カフェグローブNo.094 身近な植物がいなくなっている!? 野外アートで環境問題を知る - 旬のうわさをキャッチ!トレンドバズ

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更新日:2006年9月19日

旬のうわさをキャッチ!トレンドバズ



 No.094
身近な植物がいなくなっている!?
野外アートで環境問題を知る

 野花で花束をつくったり、リースを編んだり。植物で遊んだ思い出って懐かしい。そういえば、最近そんな野花も見かけなくなった……。知らないうちに、環境って変わってしまっているらしい。今、変わりつつある自然環境について学ぶアートイベントが開かれている。


鉛筆 秋空の下、都会の中心で
アートを感じる

 新宿御苑は、高層ビルが林立する新宿エリアから千駄ヶ谷にかけて広がる約60ヘクタールの巨大な公園。元々江戸屋敷があったこの地に皇室の庭園が造られ、戦後、国民公園として公開されることになったもの。クラシカルな日本庭園や、ヴェルサイユ宮殿のようなフランス式整形庭園など、異なったスタイルの本格派庭園が隣り合わせになっているのは、世界でも珍しいのだとか。休日ともなればピクニックを楽しむ人たちで一杯になるこの公園は、ヒートアイランド化が激しい東京の気温を下げるという大事な役目も果たしている。


鉛筆 近い将来、世界の約1/4の植物が
消えてしまうってホント?

 今年で100周年を迎える新宿御苑では、来年の3月までさまざまなイベントを開催。この秋、苑内に広がる大芝生に一歩足を踏み入れれば、巨大なアート作品が出迎えてくれる。時おり吹く風で、ふわっと一斉に帆の向きを変える、鮮やかな黄色や白のフラッグ群。

 これは、環境における創造活動を研究する環境芸術学会主催フィールドアート展の公募プロジェクト「ヴァルデスランド」。“waldesrand”とはドイツ語で「森の境界」を意味する。アートワークを制作したのは、デュッセルドルフに在住し、自然や植物のもつ宇宙観をテーマに制作活動を行っている造形作家Keisuke Matsuura氏だ。

 実は、新宿御苑は、日本から姿を消そうとしている植物たち(絶滅危惧種)の保存・育成活動を行う重要な国家機関。秋の七草でなじみの深い、キキョウやフジバカマもその絶滅危惧種のひとつだ。日本ではすでに約20種類の植物が絶滅している。また、このような状況が続けば、約40年後には世界中の野生植物の1/4が絶滅してしまうのだそう。「ヴァルデスランド」を象徴するアートワークは、このような希少な植物たちのおしべがモチーフ。風にのって、花粉が世界へ飛んで行き、再び種が再生……そんな願いがこめられている。


鉛筆 今、環境問題で必要なものは、
再生への希望とアクション!

 植物が減ってしまう理由のひとつには、地球温暖化現象などからひき起こされる環境の変化がある。また、人間が居住地や資源確保のために森林をむやみに伐採したり、園芸用に野生植物を採取することもあげられる。逆に、人が適度に関わることで豊かな自然が育まれてきた里山や草原のような場所では、近年、人が都会に移り住み、手が入らなくなったために植生が変わってしまうことも。いずれにせよ、人間の無自覚な行為も、植物たちが種を絶やしてしまう原因のひとつであることは確かだ。

 このような状況を回避するため、今、国家レベルでも民間でも世界規模で植物保全のアクションが広まってきている。ヴァルデスランド展示ディレクターの田中智博氏はこう語る。「このプロジェクトでは、失われていく自然環境を悲観したり諦めるのではなく、人間が技術や叡智を上手に使えば、自然が再生していく可能性もあるのだ、というポジティブなメッセージを伝えたい。“ヴァルデスランド”の名のごとく、新宿から森の境界を広げていければ」。


鉛筆 豊かな自然環境の中で
アートに触れ、エコを考える

 環境先進国として知られるドイツでは、森はなじみの深い場所。短い夏をなるべく森や自然の中ですごす習慣があるのだそう。ハイキングやオリエンテーリングなどの伝統的なアクティビティに加え、森の中でのヨガのギャザリングは、密かなブーム。「森の中を歩くと、森が教えてくれる膨大な情報に圧倒され、自分を取り囲む生態系が全て無駄なく繋がっていることがわかる」とMatsuura氏は語る。薄暗い森の中を巡りながら、五感を解き放ち、小さな花々や鳥の声を聞き、生物や生態系のことを学んでいく。そんな体験型の教育がドイツではごく普通に行われている。

 会場では、そんなドイツの森を疑似体験できる。作品に設置されたQRコードをカメラ付き携帯電話で撮影すると、植物危惧種の話や自然環境問題の情報を学ぶことができる。秋空のもと、豊かな自然環境の中でアートに触れながら、地球の未来に思いを馳せては。

up
text / Sato Yo
photos / Matsuura Keisuke

Backnumber

環境芸術学会第7回大会フィールドアート展
Waldesrand ヴァルデスランド〜絶滅危惧種の植物たち〜

期間:2006年9月12日(火)〜24(日) 9時〜16時
場所:新宿御苑内イギリス風景式庭園
企画・制作:ヴァルデスランド・プロジェクト
ヴァルデスランドWebサイト
http://www.waldesrand.com

●ヴァルデスランド携帯サイト
http://www.waldesrand.com/m/

環境省 国民公園 新宿御苑
住所:東京都新宿区内藤町11
入場料:大人200円、小中学生50円、幼児無料

環境芸術学会第7回大会
主催:環境芸術学会
後援:環境省



新宿のオアシス・新宿御苑を彩る巨大なアートインスタレーション……

ドイツ・デュッセルドルフに在住する日本人アーティストKeisuke Matsuura氏のアトリエ……

ヴァルデスランド Webサイト http://www.waldesrand.com
ドイツのエコ生活や世界で取り組まれている環境アクションの話を紹介……

古来から人は森とともに生き、恩恵を受け、進化を続けてきた……

絶滅が危ぶまれている植物のひとつ、ガガブタ……





Backnumber
<No.093>
【世界の子どもたちの環境コンペ開催】
後編/ボルボのエコ対策に感激の子連れ取材
<No.092>
【世界の子どもたちの環境コンペ開催】
前編/ボルボならでは! 子連れ取材を決意

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