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パンツ姿で外に出ることもできず【熊本大地震ルポ #3】

パンツ姿で外に出ることもできず【熊本大地震ルポ #3】

体はあい変わらず震えていたけれど、まずは最初に連絡をくれた東京の友人、作家の藤谷治さんからのメッセージを開く。熊本で大きな地震が発生というニュースが流れたようで、安否確認のメッセージだった。

「なにが起ったのでしょう。電気も消えて、リモコンも吹っ飛んで、情報がわかりません」と返信した。

熊本で震度6弱(最大震度7)の地震が発生したとこのとき知った。「携帯の充電が残り18%なんです」と送ったら、「まずFacebookで無事を報告したほうがいい」と藤谷さん。アドバイス通り、Facebookに「ひとまず無事です。家がめちゃくちゃですが」と投稿した。

即行でいろんな友達が「大丈夫?」「テレビかラジオをつけて」とコメントを返してくれる。翌日の締め切りの担当編集者からは「締め切りは大丈夫です。気になさらず、まずは身の安全を確保してください!」とコメントをもらった。すみません......早く着手しておけばこんなことにならなかったものを。

そのとき、ベランダ側から「無事な人はベランダに出て、顔を見せてください」という声がした。地震発生直後からマンションの非常ベルが鳴り響いている。消防士がきてくれたのだろう。

ひとまずベランダに出ようとして、はたと気づく。「私、パンツ一丁だった......」。非常事態なのでパンツ姿でもベランダに出ればよかったのに、こんなときでも乙女心がそれを阻止した。聞こえるはずもないのに「はーい、生きてまーす!」と大声を出しながら、床に散らばった衣類群から、腰に巻き付けられるような何かを引っ張り出して簡易スカートにし、ベランダに出た。

お隣やいろんな階のベランダから人の声がする。それだけでも少しホッとした。そのとき、携帯電話が鳴った。名古屋に住む友人からだった。電話回線が回復したんだ! 急いで電話をとる。

「無事? いますぐ避難して」と友人。

「ありがとう。ひとまず無事。だけど家がめちゃくちゃで玄関まで行くのが困難。しかもパンツ一丁なんだよね」

「とりあえずなんか見つけてはいて、避難して!」

「それが、猫がベッド下から出てこないんだよね。ケージもたぶん本棚の下敷きになってる気がする......。それに明日の締め切り、まだ途中なんだよね」

「いまは身の安全が大事でしょ!」

このときの私は、現実に起ったことを理解できない状態で、避難することよりも「原稿を書かなきゃ」という思いのほうが強かった。「だったら、早めにとりかかっておけよ!」という突っ込みを自分で自分にしながらだけど。

撮影/福島はるみ(私の住んでいる新町は城下町の名残りが濃く、古民家が立ち並びます。写真は震災前の様子)

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福島はるみ

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