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「忙しい」は自由の証。ラガーフェルド、82歳の仕事論

「忙しい」は自由の証。ラガーフェルド、82歳の仕事論

今年82歳を迎えたカール・ラガーフェルド氏は、「シャネル」と「フェンディ」、そして自身の「カール ラガーフェルド」の3つのブランドでデザイナーを兼務しているうえ、写真家やイラストレーターとしての顔を持っています。

彼は、たくさんの仕事をどんな風にこなしているのでしょうか? 「New York Times」や「BoF」のインタビューを読むと、ラガーフェルド氏独特の考え方が見えてきます。

「フリーランス」で働く理由

ラガーフェルド氏は複数のブランドと契約してはいますが、1963年以来、50年以上にわたってフリーランスのデザイナーです。彼はこう語っています。

「ジャン パトゥ」を辞めたとき、フリーランスが良いと思ったんだ。「フリー」って言葉が入っているからね。こういうポジションは、私が若いときには存在しなかった。私はこの手の仕事の青写真を作ったんだよ。

BoF」より翻訳引用

複数のブランドを手がけることだけでなく、デザイナーと写真家など、複数の職業を持つことも彼の「自由」を支えているようです。

マルチタスクは刺激を与えてくれる

写真の仕事について「楽しいからやっているのですか?」と聞かれて、彼はこう答えています。

楽しくなければ、やっていないだろう。それに、(写真は)とても重要でもあるんだ。コレクションしかやらなければ、象牙の塔にはまってしまう。コレクションが終われば、次のコレクションまで孤立してしまう。それはとても退屈だ。孤立するのは非常に悪い、不健康なことだ。

New York Times」より翻訳引用

つまりいろいろなタスクを抱えて大変――という常人の考えとは逆に、シングルタスクに凝り固まることの方が彼にとっては恐ろしいようです。仕事とは負担ではなく、自分に良い刺激を与えて風通しを良くしてくれるもの、という考え方なのです。

評価にこだわりすぎない

そこまで仕事を楽しんでいるラガーフェルド氏、頭の中は仕事でいっぱいなのかといえば、そうでもないよう。仕事のさばき方について、ラガーフェルド氏は「どうやってやるか、考え過ぎない。ただ、やるんだ」と語ります。

考えなければ考えないほど、習慣的にできるようになる。(略)エゴの問題はない。デザイナーはたいてい、とくに若い人は、エゴの問題がある。私はまったく気にしていない。レーベルはレーベルであって、私は自分にできることをやるだけだ。

BoF」より翻訳引用

頭で考えるよりも、まず手を動かすこと。そして自分らしさとか、自分が評価されるかどうかにこだわらず、良いと思うことをどんどん形にしていくということでしょう。

彼はまた、ひとつひとつの仕事を切り離すことが大事だとも言っています。「靴の仕事をするときには、他のことは考えない」ようにしているそうです。

ただ、目の前の仕事に集中する

より具体的に、「たくさんのレーベルのためにデザインするのは難しいですか?」との質問に対しては、こう答えています。

「フェンディ」にいるときは、他のブランドで何をしていたか忘れてしまう。他の場所にいれば、ここで何をしたか忘れてしまう。「シャネル」でしたことは、「フェンディ」での仕事とは全然違う。私には人格がないんだ。人格が(「シャネル」、「フェンディ」、「カール ラガーフェルド」用それぞれ)3つあるのかもしれない。

New York Times」より翻訳引用

無心になって目の前の仕事に集中することが、それぞれの仕事のパフォーマンスを高めているのでしょう。

過去は絶対に振り返らない

ラガーフェルド氏は今年、「フェンディ」のデザイナーとなって50年になります。デザイナーとブランドの関係が50年も続いたことは世界的にも稀なことですが、だからといって祝ったりするつもりはまったくないようです。

過去を振り返るのは、この時代の病気のひとつだ。そんなこと考えちゃいけない。ファッションとは、今日、そして明日だ。過去のことなんて誰が気にするんだ?

New York Times」より翻訳引用

そして、同年代の人たちが昔話に花を咲かせたりすることにすら、いら立ってしまうとも。

ある世代の人が過去の話、健康の話をするのには死ぬほど退屈している。聞きたくない。耳障りだ。自分の過去は覚えていない。現在が十分楽しいから、過去に飛び込む必要はないんだ

BoF」より翻訳引用

過去の功績に浸ることなく、つねに自由と刺激を求め、今を楽しむこと。ラガーフェルド氏の仕事のコツ、真似できるかどうかは別として、その真髄が垣間見えた気がします。

New York Times, BoF

photo by Getty Images

福田ミホ

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