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初の女性防衛大臣が誕生 |
去る4月14日、スペインに新内閣が誕生した。今年3月の総選挙で勝利した社会労働党のサパテロ政権が2期目となる続投が決まり、今回の組閣人事にも注目が集まっていた。というのも、このサパテロ首相、前回の人選でも「平等」をキーワードに、閣僚の半分に女性大臣を任命したからだ。
今回も17人中、9人が女性大臣。これは驚くことではなかったが、スペイン史上初となる女性防衛大臣の誕生には、国中が目を見張った。
防衛大臣に選ばれたのは、カタルーニャ出身のカルメ・チャコン氏。37歳という若さ、女性であることを批判する声もあるが、何より人目を引いたのは彼女が妊娠7ヶ月であること。与党に厳しい批判で知られる全国紙『EL MUNDO(エル・ムンド)』紙は、人気作家アントニオ・ガラ氏の寄稿記事を掲載。「賭博」というタイトルが付けられた同文書では、「首相の今回の人事は、子どもの賭博だ」と痛烈な批判が展開された。社説でも「首相は防衛省人事を、挑発的に実験用ウサギに仕立て上げた」と非難した。
先の総選挙で、カタルーニャ州において社会労働党が勝ったのは、彼女の笑顔によるところが大きいともいわれているが、大臣第1日目はさすがに表情がこわばっていたカルメ・チャコン氏。新聞各紙もこぞってこの緊張の一瞬をとりあげていた。 もちろん「妊娠は彼女の任務の妨げにはならない。ことの成り行きを見守ってゆくべきだ」(『LA RAZON(ラ・ラソン)』紙)という支持派もある。任命式翌日のテレビ・ラジオでは賛成反対の激しいディスカッションが繰り広げられていた。
スペインの軍隊は2004年にイラクから撤退したものの、アフガニスタンやレバノン、コンゴでのミッション等には常時参加している。海外派兵の戦死者数も決して軽視できない。最近でもアフガニスタンでスペイン軍のヘリが撃墜されたり、レバノンでは車爆弾により兵士が死亡したりと、緊迫した状況が続いている。そんななか「彼女が当然の権利として行使するであろう“4ヶ月間の産休中”に、重大な局面に対峙しなければならなくなったらどうするのか」、「国の防衛や軍事を、何の前歴や経験もない彼女が仕切れるのか」と、不安視する声は多い。その危惧に対し、「“妊婦だから”という前置きがすでに“マチスタ”(男性優位)で旧式な考え方だ」と世間の議論は堂々巡りを繰り返している。
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史上最年少の女性大臣が登場 |
それとは別に物議を醸したのが、新しい省の誕生。スペインでは新政権ができると突然それまでの省の名前が変わったり、新しい省を設置したりすることがよくあるが、今回登場したのは「MINISTERIO DE IGUALIDAD(平等省)」。史上最年少の大臣として就任したのは31歳のビビアナ・アイド氏。前職はアンダルシア州政府所属のフラメンコ発展促進ディレクターとのことで、「平等省」大臣とどういった関連があるのか、疑問を抱く声も少なくない。さらにこの「平等省」、設置されたはいいものの、下部組織の編成は依然として進んでおらず、Webサイトすら無い状態。しかし、男女雇用均等やスペインで長年問題になっているドメスティック・バイオレンスに関する法的措置の強化・促進などを扱うという。時代のニーズに応えた形だが、機能するには時間がかかりそうだ。
国際的には今回の女性主体の人事に敬意を払う記事も少なくなかったが、スペイン国内の新聞社のWebサイトに寄せられるコメントには、圧倒的に新内閣に対する疑問が多いようだ。
果たしてこれは、スペインの「男性優位社会」ゆえの反論なのだろうか。政治家の資質を鋭く観察している国民の批判なのだろうか。この人事の結果、国がどう変わってゆくのかは未知数だが、非常にエキサイティングな4年間になりそうだ。