インドネシアでは、90年代初めにアニメ『ドラえもん』が紹介されて以来、若い世代を中心に日本の漫画が大人気。最近は、『NARUTO-ナルト‐』『ヒカルの碁』『のだめカンタービレ』などの、日本でもヒットしている漫画本を翻訳したものが、1ヶ月に40タイトルも出るほどの人気ぶりだ。
こんなに漫画人気の高いインドネシアだが、今までは国産の漫画本というものはなかった。
しかし、このほど、こういった日本の漫画で育った若い世代のインドネシア人漫画家8人による国内初の漫画雑誌『スプラッシュ』が創刊された。8人はいずれも、インドネシア在住の日本人漫画家、前山まち子さん(ペンネーム:茶花ぽこ)が2002年から主催する「マチコ・マンガスクール」の卒業生。このマンガスクールでは、すでに400人の卒業生を輩出しているが、彼らはこの卒業生の中から選ばれた20代半ばの精鋭女性漫画家ぞろい。
A5サイズ、260頁、2,500ルピア(約300円)のスプラッシュ。当面は季刊誌となる予定。 記念すべき創刊号は、読み切り、連載を含め8話を掲載。前山さんプロデュースのもとに、いずれもストーリ展開や感情表現などを丹念に練りあげた力作ぞろい。特徴あるキャラクターも魅力だ。性的な表現に厳しくなりがちなイスラム教徒が多いインドネシアならではの苦労も見受けられる。ストーリー展開上なくてはならないようなキスシーンは唇がふれないように、暴力シーンは過激にならないようにするなど、刺激的な表現はさける配慮が随所に見られる。
制作現場は和気あいあいとした雰囲気。お互いに意見を交換しながらストーリーをつくっているようだ。 前山さんは、「日本の漫画は、キャラクターの感情表現や絵の緻密さなど、すべての点で世界の中でも群を抜いてレベルが高い。スプラッシュは、生まれたばかり。初版は、2500部と、まだまだこれからだが、将来は、日本における漫画のように、できるだけ多くのインドネシア人に読んでもらえるようになってほしい」と語っている。編集長のエルダさんは、「創刊にこぎつけることができて本当にうれしい。でも、みんなの期待に応えるため、これからもがんばらなくっちゃ。プレッシャーです」と語りながらも、「将来は少年愛をテーマにした漫画を描いてみたい」と意欲満々だ。
ジルバブ(イスラム教徒の女性がかぶるスカーフ)姿の女の子が登場するなど、イスラムの国らしさも。 日本の漫画本と同じようにインドネシアの漫画本が本屋の一角を占める日も、そう遠くはないかもしれない。