 |
|
100マイルダイエット、その中身は? |
バンクーバーで100マイルダイエットなるものが静かなブームだ。この100マイルダイエット、バンクーバー市に住むジェームズ・B・マッキンノンさんとアリサ・スミスさんが始めたもので、自宅から半径100マイル、つまり約160km以内で生産されたもののみを食べようという試みだ。
日本の「地産地消」に似ているが、2人の目的は、食品の安全性というよりは、輸送に伴う二酸化炭素排出量を減らして、地球温暖化をくいとめたいというもの。農業大国のカナダだが、日本同様、多くの食品を輸入している。そもそも国土が広く、東岸と西岸の距離は9000kmもあるので、国内でつくられた農産物でも消費者のテーブルに届くまで、1000kmくらい旅をしてくることは一般的だ。ある統計によると、カナダの人々が食べているものは、通常2500〜4000km離れた場所で生産されているという。
リンゴは州内で取れるが、バナナは輸入しているので食べることはできない。 英語でdiet(ダイエット)というと、日本でいう「痩せる」の意味だけではなく、食事や食生活などを指すこともある。100マイルダイエットも元来は食事のルール的な意味が強かった。2人にとっては、地元のベーカリーでつくられたパンというだけでは十分ではない。パンをつくるための小麦粉やバターなどの材料を遠隔地から運んでいるのなら、ガソリン使用は減ったとは言えない。だから、すべての材料も地元産のものを食べることを目指した。
カナダだけあり、サーモンなどの水産物は手に入る。
 |
|
期せずして低炭水化物のダイエット |
カナダは世界有数の小麦生産国だが、生産はバンクーバー周辺ではなく、1000km以上離れた内陸部だ。パンはもちろん、パスタや米も100mマイル以内のものを手に入れるのは困難になる。炭水化物で最も簡単に入手できるのはジャガイモだったが、イモばかりでは飽きるので、ターニップ(甘いでんぷん質のカブ)をローストして、パン代わりにしたりと、創造的なメニューを開発していった。
ここ数年、世界的にダイエット法では、『アトキンスダイエット』をはじめ、炭水化物の摂取量を減らした方法が人気だ。が、この100マイルダイエットでも、結果的に炭水化物の摂取量が減ることになった。さらに、ポテトチップスやチョコレートなども、地元産の材料でつくられたものはほとんどないため、おやつといえば、旬のフルーツやヨーグルトと、まさしくヘルシーな食生活に変わった。
そのためだろう。この食事法を始めて6週間で、2人で合計15ポンド(約6.8kg)のダイエットに成功したという。それぞれ何kg痩せたのかは明らかにしていないが、ジェームズさんに至っては、「ジーンズがぶかぶかで落ちて困る」と嬉しい悲鳴を上げることになったそうだ。
冬は作物があまり獲れないので、家庭菜園で野菜を育てたり、旬の時期に保存食をつくっておく必要があるそうだ。 同じカナダでも、これが内陸の穀倉地帯だったら、“ダイエット効果”はほとんどなかったかもしれない。実際、他の地域で実践して、体重が減った、増えたという話は今のところは聞かない。このダイエット、身近な「食」を見直すよいきっかけにはなりそうだ。