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No.099 【渡辺葉 特別寄稿!from N.Y.】 シャンパンとニューヨーカー この静かなブームは世界に波及中!? |
| 窓の外には濃紺の空。ニューヨーク湾の波に揺られ、フェリーは南を目指す。 「ほら、あそこに……」 左舷前方に彼女の姿が見えた。青碧の衣をまとい灯火を高く掲げる姿が、凛として美しい。 世界中から駆けつけたセレブが微笑む。にも関わらず、圧倒的存在感を誇るのはやはり“彼女”だ。なにしろ今夜は彼女の誕生日のお祝いなのだから--それも、120年目の! 自由の女神、通称“ミス・リバティ”が大西洋を越えてニューヨークにやって来たのは、1886年秋のこと。祖国フランスと永住の地アメリカ合衆国(彼女も“移民”だったのだ)との友好を記念して、2006年秋、シャンパンの老舗モエ・エ・シャンドン社主催のパーティが開かれた。 島に着くなりグラスが手渡され、あらあらあらと言う間にシャンパンが注がれる。海風に頬を撫でられつつ口に含む黄金色の泡に、気分は極上、極楽。 モエ社社長と女優のエリザベス・ハーレーがお祝いの言葉を述べる。音楽が響き、みんなの目はミス・リバティに釘づけになった。足下にダイヤモンドのような光の粒が生まれたかと思うと、ローブのひだを駆け上り、デコルテから腕、顔、そして王冠をキラキラで包んだのである。 おめでとう、ミス・リバティ! ニューヨークのスカイラインに、光に包まれた女神の姿が美しく映えていた。
ここ10数年の間に、ニューヨーカーはずいぶんワインに詳しくなった。ブドウ品種や生産地についての知識を深め、香りや味を表現する詩的で繊細なボキャブラリーを操り、知的好奇心と感覚的冒険を同時に満足させる術を身につけてきた。そのトレンドはここ数年、シャンパンにも押し寄せて来ている。 モエ・エ・シャンドン社がミス・リバティのために開いたパーティのようなハレの場面はもちろんのこと、仕事帰りの一杯や女友だちとのおしゃべりにも、気軽にシャンパンを味わうニューヨーカーが増えてきているのである。 「シャンパンは、人をハッピーにしてくれる飲み物だからね」 そう語るのは、トライベッカ地区にあるシャンパン専門のバー&ラウンジ『バブル・ラウンジ』のオーナー、エリック・ベン氏。 ニューヨークとサンフランシスコに店舗を構えるバブル・ラウンジは、常時ボトル300種類、グラスだけでも30種類以上と、世界最大級の品揃えを誇る。洗練と親しみやすさがミックスされた、ダウンタウン・ニューヨークの粋を味わえる空間だ。 「シャンパンって、誰かとシェアしたくなる飲み物。感覚的で、官能的。そしていろんな場面で楽しめる」 ピザやテイクアウトのチャイニーズだって、シャンパンと相性がいいんだよ、とエリックはいたずらっぽく笑った 。 シャンパンをもっと知るには、「とにかく自分で味わってみる、それが第一だよ。味というのは主観的な経験だ。高価なシャンパンが、いつも最高とは限らないし」と、エリック。 自分の嗅覚や味覚を信頼し、主観的体験そのものを楽しむ。それは、その場で終わらない「今&これから」の自分の感覚生活を豊かにしてくれる味わい方ともいえるのではないか。そんな感覚が、ニューヨーカーを中心に広まりつつあるシャンパン人気の根底をなしているかもしれない。 「たとえばグラスのシャンパンを何種類か、友だちとオーダーしてみる。ちょっとした肴をつまみながら、それぞれのシャンパンの味や食べものとの相性を比べてみる、そんな“実験”も楽しいじゃないか」 スイス生まれのエリックはアメリカ人を「いったん好奇心をくすぐられると、俄然、探究に目覚める部分がある」と言う。だからこそ、シャンパンに関しても新しい冒険を楽しんでほしいのだ、と。
「事実、アメリカへのシャンパンの輸入は2002年以来連続して年に数パーセントの成長を続けている(在ワシントンD.C.、シャンパーニュ事務局発表)。ニューヨーク一の人気ワインショップ『アスターワインでは昨年、店舗移転をきっかけに、シャンパンおよびスパークリングワインの売り場を2倍に拡大した。 興味深いのは、日本にも同じような傾向が見られること。昨年度はワインの輸入量が前年比95%に留まったのに対し、シャンパンおよびスパークリングの輸入量は前年比128%近くに伸びたというデータもある。 アメリカでも日本でも、この1年お世話になった人と「お疲れさま」をしたり、新しい年への夢を描いたり、とかく祝杯を重ねる機会の多くなるこれからの季節。数人が集まるホームパーティなら、いろんなシャンパンを飲み比べる絶好の機会にもなる。これを機に、幸せ色の飲み物、シャンパンと一層仲良くなってみてはどうだろうか。 |
| text / Watanabe Yo photos / Roxanne Lewitt, Watanabe Yo, Jack Price |
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| ニューヨークの夜景を背に光り輝くミス・リバティ!…… |
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| パーティーのホスト役は、モエ社のフレデリック・キュメナル社長と…… |
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| シベリア出身のスーパーモデル、イリーナ・パンタエヴァも友人たち…… |
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| ニューヨーカーが「街のワインセラー」として絶大な信頼を置く『アスター・ワイン』では、昨年から …… |
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| お洒落でセクシーな雰囲気のバブルラウンジ。DJや…… |
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