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前震? 本震? 初めて聞いたよ!【熊本大地震ルポ #10】

前震? 本震? 初めて聞いたよ!【熊本大地震ルポ #10】

この熊本地震ルポ、14日の前震、16日の本震の様子を書いて終わる予定でしたが、「熊本地震を風化させたくない」という編集部からのご提案で、「その後編」を書き進めることになりました。実は、地震の「その後」に一番書きたいことが詰まっています。被災した私たちの体と心が大きく変化したからです。

ということで、現時点で地震発生後から約一ヶ月が経っていますが、震災その後の数日を振り返ってみました。

4月17日(日)

本震後、被害が少なかった実家に避難し、久しぶりに睡眠をとった私とJ。

テレビの報道で、14日に起った地震は「前震」で、16日が「本震」だったと知り、思わず「なにそれ。前震・本震なんて初めて聞いたよ!」と声をあげてしまった。自分の知識の乏しさを棚にあげて、また、誰に対してというわけではないが、なぜかイラッとした。

気力と体力がやや回復したので、翌日、新町のマンションにさらに必要なものを取りに戻った。

私が住む新町というまちは、400年前、熊本城が築城された際につくられた城下町で、いまなお町家や古民家が軒を連ねる風情豊かな場所だ。その新町が、2度の激震により変わり果てた姿になっていた。明らかに一度目の前震後よりも、被害が大きくなっている。全壊、半壊の家、ブロック塀や石塀は崩れ落ち、元お堀があったとされる箇所近くの道路はボコボコと盛り上がりうねっている。

新町までの道のりで見た熊本城は、ほとんどの瓦が崩れ落ち、石垣が崩れ、まるで戦を終えて一気に白髪になった武将のようになっていた。現実を目の当たりにしながらも「こんなのウソだ。あり得ない」と脳が全力で拒否する。

地震の発生源となった断層のずれが、2度の激震でもずれきっていないということで、専門家たちが「いつ3度目の地震が起るかわらない状態だ」と連日のように伝えている。みんな、次いつ来るかわからない激震に心底おびえていた。

行き交う車も運転が荒いし、自転車や歩道を歩く人たちも慌てていて、脇目もふらずに車道に飛び出してくる。実際、車で移動しているとき、何度も接触事故を起こしそうになってヒヤッとした。

くわえて、翌日18日の熊本の天気予報は「暴風雨」。地震で瓦が崩れ落ちたのに、さらに暴風雨がくるとなると、いまかろうじて大丈夫な家でも、中がびしょぬれになってしまう。Jは実家の屋根の応急処置をしに戻っていった。熊本のコンビニ、スーパー、ホームセンターには、水や食料、ブルーシートが売り切れ、「商品がない」ということで、やむなく閉店するところが相次いだ。

水、食料が店から消え、トイレもできない...

ライフラインは電気だけはいち早く復旧したが、水道と都市ガスが不通のままだ。水を買いに何軒かコンビニを巡ったが、水はどこも売り切れ。おにぎりやお弁当、パンの類いもすべて棚から消えていた。

炭酸水を何本か手にしてレジに並んでいたとき、店内に入ってきた女性が店員にこう声をかけていた。

「すみません。トイレを貸してもらえますか」

店員さんはとても恐縮しながら「申し訳ございません。ここのトイレも断水しているうえに、溢れかえっていて、まったく使用できない状態なんです」と答えたのだが、女性は「もう我慢できないんです」と苦痛な声を漏らした。

町中、どこもかしこもトイレが使用できないのだ。彼女の家や周辺は家自体が倒壊しているのかもしれない。飲食店をはじめどこの店も開いていない。トイレを頼れるのはこのまちでは開いている数少ないコンビニだけだったのだろう。我が家が近ければトイレを貸すこともできたのだが(水は流れなくても、用だけは足せる)、なにせこのコンビニからは遠過ぎる。

そんなやりとりの最中にコンビニをあとにしたのだが、いまでも彼女がその後どうしたのかが、同性としてかなり気になっている。女性にとってトイレ問題は、深刻だった。その辺で......というわけには絶対にいかないのだから。

撮影/福島はるみ(新町のシンボル、明治時代からある明八橋。崩壊前の一枚)

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福島はるみ

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