ニューヨークのラグジュアリーキャリアの一日を追う連載9回目は、フォトグラファーの加藤千晶さん

世界でも1、2を争うフォトジェニックな街、ニューヨーク。その象徴ともいえるタイムズスクエアをはじめ、ヒップスターのブルックリン、エレガントなアッパーイーストサイド、再開発の進むダウンタウン、そして世界中から集まる多様な人々とカルチャー。

どこを切り取っても絵になるNYなだけに、人々の心に刺さる写真を撮るには、フォトグラファーの腕と個性が厳しく試される場所とも言えそう。

そんな最先端の場所で、ファッションから報道まで幅広いジャンルをカメラで切り取る千晶さん。シカゴ出張もこなすジェットセットな彼女の一日とは?

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加藤千晶(かとう・ちあき)
◇ 職業:フォトグラファー
◇ 住まい:マンハッタン、ミッドタウンイースト
◇ 家族構成:ルームメイト一人とシェア

6:30am

起床。前の晩から用意していた撮影機材の最終チェック後、目覚めの一杯をコーヒーで。一日中コーヒーを飲んでいるという千晶さんですが、ソイミルクを入れるのがお気に入り。体を気づかって、朝はカフェイン入り、昼以降はデカフェを飲むようにしているそう。

シカゴ在住の知人とランチの予定があるため、朝食はスキップし、10分でメイク。ワークウェアはパンツにスニーカーなどのフラットシューズがマスト。

取材でさまざまな場所に行くため、失礼のないようにTPOには気を使っています。その分、休日はスカートにヒールで、背筋が伸びる感じを楽しんでいるとか。ショッピングエリアはSOHO。

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©Chiaki Kato

7:50am

Uberでラガーディア空港へ。

8:35am

空港着。心配性なので早めに着くように心がけているそう。

9:55am

搭乗。離陸前、機体トラブル発生のため、乗り換えるようアナウンスが。

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©Chiaki Kato

10:30am

最初の機体を降り、別の機体に乗り換え。NYからシカゴは3時間ほどのフライトです。機内では辻仁成の『サヨナライツカ』を読書。中山美穂主演の映画版が大好きだったそう。

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©Chiaki Kato

2:00pm

シカゴ、オヘア空港着。NYとの時差は1時間です。

2:25pm

空港を出て街の中心へ。Googleマップで検索したところ、車より電車のほうが早いため、時間が押してきてしまったこともあり地下鉄で移動。

1時間遅れたために、ランチの約束がキャンセルに。当初は、初シカゴだったため、シカゴらしいものにトライする予定だったとか。

3:05 pm

シカゴ中心部へ。街は、NYにくらべて綺麗で人ごみが少なく落ち着いた印象。

3:15 pm

撮影スタート。今回は日本の某雑誌向け選挙関連の仕事です。クライアントの詳細なリクエストに従い、日没の4時半まで約700枚を撮影。

使用したカメラはキヤノンのデジタル一眼レフ、EOS 6D。写真を志した頃から愛用している品だそう。

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©Chiaki Kato

4:50 pm

寒かったのでスターバックスで温かいコーヒー購入。気になっていたシカゴのシアターを徒歩で少々観光したあと、すぐに空港へ。

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©Chiaki Kato

5:40pm

オヘア空港着。食事を摂っていなかったため、空港で念願のシカゴピザにトライ。シカゴ在住の知人からもっと美味しいお店があることを聞き、少々残念だったとか。またかならずシカゴを訪れたいそう。

8:05pm

シカゴ発。今回の仕事は締め切りが翌日だったため、機内で写真の確認。提出する約70枚を選びます。

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©Chiaki Kato

11:07pm

ニューヨーク、ラガーディア空港着。Uberで空港を出たものの、疲労のためか行き先を自宅でない場所に指定してしまうアクシデントも。

12:03am

帰宅。2時過ぎまで作業。本日の食事はシカゴピザのみ。普段は3食とることは少ないという千晶さんですが、食事はほぼ自炊だとか。オムライスなどの家庭料理が得意。

2:20am

シャワーを浴び、就寝。寝る前のリラックタイムは、リビングでお酒を片手にルームメイトと話していることも多いそう。

30代を迎えてからの転職。NY行きを決めた5年前の自分に感謝

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©Chiaki Kato

東京で会社員として勤務していたものの、一念発起してニューヨークへ。フォトグラファーのアシスタントをしながら、アートスクールに通い、一から写真を学んだ千晶さん。一見無謀にも思える、30歳を超えてからの大胆な方向転換。その原動力になったのが、同じ東京で働く女性たちでした。

「自立した人が多い東京。その雰囲気にたくさん影響を受けました」

20代後半で結婚話が持ちあがったときに考えはじめたという、自分のこれから。結婚して子どもができたら単身渡米は難しくなり、きっと一生東京にいて仕事をする日々となる。思い悩む千晶さんの背中を、東京で働く女性たちのエネルギーが後押ししてくれました。

旅行が好きで、カメラが好き。日本では「好き」でしかなかった写真を本業とするため、彼女が新天地として選んだのはニューヨーク。

「もともとファッションがやりたくて。ニューヨークでの経験を日本に持ち帰る、それが一番の近道だと思いました」

フリーランスとして活動する現在、ファッションに限らずさまざまな分野の撮影をこなす千晶さんですが、モデルやアーティスト、エクゼクティブなどのポートレートを撮ることが多いそう。

仕事を通じて個性豊かな人々に出会い、たくさんの刺激を受けるのだとか。そんなエキサイティングな毎日を過ごす一方、じつは心配性という彼女。初めてのクライアントとの仕事の際は前の晩、眠れないことも。

「楽しみな反面、期待に応えられるかと不安になってしまって」

強い好奇心と、神経質なほどの高いプロ意識。2つの武器を持ち合わせた彼女の仕事ぶりが信頼を呼び、現在は元のクライアントの紹介で次の仕事につながることがほとんどだと言います。

あたたかなハスキーボイスで、ひとつひとつの質問に誠実に答える彼女からは、妥協を許さない厳しさも垣間見ることができました。

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©Chiaki Kato

来年でさえ、どこに住んでいるかもわからないという千晶さん。

「でも、5年前にニューヨーク行きを決めた自分にはすごく感謝しています。それがなかったらいまがないから。10年後もいまの自分を誇れるようでありたいです」

影響を受けたという東京の女性たちと同様、彼女自身もニューヨークという大都会で、自立した働く女性としての躍動感に溢れていました。

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