カフェグローブ[048] 安藤優子 / ジャーナリスト・キャスター 自分を変えたいなら、まずカラダから変えてみたらいい - インタビュー

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更新日:2003年7月7日
Views for thought  今、注目のひと 今、旬な人にインタビュー。その人の生き方や考え方から
なにかを感じとってもらえれば……。
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自分を変えたいなら、まずカラダから変えてみたらいい。
  安藤優子  Ando Yuko /ジャーナリスト・キャスター
 
   
安藤優子さん 「FNNスーパーニュース」(フジテレビ系)のメインキャスターとして活躍中。高校時代にアメリカ留学を経験、その顛末を著した『あの娘は英語がしゃべれない!』(集英社文庫)は笑って、唸って、ホロリとなれる1冊。また、20年間のジャーナリスト生活を総括する渾身のエッセイを近く上梓予定。
   
10代の大失恋、彼女はいかに克服したか?
 
  数年前、安藤優子さんに初めてお会いしたときにうかがったのが、10代の頃に経験したという大失恋の話。テレビでのイメージをいい意味で裏切るような一面を見せてもらって、それはもう嬉しくなってしまった。その人間らしさに拍手した。彼女もまた失恋するんだ、という驚きではない。その克服法に「おおっ」と唸ったのだ。

  大失恋をした彼女は、もちろん激しく泣いて。けれど、そこからがスゴイ。スキー板をかついで雪山へ。若い女性がたったひとりで、1ヶ月も山にこもってガンガン滑りまくっていたというのだ。しかも、「スキー? そのとき初めて板、履きました。1ヶ月で上達するもんですよ、アハハ」と彼女。思わず、「姐さんと呼ばせてください!」と言いたいくらいだった。
 
 「他にうまく立ち直るきっかけがないタイプなんです。全然できないことをカラダ全体を使って克服することによって、ココロもいつの間にか困難を乗り越えてる。非常に動物的にそうやって生きてきたら、うまくまわって来た。そんな感じですね」
 
 
  何か大きな障壁にぶつかって精神的につらくなったとき、カラダにも大きな障壁を与えてみる。カラダが壁を乗り越えたとき、ココロもしっかりついて来るというのが安藤さんの持論なのだ。
 
自分が「こうありたい」と願うイメージから離れていくとき、どうする?
 
  さまざまな大きさの障壁にぶつかっては、そうやって克服してきた彼女が、そう遠くない過去に大きな精神的ダメージを受けたのだという。もう10代ではもちろんなくて、これほど社会的に成功している日本女性も少ないと思われる彼女でも自己嫌悪に陥るとは。その壁は、40歳を過ぎた頃にやって来たのだという。
 
 「40代になっても、不規則極まりない生活を続けてきていて。でも、自分では『気持ちはまだ30代、何も変わってないわよ』って高(たか)をくくっていたわけです。でも、やっぱりカラダは違う。そうは問屋が卸さない」
 
 
  贅肉はつき、体重は増える。今まで似合っていた服が似合わない、シャツもカッコよく着こなせない……テレビ画面は誤魔化すことができたとしても、「自分の中からシャープさみたいなものがどんどん失われていく」ことを、誰よりも自分が判っているという状態。
 
 「丸みを帯びたカラダの良さももちろんあるでしょうけれど、自分が『こうありたい』と願うイメージは、とても大切だと思うんです。けれど、そこから逸脱しちゃってる自分が、もう暴走しちゃってるわけです。それが、イヤでイヤで。

  ココロとカラダのアンバランスに、はまっちゃったんだと思うんですよね。自身が映る映像を努めて観ないようにしていた時期もありますよ。なんでこんなになっちゃったんだろうっていう自己喪失感。今考えると、くだらないんですけれどね」
 
 
  快活に笑いながら話せるようになったのは、安藤さんがそんな自分を変えることができたからだ。
 
自分の意志で自分を変えられたとき、自分を好きになれた
 
  「自分をコントロールできてないときって、すべてがイヤなんです。番組もイヤ、写真もイヤ、自分の物事の進め方もイヤ……自己否定の時期ですよ。けれど、その原因を作っているのも、やっぱり自分でしょ。だったら、変えられないはずはないって思った」
 
