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更新日:2007年8月27日 RSS

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N.Y.発の“水道水キャンペーン”は
イタリアでも定着するか?
2007年8月27日
ローマ(イタリア)
岡田直子/ライター・コーディネーター
1キロのペットボトル生産で
17リットルもの水が消費されている

 7月初旬、ブルームバーグN.Y.市長が環境保護という名目のもと、「ミネラルウォーターより水道水を飲もう」というキャンペーンを打ち出した。

 この発表によると、1キロのペットボトル生産には、2キロ弱の石油と17リットルの水が必要で、さらに生産工程で40グラムの炭化水素、25グラムの酸化硫黄と18グラムの一酸化炭素、そして2〜3キロの二酸化炭素を排出するという。少しでも化石燃料の利用を減らし、二酸化炭素を削減しなければいけないこのご時世、ペットボトルの使用を考え直してみようというものだ。


イタリアでも広がりつつある、脱ペットボトル現象

 今回のブルームバーグN.Y.市長による呼びかけは、そうした状況を背景に、整備され以前より質が上がっているとされる水道水を飲むことで、環境汚染を減らそう!という、飲食店向けの広告キャンペーンだったのだが、イタリアの新聞各紙もこぞってこの話題を取り上げた。なぜイタリアでこのニュースに関心が寄せられたかと言えば、イタリアはアメリカに次いで、ペットボトル入りミネラルウォーターの消費が多い国だからである。


ローマのスーパーで見かけるペットボトルの大量の山。ちなみに、アメリカ国内で生産されるペットボトルは、消費量のわずか25%。重たい飲み物を他国から輸送するということは、ここでも大量の二酸化炭素を放出しているということ。ある環境保護団体の報告によれば、使用済みボトルの5本に4本はポイ捨てされ、リサイクルに回っていないのが現状だという。

 イタリアでも、同様のイニシアチブはすでに始まっており、3年ほど前からフィレンツェの学校や官公庁では、ミネラルウォーターの代わりに、カラフ(ガラスの水差しのこと)に入った水道水が飲まれるようになった。同様にミラノでも、学校では水道水を飲むことが普及しつつある。しかし市役所ではまだミネラルウォーターが飲まれているというから、関心はあるものの、運動に対する人々の温度差はまだ大きいと言える。

 ローマでは今年春、水道会社『ACEA』が行った水質調査の結果に注目が集まった。ローマの水はバクテリアが少なく衛生的でミネラルに富み、飲んでおいしいだけでなく体にも良いというのが報告内容。水道会社による発表だけに、その信憑性を疑う声もあるが、ヴェルトローニ・ローマ市長は、この調査に対し、法定基準で定められる倍の数(25万以上)のサンプルを用いて調査した結果だと、信頼性を強調している。


水の豊かな街、ローマ。古代ローマ時代から11のアクアドット(水道橋)が整備され、無数の噴水や浴場を満たしてきた。ローマの水はおいしい、と昔からいわれているにも関わらず、石灰分が多い、清潔でないのではないか……などのためらいから、頑としてミネラルウォーターを好む人々も少なくない。
 

地球環境を視野に入れた
“シンプルな生き方”を考えてみよう

 米オレゴン大学で水資源の研究に携わるトッド・ジャルヴィス助教授の発表によると、 1978年から今日までの30年間で、実に2000%の成長を成し遂げたミネラルウォーター・ビジネスは、今や年間売り上げが1000億ドルに達する巨大産業となっているそう。毎年世界中で、1540億リットルのミネラルウォーター売り上げのために、ペットボトル製造工程で8100万リットルの石油、6000億リットルの水が消費されているということも報告された。

 世界には、水道水の安全性にまだ信頼をおけない地域があるのもまた事実だ。人が生きていく上で必要不可欠な水をつかさどる施設の整備は、そこに住む人々のライフスタイルを大きく左右する(その意味で、古代ローマ時代に既に上下水道を整備したローマは、先見の明があったといえる)。

 だが先進国で、さらには上下水道が安心できるレベルまで整備されている環境において「お洒落だから」「なんとなく……」という理由でミネラルウォーターに手を伸ばすのであれば、このデータにもちょっと思いを馳せてみてほしい。地球の「健康」は、私たちの生き方をシンプルにすることからはじまる。

 
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