vol.3 忘れられないワークショップ2?アジア代表日本とHIBINO DNA AND…?
日比野さんが近年精力的に取り組んでいる試み。それは、地域の特性を生かしたワークショップだ。'06年6月には、九州国立博物館でサッカーワールドカップをテーマにした展覧会『アジア代表日本』を開催。『FUNE』と題したワークショップで、アジア予選に参加した36の国と地域をイメージした36艘のFUNE(船)をつくった
活動のテーマに地域性を付加

「九州は、遣隋使・遣唐使の古から文化の伝達を担ってきたアジアへの玄関。そして、サッカーW杯に臨む日本はアジアの代表。我々は、アジアの多くの人々の期待を背負ってワールドステージに立つという思いを、九州の地域性につながる船を通して表現しました」
そして10月には、自身の故郷・岐阜で行った『HIBINO DNA AND…日比野克彦応答せよ!!』の会期中に、ワークショップ『DNA RIVER』を開催。岐阜県美術館のエントランスホール床面を長良川の川面に見立て、色紙のチップを貼って川の流れを再現した。
「長良川は、僕が小さいころよく遊んだ懐かしい場所。来場者も岐阜の人が多くて、じかに見て、泳いだ水の感触やキラキラ感を身体が覚えてる。だから、いったん貼り始めると身体がどんどん動いていくんです。中には“my座布団”持参で通いつめる人もいたりして。最初は水が一滴もない状態から、流れが一筋になりふた筋になり川幅が広がって、最後は洪水警報ぐらいになりました(笑)」
ワークショップに欠かせないのは「イメージを共有すること」。その仕掛けづくりにも、地域性の付加は大きな意味合いを持つという。
イメージが先行し、手足はあとからついてくる
「たとえば、岐阜で富士山をつくろうと言っても、みんな『??』となると思うんです。でも、地元の長良川だったら岐阜の人はすぐにイメージできる。大事なのは、まずイメージを共有すること。イメージが共有できれば、身体はおのずと動くよね。だから、大勢でワークショップをしていて、徐々に作品ができあがってくると、みんなの手の動きが速まってくるんです。誰もが早く作品を見たいから。10人いたら10人がイメージを共有したときの作業のスピードはすごい。それが100人単位のレベルになると、恐ろしいほどの速さになります」
そのパワーが発揮されるのは、作品制作ばかりではない。
「新潟の『明後日新聞社文化事業部』で続けている朝顔の育成もそう。屋根まで朝顔が伸びるといいよねってみんなが思うと、地元のおばあちゃんたちがせっせと草を抜き、水をやる。つまり、みんなが同じイメージを共有するとスピードと持続力が生まれ、なおかつ諦めない。その姿が見たいから、僕はワークショップを続けているのかもしれません」







