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#5 爆発? それとも......。マジナイの底力を体感する!【乙なアート】

#5 爆発? それとも......。マジナイの底力を体感する!【乙なアート】

寒空の下、燃えるような赤を鑑賞して熱(刺激)を感じるススメ。ということで第5回目の連載は、南青山にある岡本太郎記念館で開催されている展示、舘鼻則孝さんによる『呪力の美学』をお届けします。

ラグジュアリーブランド店が続く、表参道駅からの華やかな街並み。そこから少し入ったところにある岡本太郎記念館は、あの岡本太郎さんの住宅兼アトリエだった大きな一軒家。

2階に上がると、真っ先に飛び込んでくる赤い壁面。舘鼻さんのシルバーの作品に壁面の赤が反射し、まるで作品が燃えあがっているかのような空間です。

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じつは舘鼻さんは、初めてお会いした2010年から、私のブログ『KAWAIILABO TOKYO』で何度か取材させていただいています。レディー・ガガのヒールレスシューズを手掛けた日本人アーティスト、というとおわかりになる方は多いかもしれません。

舘鼻さんは話題となった後も前進を続けている、素晴らしい行動力の持ち主。ヒールレスシューズは世界の著名な美術館に永久収蔵されるにいたり、2016年3月には仏カルティエ現代美術財団にて人形浄瑠璃文楽の舞台を初監督されています。

活動の幅が実に広い彼に、今回の展示についてのお話を伺いました。

コンセプトや作品について、舘鼻氏にインタビュー

淳子:まずは今回のテーマである「呪力」についてお尋ねしたいのですが、"呪力=マジナイ"と捉えていらっしゃるのですか?

舘鼻さん(以後、敬称略):今回の展覧会へ向けて、岡本太郎氏の絵画から彫刻、言葉まですべてに目を通したつもりです。そのなかから共通して感じられたのは、岡本氏が「生命」をテーマに創作活動をしているということでした。命というのは美術家のみならず、すべての人間のテーマとも言うべき大きなものであるわけですが、今回の展覧会は岡本氏を通してそのようなプリミティブな事柄に立ち返ってみようという試みを表すものになりました。

展覧会名の『呪力の美学』は、「芸術は呪術だ」と岡本氏は表現していますが、彼が考える原始の日本であり美術の原点とも言える呪力(呪術)に、私の視点として美学という言葉を合わせたもの。岡本氏を通して美術の歴史や、日本というものを見つめてみることが、この展覧会名に込めた言葉の意味と試みです。

淳子:岡本太郎さんは"赤"に対して呪力を意識されているように私は感じるのですが、舘鼻さんがモチーフとして使っている"ツノ(ニョキニョキ)"も呪力を伝えるための表現でしょうか。

舘鼻:展覧会は「生命を象徴する赤い空間」と「死を象徴する黒い空間」の2つの部屋で構成され、部屋の間は橋で結ばれています(岡本太郎記念館の中には展示室を結ぶ橋があり、今回の会場で1番の特徴)。淳子さんがおっしゃる"ツノ"は、赤い部屋に並ぶ、色のない鏡面素材の大型作品の表面から迫り出す凸起のことですよね。これは今回の作品、すべてに共通したモチーフとして登場させていて、"手"を表したものなんです。

岡本太郎作品に『梵鐘「歓喜の鐘」』という鐘の作品があるのですが、見た目には鐘からツノが生えているようなかたちです。しかし、近寄ってみると表面にはたくさんの人間のレリーフが施されていて、そのレリーフの人の手の部分だけが立体として迫り出す格好になっています。この作品に発想を得ました。

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淳子:展覧会のいたる部分において、岡本太郎さんからいい意味で影響を受けていらっしゃるのですね。岡本太郎さんの言葉には「芸術は爆発だ」もありますが、それに匹敵するようなご自身の言葉はありますか?

舘鼻:岡本氏は"芸術家は奇天烈だ"という日本における芸術家像を作り出した人物といっても過言ではないと思います。それくらい昭和の日本に衝撃を走らせたアーティストであり、その最たる言葉が「芸術は爆発だ」でした。

彼の残した言葉こそ衝動的に映ることがありますが、実際には奇天烈とは対照的な、とても構築的な人間です。それは芸術家というものの本質を捉えていることでもあります。縄文の火焔土器からはじまり、日本のことを心眼で見つめた歴史的重要人物だと私は思っています。

彼の言う"爆発"という言葉は、太陽でいうところのビッグバンのようなもので、生命の営みのことを指しているんです。「芸術はいのちのあり方だ」という意味だということです。どのような視点から考えても、彼のような達観した答えを導き出すには私はまだ時間がかかりそうです。

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淳子:期待しています!(笑)そういえば舘鼻さんの高校時代の目標はファッションデザイナーだったと聞きました。一見、現在の芸術活動とかつての目標とが一致していないように感じるのですが、舘鼻さんにとっては、ファッションも芸術も、同じ"表現"なのでしょうか。

舘鼻:姿勢としては、高校生のころから変わっていません。自分にとっての表現手段とは、常に自由であるべきだと感じています。私が高校生のころに憧れを抱いていたファッションという世界は、現代では消費社会のなかに位置し、いまの自分の表現の場には向いていないと思っています。

しかし、時代とともに変化を持つというのはごく自然なことでもあります。文化と社会の接点にフォーカスをして、ファッションやアートの文化価値をいまの時代に定義していくことが私の仕事だと思っています。それは同時に、世界に対して文化を翻訳する仕事だ、とも。言葉が通じなくとも通じ合えるコミュニケーションツールである「ものづくり」という視点を大切にしたいと思っています。

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歴史的な観点を踏まえての舘鼻さんの解説、いかがでしたでしょうか?

舘鼻さんの岡本太郎さんに対する敬意。舘鼻さんが作品と向き合う真摯な姿勢。このインタビューと合わせると、展覧会がより深く楽しめるきっかけになると信じています!!

部屋も庭も、館全体が岡本太郎さんの独特な色彩感覚とパワフルなオーラに包まれているこちらの美術館。『呪力の美学』展は、赤と黒の2部屋を中心にした館全体での展示なのですが、岡本さんの常設作品と相まって、力強い輝きを放っています。

ちなみにこのページのトップ画像は、館内の庭で岡本さんと舘鼻さんの作品に囲まれて......の1枚。庭に面したカフェでひと休みもできますので、お天気のいい日に訪れるのがオススメです◎

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そうそう、岡本太郎さんのドキュメンタリー映画が2018年に公開予定されているとのこと! ですので、いまのうちに作品や著書などに触れておくといっそう楽しめる予感です。

「舘鼻則孝 呪力の美学」

会期:〜2017年3月5日(日)

場所:岡本太郎記念館(東京都港区南青山6-1-19)

開館時間:10:00〜18:00(最終入館17:30)

休館日:火曜日(祝日の場合は開館)

入場料:620円(一般)

問い合わせ:03-3406-0801

岡本太郎記念館

Junko Suzuki

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