  「まずはカラダを動かす」という“安藤流克服法”を迷わず実践、である。ピラテスとウエイト・トレーニングはそれぞれ週2回のレッスンをこなし、他に有酸素運動も怠らない。「やる」と決めたら、「とことんやる」のが彼女流(お酒も、飲むときは「とことん」らしい)。言うは易しく行なうは難しなのだが、そこをやってしまうバイタリティーが“人並み”をはるかに超えている安藤さんなのだ。

  自分の意志で自分を変えられたとき、初めて自分を認められたのだという。「自分を受け入れられたし、好きになれた」と。ニュース番組を冷静にリードし続けていた安藤さんの内面で、そんな変遷があったのか……。
 
 
  「贅肉が落ちてカラダが変わって、とにかく気持ちが軽くなりました。『精神的にここまで変われるものか』と。空の色さえも違ってみえるんですよ。……この話を始めると私、突然宗教家みたいになっちゃうわよ(笑)。

  どんなことも気の持ちようだと、みなさん簡単におっしゃるけれど。じゃあ、その気持ちを変えるためにはどうしたらいいかって、そのノウハウはなかなか判らないんですよね。だから、気持ちも変えられない。私の場合、自分のカラダを自分でコントロールするっていう征服感を味わったときに、ストレスをコントロールできないという呪縛から解き放たれたんです 」
 
  爽快な面持ちで語られると、私たちでも見習えるかもしれないと思えてくる。もちろん、安藤さんほどは頑張れないかもしれないけれど……いや、カラダを動かすことならば、誰もがトライできるではないか。そして何より、真似てみようかと思える説得力に溢れたカラダが目の前に存在していた。
 
 
次なる目標は、リラックスできる自分になること!?
 
  一時は、ジムに行かない日がなかったという彼女だが、最近は少し考え方を変えなければ、と痛感しているらしい。なぜならば……
 
 「突発性難聴になった上に、左ふくらはぎも傷めて。みんなには『ホラみろ! 寝る間を削ってトレーニングやってるからだよ』って鬼の首を取ったように言われて。それでも、「とにかく休息を取ってください」という医師に、「先生、運動はしていいでしょうか?」なんて聞いてましたね(笑)。けれどハッと気づいたら、この半年間は休日がなかったんですよね、私。にもかかわらずトレーニングには励み、イラク戦争などの特番もこなして……自分でも『こりゃ死ぬわ』って思った。けれど、やっぱり2週間も何もできないとなるとふて腐れちゃうんすよ」
 
 
  そう。安藤さんは、ボーッとしていられるタイプではないのであった。「ひとり暮らしで、なんでそこまできれいに片づけてなくちゃいられないの?」、「パジャマ姿で過ごす休日とか作りなさいよ」と友人だちに言われてもなお、「ついつい張り切っちゃう」のだという。……人にはそれぞれ解決すべき問題があるらしい!?
 
 「ドクターストップがかかってブーブー言ってたときに、友人から言われたんです。『聞けよ。猿だって、鳥だってちゃんと休むんだよ』って。猿は群れてエサを食べた後、必ず樹上の自分の場所でまずは寝るんですって。何もかも忘れて。だからこそ、次の移動に立ち向かえるらしいんですね。ヒマラヤを越える鳥たちも、上昇気流に乗れないときは次の日、一度休んでから翌々日に再トライするそうです。うんっ、これからは抑制の効いた、張り切らない私を目指してみます」
 
 
  一般的にはとても考えにくいことだけれど……彼女にとってリラックスすることとは、「ワークアウト週4回」なんかよりもよっぽど難しい課題かも。意外な苦手科目と奮闘することになるやもしれぬ安藤さん、健闘をお祈りしていますっ。
   
 

◆安藤さんがキャスターを務める「FNNスーパーニュース」のオフィシャルサイトはこちら



◆ロングセラーの著書『あの娘は英語がしゃべれない!』の購入はこちら。(amazon.co.jp)




Text/ Matsumoto Noriko(Cafeglobe.com)
安藤優子さん
安藤優子さん
「カラダが、肉体が最初にあるんだなと思ったのは、鶴見和子さんを見ていてなんです。半身不随になられてから詠まれた歌の死生観が、私がかつて存じ上げていたフェミニズムの闘士である彼女からは想像もつかないものだった。それは前進でも後退でもないんだけれど、肉体の在り様によって精神はここまで変わるのだと驚かされました」
 
 
 
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