『勇魚』など。

母体に溜まっていたPCBの半分が
生まれてくる子どもに出てしまう恐ろしさ
 
  予想通り、熊さんのような人だった。握手をした手は、ものすごく分厚い。言葉を選びながらゆっくりゆっくり、やさしく話してくれる。長いこと、自然の素晴らしさや脆さを人々に語りかけてきた人の、静かだけれど重みのある声と言葉。

  長野県黒姫山の懐で自然と調和した暮らしをしながら、小説やエッセイの執筆活動、生態系を無視した公共事業批判などの活動を続けているC.W. ニコルさん。今回は、4月21〜22日に世界中で同時開催される地球環境イベント『アースデイ』のアピールのため、インタビューに答えてくださった。

 「僕の本当の専門は、イルカなど海のほ乳類。特に北極海のイルカ、アザラシ、セイウチなどです。カナダの北極圏に暮らすイヌイットの人々はアザラシを主食にしているんですが、このアザラシの体に蓄積されているPCBを調べたんですが、すごいことがわかったんです。

  クジラやイルカなど、海の生態系のいちばん上のほうにいる動物は、PCBやダイオキシンなどの有害物質が体内に濃縮されます。アザラシの場合も同様で、内臓や脂肪から高濃度のPCBやダイオキシンが検出される。でもね、オスとメスで有害物質の濃度に差があることがわかったんです。子どものうちはオスもメスも同じくらいずつ蓄積していくんですが、生殖年齢の5歳くらいになると、メスのほうだけガクンと半分くらいに落ちる。これが何を意味しているか、わかりますよね?」

有害物質がさらに子どもの体内に濃縮される、ということですね。

  「そう、子どもに行くんです。僕はもう孫もいるし、いちばん小さい娘はまだ15歳。彼女たちが子どもを作るときに、今の環境が信用できるものかどうか、それがすごく心配です。人がほとんど住んでいない北極でさえ、風や海流に乗って運ばれる有害物質で汚染されているんだから、心配しないわけにはいかないですよ」
千葉県知事になる堂本暁子さんは
僕の大好きなガールフレンド
  ニコルさんたちが調べたところ、黒姫山の周辺だけで、不法投棄のゴミ捨て場が2000以上確認されているという。ゴミの中身は、重金属や有害な化学物質を含んでいる可能性が高い産業廃棄物や医療廃棄物。ほとんどが都市住民の飲み水にもつながっている水源地帯なのだそうだ。

  「僕たちはそんな水を飲んでいるんです。で、子どもが生まれるでしょ、そして母乳をあげるとき、あなたは心配しないでいられますか? それを僕は一番心配してるんですよ。環境問題は、そのままあなたの健康の問題なんです」

  環境のことをマジメに考えると、どうしても政治に行き当たる。やっぱり私たち市民ひとりひとりが政治を変えようという意識を持たなければ……と言うと、ニコルさんは大きくニッコリしながら「僕の大好きなガールフレンドの話をしましょう」と言う。

  「それは堂本暁子さん(千葉県知事に当選)。彼女は本当に環境や文化・健康を考えている人。その彼女から聞いたんですけれど、ゴミ関係の透明でないお金は、日本だけで1年で4兆円にのぼるそうです。10年前のデータだそうですけど」

 え!? 政治がらみで、ゴミの融通をつけるために動いているお金ということですか?

 
 「みんながもし、“この国のゴミ問題は相当ヤバイ、なんとかしよう”と認識して、この“Dirty Money”“Black Money”を全部テーブルの上に出して正しく使えば、まず経済が活発になりますよね。やりようはいくらでもあるはずなんです」
故郷のウェールズ語で
「風の谷」を意味するNPOを設立

 東京で開かれる『アースデイ』のイベントで、ニコルさんは『アファンの森基金』NPOの設立を発表する。

  「日本の森と生物の多様性、日本の自然は素晴らしい財産です。これをどうしても守りたい。それで16年前から、自分で土地を買って、地元の人を雇って、健康な森に戻そうとしているんです。その森の活動を今後はNPOとして広げていきたいと思っているんです」

  『アファン』とは、ニコルさんの故郷、ウェールズの言葉で「風の谷」を意味する。16年前、伐採で荒れ果てた森も、少しずつ働きかけに答えてくれるようになってきているという。このまま、この森を永遠に残すため、そしてこの森で得た研究結果と成果を多くの人に知ってもらうためにNPO設立を選んだ。

  この『アファンの森』の発表ブースは、代々木公園内のアースデイ会場に設置される予定。21日と22日の両日とも、ニコルさんもいらっしゃる予定だそうなので、ぜひ足を運んでみて欲しい。
Clive Williams Nicol


C.W. ニコルさん
C.W. ニコルさん

ニコルさんのオススメサイト
じつは、インターネットはまったくやらないというニコルさん。「イギリスにいる娘に、メールは便利だからやれやれって言われてるんだよね。でも僕ができるようになるにはあと20年かかる」とのこと。
そこで、今回お話に出てきた堂本暁子さんと『アファンの森』のサイト、アースデイの公式サイトをご紹介します。
■堂本暁子オフィシャルサイト
  http://www.domotoakiko.to/
■アファンの森
(アースデイ初日4月21日オープン)
   http://www.afannomori.com/
■アースデイ東京
  http://www.earthday-tokyo.org/



Text / Aoki Yoko (Cafeglobe.com)
Photos / Cafeglobe.com