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エリザベス女王のお膝元 |
動物好き、特に犬好きな国民として世界中に知られている英国人。エリザベス女王からしてコーギーを8匹も飼い、どんなに執務で忙しくとも、朝晩2回の餌と1日数回のおやつは自らやるほどだと聞く。バッキンガム宮殿のなかでは、もちろんお犬様たちは放し飼いで好き勝手に走り回っているそう。
そんな根っからの愛犬家である女王様が名誉会長を務めていらっしゃるのが『バタシー・ドッグズ&キャッツ・ホーム』(以下バタシー)。147年前に英国人女性によって設立された、捨て犬や迷い猫のシェルターである。この動物保護センターは、寄附とボランティアの助けで運営され、行政の資金援助ゼロを誇っている。どんな老犬や病犬であっても引き取りを拒まず、安楽死も可能な限り避け、なんとか里親探しに努めるのが特長のひとつ。
新しい里親をひたすら待つ『バタシー・ドッグズ&キャッツ・ホーム』の犬たち。雑種、血統犬とさまざまな犬たちが年間平均して1万5000頭ほど保護される。 (c) Alex Macro / Battersea Dogs and Cats Home
『バタシー』のボランティアスタッフに連れられ朝晩2回の散歩にでかける犬。施設は冷暖房完備を誇る。 (c) Alex Macro / Battersea Dogs and Cats Home
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里親希望者の前に立ちはだかる、難問 |
この『バタシー』で里親として認められるのは、かなり至難の業。
まず、候補の里親はセンターの監査員との面接が待っている。私生活に至るまで事細かく聴き取り調査を行われた後、やっと犬や猫との“お見合い”にこぎ着けるが、センター内の一室では、そのお見合いの様子をドアの窓から観察される始末。そんな厳しい審査に合格し、めでたく相性のよい犬猫をもらい受けた後も、さぁ、一緒に新しい生活をしようね、と喜ぶのもまだ早い。
引き取ってから数日〜数ヶ月後に、抜き打ちで家庭訪問があるのだ。いやはや、これだと人間の養子縁組よりチェックが厳しいではないか。そう、それがまたこの『バタシー』のご自慢なのである。
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犬のためなら、ひたすら耐える! |
ここまで動物に慈愛を注ぐ英国人の動物愛は、時として外国人の理解を超える場合もある。それは、毎年6月下旬に『バタシー』が主催するチャリティ・オペラである。今年は6月28日に『椿姫』が上演されたのだが、40ポンド(約1万円)×200枚のチケット売上げ金は、全額バタシーに寄附された。
ぬれた芝生も寒さもなんのその。チャリティオペラの幕間に優雅(?)にピクニックをする動物愛護精神旺盛な英国人たち。photo / Kusunoki Nana このオペラの幕間には、会場の庭でピクニックをするのが恒例行事である。ところがこの時期は日本と同じく、よく雨が降り、庭の芝生はびしょぬれ。気温15度という寒さと小雨のなか、ストイックな表情でひたすらシャンパンと鮭グリルとサラダをもくもくと口に運ぶ参加者たちは「全てはバタシー運営費捻出のため」と耐える。
オーケストラ部員、オペラ歌手など全員無料奉仕のチャリティオペラ『椿姫』の案内状。毎年『バタシー』の犬が一匹“特別出演”でオペラに参加するのも楽しみのひとつ。 「なんたってこのセンターでは、ウンチ袋だけで年間約100万円かかるんだもの、頑張らなくっちゃ。どうせ日本人には分からんだろう?」と言われそうだが、英国人の動物愛もここまでくるとマゾっぽい?
満員のカフェにて。飼い主は座れなくとも愛犬2匹はしっかりとイスにお座り。photo / Kusunoki Nana●
『バタシー・ドッグズ&キャッツ・ホーム』のWebサイト