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43歳、転機を逃さなかった元エトワールに「生きる姿勢」を学ぶ

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43歳、転機を逃さなかった元エトワールに「生きる姿勢」を学ぶ

転機というのはいつ訪れるか分からないもの。

フランスでは、好機を電車に例えて「通り過ぎた電車には、もう乗れない」などということがありますが、元エトワールダンサーのオーレリ・デュポン(Aurélie Dupont)は、つい先ごろ、通りかかった電車を逃しませんでした。

その列車名は、パリ・オペラ座バレエ団。彼女の座席は、芸術監督席。

10歳からオペラ座に通う生活

現在43歳のオーレリが、難関で知られるオペラ座付属バレエ学校に入学したのは10歳のとき。以来42歳で定年を迎えるまで、32年間オペラ座で踊ってきました。

気品ある美しさに、優美な身のこなし。強い意志力と知性を感じさせる眼差し。演技力も高い評価を受け、25歳で、ダンサーの最上階級であるエトワールに登りつめました。

それだけ聞けば、順調なダンサー生活だったようですが、じつは、エトワールに抜擢されたわずか半年後に膝を傷め手術を受けています。

一時は「再起不能」と医師に宣告されるほどの故障でしたが、復活を果たし、最初に演じたのが『マノン』でした。2015年5月の引退公演では、彼女にとって大きな意味を持つこの作品を、再びその演目に選んでいます。

引退後は、メートル・ド・バレとして、ソリストの指導に当たりながら、自身も以前通り練習を欠かさず続けていました。

9月はじまりの新シーズン。芸術監督としての活動は、ちょうど、本格的にはじまったところです。今期のプログラムの大半は、前任者構想によるものですが、そこにどのようにオーレリの色を入れ、バレエ団を指導するのか、その手腕が注目されています。

オーレリが与えたインスピレーション

ちなみに、オーレリの前任は、バンジャマン・ミルピエ(Benjamin Millepied)。伴侶がナタリー・ポートマンということでも知られています。クリエイティブな活動に重きを置く彼には、オペラ座バレエ団の監督という伝統的な枠が合わなかったようで、2016年2月の辞任表明となりました。

オーレリはミルピエの振り付け作品も2つほど踊っており、Le Mondeによれば、ミルピエは辞任会見で「彼女は僕のミューズだった」と称賛したそうです。

映画監督セドリック・クラピッシュ(Cédric Klapisch)もまたオーレリにインスピレーションを受けたひとりで、彼女をテーマにドキュメンタリー映画を2本撮っています。

誠実な姿勢と、ダンスへの愛

オーレリのインタビューをいくつか見聞きして、一番印象的なのは、どんな質問にも、誠実に答えようとする姿勢です。ときには即答で、ときには熟考の果てに返答を口にするオーレリの表情は常に真摯で、好感を持たずにはいられません。

踊ることは常に何よりの喜びだったと断言し、目を輝かせながら、バレエについて、オペラ座について、演技について語るオーレリ。私生活では、8歳と5歳の男の子の母親ですが、その様子は、まるで恋する少女のように、フレッシュで生き生きとしています。

私にとって、「良い踊り」は、心を飾らず、率直にシンプルに、すべてを感じたまま、ごまかさない(で踊る)ことです。

Interview d'Aurélie Dupont (2/2) - L'Histoire de Manon - Adieux @ Opéra national de Paris」より翻訳引用

この彼女の姿勢は、「良く踊る」ことだけでなく「良く生きる」ことにもつながるのかもしれないと思いました。

常に誠実に、自分自身とも率直に向き合うことで、能力や限界も含めた自分と自分の望みを知ること。もしかしたら、それが、目の前を通る電車を逃さずにすむ第一歩なのかもしれません。

Le Monde, , Interview d'Aurélie Dupont (2/2) - L'Histoire de Manon - Adieux @ Opéra national de Paris

top image via Shutterstock

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