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2002年の『ボウリング・フォー・コロンバイン』で銃社会の真実を突きつけ、2004年の『華氏911』でブッシュ政権に切り込んだ、かの“お騒がせ男”マイケル・ムーア監督。3年ぶりの新作『シッコ』では、アメリカの医療制度の問題に鋭いメスを入れている。映画があぶり出すアメリカ医療制度の深刻な問題は「日本でも起こりうる」と日本の医療関係者や政治家も声をあげはじめているという。
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「医療制度の問題は人ごとではない」
日本でも医師や政治家が声をあげた
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過日、日本での『シッコ』公開に先立って、医療従事者・国会議員を招いた試写会が行われた。参加者のひとり、参議院議員の川田龍平さんは「これまで当たり前に受けられていた国民健康保険の医療制度が崩れて、患者負担が増えてきている今、政治に興味を持たずに、政治家だけに医療制度改革を任せてしまったら、アメリカ型の社会になってしまう。医療保険の問題は、真剣に一人ひとりが考えていかないと」と、国民が問題意識を持つことの大切さを呼びかけた。
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健康保険充実度は、先進国最下位
医療先進国アメリカの現実
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アメリカといえば、医療先進国というイメージがあるが、その恩恵を受けられるのは、実は、ほんの一部の人だけ。WHO(世界保健機構)の調査データには、アメリカの健康保険充実度は先進国中最下位、37位とある。アメリカには公的な国民健康保険制度が存在しないので、国民は民間の保険会社に加入しなければならず、保険料を払えない「無保険者」が、人口の6分の1も存在するのだとか。金銭的な理由で、治療を受けられずに死んでいく人が毎年1万8000人もいるのだという。
それだけでも、驚くべき事実であるが『シッコ』を観て愕然とするのは、民間企業の保険にきちんと加入している人たちでさえ、保険金の支払いを拒否されて治療を受けられないケースが多いのだということ。
たとえば「事前申請をせずに救急車を使ったから」「ガンになるには年齢が若すぎるから」など、理不尽な理由で支払いを拒否するケース。これらは保険会社が民間企業であるがゆえ、その利益を追求するために起きているらしい。利益率を上げるために行われるべき治療を拒否した医者には報奨金を出すといった例もあるほどだそう。
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今や米大統領選を揺るがす勢い!
日本の私たちが考えるべきは
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『シッコ』の制作にあたり、まず、保険会社とのトラブルについての体験談を一般市民から募集したというムーア監督。応募数は、予想を大きく上回り、1週間で2万5000通ものメールが寄せられた。それだけ事態は深刻であり、また、アメリカ国民にとって、ムーア監督に対する期待が大きいということなのだろう。
実際、クランクインの噂を聞きつけた製薬会社は「ムーア対策マニュアル」まで用意したというから、いかに彼らにとって、脅威であるかが伺える。
来年、2008年に控えたアメリカ大統領選挙では、社会保障問題が、イラク戦争に次ぐ重要なテーマとなっている。ヒラリー・クリントン上院議員やオバマ上院議員はじめ、多くの候補者が「公的健康保険の導入」を公約に上げているが、『シッコ』公開によって、国民の関心が一気に高まっているいま、この問題は大きな争点になりそうだ。
……と、アメリカの社会構造ばかりを憂いている場合ではない。というのも、日本の医療改革は今、アメリカ型に移行する傾向にあるのだ。すでに、医療費の大幅削減、介護医療の民間への委託など、医療の分野への民間企業の参入が少しずつ増えてきている。このまま行くと、将来日本でどんなことが起きるのか。今、私たちが真剣に考えるべきことを、映画『シッコ』は教えてくれるかもしれない。
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