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No.071
すでに400万本! 話題のホワイトバンド 記者会見を聞いてきました
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中田選手やSHIHOさんがパチッと指を鳴らすあのテレビCMであっという間に広がった「ほっとけない」版ホワイトバンド。これまでなんと400万本も売れたのはいいけれど、「寄付じゃなかったの!?」「お金はどうなる?」という声がネット上などに殺到。11月8日、同キャンペーン事務局の記者会見が行われました。
私自身、「3秒にひとり、貧困から子どもが命を失っている状況を変えるために声をあげよう」という世界的なG-CAP(※1)キャンペーンの趣旨には、ブラピやボノが登場したイギリス版の「MAKE POVERTY HISTORY」を見て基本的に賛同していたので、日本版の「ほっとけない」が登場したことを知ったときには「よしよし」と思ったものでした。でも観察していると日本版「ほっとけない」はどうもスッキリしない。それにつられて世界版のホワイトバンド全体まで胡散臭いという論調まで出てきたこともあり、お金についてどんな説明がされるのだろう、疑惑は晴れるのか、今後の予定は?と興味津々で記者会見に行ってきました。
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「アドボカシー」の第一弾として、まずは 世界基金のマラリア対策に2850万円を |
会場で配られた売上/収支報告書によると(※2)、売上金は2005年9月30日時点で321万9722本、9億6591万6600円。生産や流通のコストはもっと抑えられたのではとは思いつつも、少なくともお金の透明性自体は十分評価できるレベルになってきているのではないかと感じました。活動資金に関しては監査報告もなされる予定とか。
で、注目の資金使途。現在販売されている分を含めて計450万本分が売れると想定した場合、総額で5億4000万円が世界の「貧困をなくすためのアドボカシー(※3)活動費」として使われることになるとか。具体的には、日本や発展途上国におけるODA・債務・貿易に関する調査・研究政策提言を行うNGOや大学・研究機関への資金支援。さらには啓発活動としての番組制作や開発教育教材などの出版、セミナー・イベントなど……。
そして今回、その第一弾として資金の一部を「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」として、世界基金(※4)に25万ドル(約2850万円)拠出することに決定(これは民間団体の拠出としては過去最大とのこと。これまでの最高額はレアル・マドリードによる13万ドル)。
記者からの質問の中心は「なぜ世界基金なのか?」「これは単なる寄付なのではないか?」という点。これに対し事務局からは、「貧困と感染症には密接な関係があります。今回の拠出は、直接的にはもちろん途上国におけるHIV・結核・マラリア対策として現場の支援に使われますが、趣旨はアドボカシーです」という説明が。後で実行委員の山田太雲(たくも)氏は、「今回のアドボカシーのメッセージは『市民は貧困問題の解決に本気ですよ。各国政府は約束を果たしましょう! 民間セクターもがんばってください』ということなんです」と説明してくれました。たしかにこの件がニュースになるだけでも貧困問題に光をあてる効果があり、アドボカシー効果はありそう。またこの日本版ホワイトバンドの動きに対し、すでにアメリカ版の「The ONE campaign」も世界基金へ拠出を決め、米国政府に後に続くように促しているそう。
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中田などのセレブが顔を出さなければ、 こんなに成功しなかったのも事実 |
今回の日本版ホワイトバンド・プロジェクト事務局を請け負っているPR会社(株)サニーサイドアップ代表取締役社長の次原(つぎはら)悦子氏は、ちょうど私がブラピCMを見たのと同じ頃、イギリス版の“指パチンCM”を目にし、その「かっこ良さに惹かれて」自社の所属タレントを起用、CM制作からイベント企画、ホワイトバンドの制作・販売・流通に至るまで、一切の取り仕切りを買って出たそうです。
じつはこの時期、すでに日本のNGOが集まって「ほっとけない世界のまずしさ」キャンペーン事務局はスタートしていたのだけれど、この企画を大きく展開するための展望はまったく見えていなかったのだとか。「NGOの限られた資金と人手では、せいぜい頑張っても10万本売るのがせいいっぱいだったでしょう」(キャンペーン事務局の黒田かをりさん)。次原氏の申し出がなければ藤原紀香らセレブの登場もなく、ホワイトバンドもこんなに知られることもなかったのは事実。
