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更新日:2002年7月18日 RSS

Views for thought  今、注目のひと今、旬な人にインタビュー。その人の生き方や考え方から
なにかを感じとってもらえれば……。
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江戸の粋を演じ、現代の粋に生きる
 清水美砂  SHIMIZU Misa / 女優
 
  
清水美砂さん1970年東京生まれ。87年に『湘南爆走族』でデビュー。91年『稲村ジェーン』で第14回日本アカデミー賞新人賞を受賞。92年には『おこげ』『シコふんじゃった』『未来の思い出』に出演し数々の映画賞を受賞した。97年カンヌ国際映画祭パルムドール賞受賞の『うなぎ』や、01年のカンヌ出品作『赤い橋の下のぬるい水』に主演し、海外でも注目される。新作『海は見ていた』では女郎役に挑戦。現在はアメリカ在住。
  
プロとして筋を通す生き方に共感
 
   黒澤明監督の遺稿脚本を熊井啓監督が映画化した『海は見ていた』は、江戸・深川の岡場所を舞台に、そこで懸命に生きる遊女たちの物語である。彼女が扮する菊乃は、若手のお新や仲間の女郎たちに姐さんと慕われる役どころで、作品のテーマでもある江戸の“粋”を見事に体現している。
 
 「菊乃という女性は、自分の職業にプロ意識を持っていて、“客が惚れても客には惚れず”という、岡場所に生きる女としての筋を最後まで通そうとする。そんな彼女の生き方そのものに“粋”を感じましたね。ただ、悪い男にひっかかっているとわかっていても、離れられない情も持ち合わせている。何となくわかりますよね。そういうところも理解できるなって、最初に脚本を読んだときから共感を覚えました」
 
 
   大洪水で建物が水没し、もう最後かもしれないとなったときに、お新と二人で一番よい着物に着替える。あのシーンは、不思議とリアリティがあった。
 
 「私も好きな場面です。菊乃のような強い女性って、潔く死んでやるって言うのかなって思ったら、やっぱり最後まで女性であり続けるんですね。本当は死装束なのに、お新にそう言われると“馬鹿をお言い!”なんて怒っちゃってね(笑)」
 
 
   菊乃はとても粋で、強くて、潔いのに、スクリーンに映し出された姿にはどこか悲しみがある。その辺は、どう演じているのだろう?

 
着物を脱いで、化粧を落として、自分に戻る
 
   小道具など細部にまでこだわった映画からは、江戸の文化、そして“粋”が十分に伝わってくる。そんな中でも江戸の“音”が素晴らしいそうだ。
 
 「とにかく映画館に足を運んで観てほしいですね。というのも、この江戸時代の“音”っていうのが何とも居心地いいんです。江戸風鈴の涼やかな音色や、シーンとしずまった夜に聞こえる鈴虫の声。今ではめったに体験できない音を楽しんでもらえるのも、暗い映画館で大スクリーンに入り込める映画の面白いところだと思います」
 
 
   プライベートまでギチギチに役づくりを考えているタイプじゃないという彼女。撮影現場の控え室に6ヶ月の子どもを連れ、授乳しながらの撮影だったそうだが、遊女と母親の切り替えは難しいのではないだろうか?
 
「この作品は江戸時代なので、メイクやカツラで自然と気持ちも切り替わりました。現場に入ると娘のことは忘れるくらい。そして撮影が終わると、1枚1枚着物を脱いで、厚く塗った化粧もスッキリ落として、うまい具合に遊女から本来の自分に戻ります、ハイ(笑)」 
 
   巨匠たちの作品への出演を重ね、実力派女優として高い評価を得ている彼女が、この映画で、また新たな一面を見せてくれた。「やっぱり、グダグダ言わないことが“粋”ではないかと思う」。そんな風に格好よく生きていきたい。
  
 

「海は見ていた」
脚本:黒澤明 
監督:熊井啓 
原作:山本周五郎 
製作:「海は見ていた」製作委員

2002年7月下旬渋谷東急他、全国松竹・東急系にて、一斉ロードショー

公式サイト:http://www.umiwamiteita.com/



Text / Sato Shoko
Photos / Takiura Tetsu
清水美砂さん
古裂や古布を現代のデザインにアレンジしたhana ouiのドレスは、清水さんの演じた江戸・深川の粋な女を思わせる。
   
 
 
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