vol.2 忘れられないワークショップ1?HIBINO HOSPITALとHIBINO EXPO 2005?
茨城県が現代美術の支援推進企画として始めたアーカスプロジェクト。日比野さんはその中で、市民参加のワークショップ『HIBINOHOSPITAL』を開催している。ホームページで受け付けた悩み相談(診察依頼)に、東京芸大日比野ゼミの生徒が“担当医”として応じるのが当初のシステム。インターネット上でワークショップを行うという画期的な試みだった。「アーカスの拠点の茨城県守谷市は、自然豊かなぶん交通の便はよくない場所。ワークショップをしても人を集められるのかが、最初は心配だったんです。でも、ネットだったら距離も時間も関係ない。打ち明け話もメールでならしやすいし」
他者との交流が心を豊かに

メールでの“治療”と合わせ、月1回オフラインパーティーも開催。現在は、年数回のオフラインパーティーをメインに活動を継続中だ。
「『HIBINO HOSPITAL』は、ものづくりが目的じゃないんです。時間・空間を共有して心を開放することが一番大事。だから、歌をつくることもあれば、木登りや凧揚げをして遊ぶことも。その日何をするかは、現地に集まってからみんなで決める。その空間で人との交流を楽しめれば、ひきこもりがちな高校生でも目が輝いてくるんです」
今年9年目に入る活動を通して感じているのは、人との出会いの面白さ。それは、「一人の時間も、人といる時間も必要」という自身の創作スタイルにも通じている。
「大学時代は、集団の中での個人制作を通して、一人じゃ見えなかったものが見えてきた。僕は今も、集団の中にいたほうが精神が活性化されて、いいアイデアが生まれるんです。当然、体調や精神状態によって他者を煩わしく思うときもある。でも、それを差し引いても、自分一人では味わえない面白さや発見がそこにはあります」
一人が好き。けれどみんなといたい
'05年に水戸芸術館で行われた『HIBINO EXPO 2005日比野克彦の一人万博』は、まさにそんな感覚の具現化。ワークショップ『HANDS HABITS』では、一般参加者の広大な作業場の片隅に個人制作用のアトリエを設けた。
「参加者たちは、床にしゃがみこんで日がな一日作業をしてる。その雰囲気の中で、僕も一人でつくってる。お互い姿は見えるけど、彼らが僕に話しかけるわけじゃないんです。そういう空間が、僕にとっては健康的(笑)。参加してくれたみんなにも、言葉がなくても響きあうコミュニケーションの心地よさを感じてもらえたのではと思います」