いわば勢いで飛び込んだ次原さんとサニーサイドアップ。PRについてはプロ中のプロであるわけだけれど、NGO、チャリティ組織として動く際のノウハウのところでは隙はなかったのか? 人材・経験不足から予想外の売れ行きに対応が追いつかなかったこと、プロモーションの際に目的がアドボカシーであるという説明やアドボカシーついての説明が不足していたことで、多くの人の不信を招いてしまった。一部では「出る杭」を打ちたい人たち、NGOアレルギーな人たちの格好の餌食になってしまったというのもありそう。
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NGOも企業と同じ。事業には費用がかかり、 スタッフだって食べていかなければいけない |
最後にひとつ、私からぜひ指摘しておきたいのは、どういうわけかこの国の世論はチャリティやNGOにやけに風当たりが強いということ。もちろんこれは、こういったことに対して日本がまだ慣れていない・社会的に共有されている情報が少ないからだと思うのです。
たとえば国際協力NGOや老人介護NGOのスタッフがお給料をもらっていると聞くと「チャリティ活動なのになぜ給料をもらっているのか」と批判する人がいたりします。でも、NGOも企業と同じ、事業には費用がかかるし、専門スキルのあるプロが必要です。そのスタッフだって、自分が暮らしていけなければ続けられません。
メディア側の知識の少なさも問題です。今回の記者会見に来ていた記者のみなさんの中には、「アドボカシー」という言葉が出た途端、「??」という反応も多く、正直かなりガッカリしました。
とはいえ、何事も初めての取り組みには無駄や失敗はつきもの。今回の経験をみんなで生かし、今後のこうした活動をより効率的でアカウンタブルな(成果や過程がよく見え、多くの人に信頼してもらえる)ものにしていくことが大切なのだと思います。
12月13日からは香港でWTO(世界貿易機構)閣僚会議が始まります。「ほっとけない」の動きにも引き続き注目です!
文=星野智子
環境コーディネーター。NPO日本環境経営支援機構専務理事、めぐろ環境マネジメントシステム研究会 環境学習検討委員。Oxfam Japanの設立にもかかわる。
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text / Hoshino Tomoko
photos / “Hottokenai, Sekai no Mazushisa” , Cafeglobe |
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| 11月8日、フォーリンプレスセンターで行われた記者会見。テレビカメラも何台も入り、なかなか盛況だった。 |
※1
G-CAP(ジー・キャップ/Global Call to Action Against Poverty)
2000年の国連ミレニアム会議で、世界の189ヶ国の代表が同意した「ミレニアム宣言」。その中心は 「2015年までに世界の貧困を半減させる」というもの。2005年はそのブレイクスルーの年として、国際政治のリーダーたちに既に約束された責務を果たしてもらうよう世界中のNGOが連携し働きかけています。2005年は7月G8サミット、9月国連総会、12月香港WTOと大きな会議が開催される機会の年だからです。それぞれの国が独自の予算と方法で盛り上げていくものですが、その主旨への賛同を表明する共通したシンボルとして、ホワイトバンドの着用が呼びかけられています。
●G-CAP>>
●G-CAPの説明・サポートサイト(日本語)>>
ボノやスカーレット・ヨハンソンの動画もあり。
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| 写真はイギリス版「MAKE POVERTY HISTORY」のホワイトバンド
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※3
アドボカシー
「advocacy」、「主張・支持」といった意味の英単語。具体的には政策提言活動や啓発活動、キャンペーンなど、広い意味での「社会を変えるための活動」を指す。
意思決定者を説得するための作業とそれを支える世論を大きくする活動、確かな調査・研究や分析に基づいた主張をメディアを通じてアピールするなどの活動も含まれる。
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※4
世界基金
約200万人のHIV/AIDS治療、500万人の結核、2.6億人以上のマラリア治療に資金を拠出してきた独立した民間財団で、市民社会・NGOが政府と同等の権限を持って運営に参画している「開かれた組織」。日本の発案で2002年に設立。
●世界基金支援日本委員会>>
会長は森喜朗前内閣総理大臣
●世界基金>>
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| ホワイトバンドはまだまだ販売中! |
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