Hotels.comのコーポレートカラーは「赤」。その色を身にまとう生駒さんは、初めて会う人も明るくさせる太陽のようなキャラクター。

過去には縦社会が根強く残る日本企業を経て、関西から東京の外資系へひらりとキャリアチェンジした。旅行や新しいことが大好きという好奇心の赴くままに突き進み、現在はHotels.comの日本代表を務めている。

旅行が好きで、一貫して旅行関係の会社へ

「ホテルが好き!」と目覚めたのは、高校生のとき。短期留学プログラムで初めて宿泊したオーストラリアのホテルで、顧客に寄り添うコンシェルジュに心惹かれたのだとか。

その思いを胸に、大学を卒業後はJR西日本ホテル開発へ。憧れのコンシェルジュにはなれなかったが、海外マーケティングを担当。8年務めたころ、尊敬する上司が退職することになる。

「女性の上司だったのですが『生駒ちゃんも辞めたら? 若者は東京へ行ったほうがいい』と言われて。彼女が個人的にエクスペディアの方と取引があり、そこで私を紹介してくださったんです」(生駒さん)

世界的なシェアを持つオンライン旅行会社のエクスペディアに入社が決まり、東京へ。営業を担当することになった。

「一生セールスはできないかも......」とよぎる不安

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エクスペディアでは日本中のホテルをまわり、新規開拓もした。九州に1週間滞在したと思ったら、翌週は沖縄へ。仕事で大好きな旅行ができるのは嬉しいものの、常に家を空けている生活が続き「このままでいいのだろうか」と思いはじめる。

「一生営業はできないかも、と思っていたところ、同じグループ会社のHotels.comでマーケティングのポストが空いたのです。Hotels.comのダイレクターに話を聞くと、『いいよ、面接受けてみなよ』と歓迎ムードでした」(生駒さん)

Hotels.comは、世界最大手のグローバルな宿泊予約サービスを提供するホテル予約サイト。少数精鋭で一人ひとりがさまざまな業務を担当しており、あらゆることに手を出したい自分に向いていると感じたという。

ただ、異動して大きなハードルとなったのは英語力だった。

「もともとまったく話せないわけではなかったのですが、苦手意識があった英語。入社してみると海外とのコミュニケーションがほとんどで、日本語でも意味がわからないような法務関係のコミュニケーションも含め、半分以上が英語だったのです」(生駒さん)


英語力を磨くため、上司と毎日マンツーマンで1時間の英会話レッスンという名のトレーニングが1ヶ月ほど続いた。「スタッフの長所・短所を論理的に説明する」といったシミュレーションで、「なぜそう思うのか」と深く追求される。

仕事仲間をジャッジする......。そのシビアな行為に「何度も泣いてしまった」と言う。

みずから希望してHotels.comの代表へ

レッスンの甲斐あって、徐々に英語力が上達。ところが、頼っていた上司(当時の代表)が、半年後に退職。代表のポストがあいたまま、生駒さんが代わりに日本のマネジメントを担当していた。

「一般的な日本の会社なら順番を待っていれば昇進するのかもしれませんが、うちの会社は違います。黙っていたら、中途採用の人が代表のポストに入ってしまうでしょう。それでは悔しいからと、自分から『代表をやりたい』と言いました」(生駒さん)

20161011_ikoma_03.jpgそれぞれの会議室には「AMERICA」など、旅行会社らしく地名がついている

望みが叶い、2016年8月に代表へ就任。業務が大きく変わるわけではないが、発言に責任と説得力が伴った。Hotels.comは今年ブランド設立25周年という節目を迎え、お客様の満足を高めるためのさらなるサービス拡充や次の25年に向けた新たな挑戦がはじまっている。

現在、代表として力を入れているのは、数年前から計画しているLINEによるプロモーションだ。ここでも、海外スタッフとのコミュニケーションに苦心した。

「海外のスタッフに話しても、『LINEって何?』『スタンプって何?』という状態。日本人の価値観をわかってもらうために何十回ものプレゼンをしたり、実際に使ってもらったりした結果、発案から2年でようやく『モバイルのために使うなら』と予算が下りたんです」

ライフとのバランスを取りやすい職場。でもいまは仕事に120%

社内スタッフは約9割が中途採用で、さまざまなバックグランドを持つ。価値観の違いをすりあわせる苦労はあるものの、社員の働き方に理解のある会社だという。

「上司がOKを出せば、どこで仕事をしても大丈夫。自宅でも、海外でも。また、家族を会社に招待できるファミリーデイや、毎月社内でお酒やおつまみを用意するハッピーアワーも開催していて、とても雰囲気がいいんです」(生駒さん)

20161011_ikoma_04.jpgハッピーアワーが行われるオープンスペース

20161011_ikoma_05.jpg普段は社員がランチをしたり、自由に使える

日々忙しいものの「いまは仕事をする時期」と考え、香港に住む婚約者も了承済み。さらには、「旅行業務取扱管理者」の国家資格を取得するための講座にも通っているフルパワーぶり。

入籍を翌月に控えるという幸せな時期のはずだが、「精一杯できるのはいましかない」とも考えている。

「代表という立場にこだわらず、新しいことにチャレンジしていきたい」という生駒さんは、苦労までも楽しいエピソードに変えてしまう。これからも好奇心とチャレンジ精神、卓越した行動力で、前へ前へと突き進んで行くのだろう。

生駒千絵

Hotels.com 日本代表

2013年6月よりHotels.com日本のマーケティング・マネージャーを務め、2016年8月より日本代表に就任。日本における同社のブランド認知促進のためのインターネット広告、パートナーシップ・マネジメントなどマーケティング活動のすべてを監督し、SEO・SEMチームと共にウェブサイトへのアクセス数アップを図っている。


撮影/土佐麻理子

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