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セオリーは通用しないのが人生? 舞踏家・天児牛大氏に聞く「自分の在り方」

セオリーは通用しないのが人生? 舞踏家・天児牛大氏に聞く「自分の在り方」

立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花......。

美しい女の立ち居振る舞いを先人がこう例えたのは、いつの時代だろうか? この社会という大地に足を下ろし、立ち位置を固めることは容易ではない。カフェグローブ世代なら誰もが、ときにそのポジションが揺らぐことを知っている。

まして、艶やかな大輪の花の如くふるまうには、バックステージは常に冷や汗と思索の連続である。なぜならこの世にはさまざまな重力が働くからである......。

重力と対話する舞踏集団「山海塾」

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MEGURI ©Sankai juku

世界45カ国、700以上の都市にて公演、"butô"(舞踏)でその固有の世界を魅せる「山海塾」は、欧州で不動の人気を誇っている。

2017年1月よりフランスを皮切りに席巻した今回のテーマは、「MEGURI」=("めぐる"から派生)【邦題:海の賑わい陸(オカ)の静寂―めぐり】。四季の移ろいや、生命が誕生し朽ち果てるまでのターム、この世のさまざまな循環(輪廻)を7つのシークエンスで綴る。天児牛大(あまがつうしお)氏は、その振付とコンセプト、演出を担う舞踏家である。

最初のパリ公演から実に37年。欧州公演中の天児氏に、その舞台と原点についてうかがった。

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©Sonomi Nguyen

ーー80年に渡仏された当時、それまでまったく日本を離れたことがなかったなかで、決意を形にし今日まで歩み続けて来られた原動力とは何でしょうか?

「大先輩らが創りあげてきた"舞踏"の世界に感銘を受けてきて、それを自分なりにどう継承していくか? 責任について考えた時期があります。渡仏した当初、文化、言葉、食べ物など全てが異なる環境でその違いと向き合い、自分の固有の文化との間でどう均衡を保つか? は、創作に大きな影響を与えました。そこから"普遍性"とは何か? というテーマに行き着いたのです」(天児さん)

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MEGURI ©Sankai juku

ーーテーマについてさらに詳しく、そして異文化のなかでのご自身の在り方についても教えてください

舞台を通して僕がずっと考えていたいテーマは、"人間とは何か?"とか、"どうしてそれは持続しているのだろう?"と自然現象や生命の存在そのものに疑問を投げ続けることです。すべての人間が、表現方法がさまざまでありながらも、文化、民族、出身が違えども同じ感情を共有できる。そういう普遍性を題材に、相手にインプレッションを与えることができるので、それ以外では無駄に抵抗せず、普段の生活は穏やかでありたいと思っています」(天児さん)

ーー日本女性はとくに、自分の年齢やキャリア、経験を「世の中的」 なものさしで測ってしまいがちです。多数決の常識に揺らがないために必要なことは何でしょう?

「多くの情報から自分が何をどう選びとるか? そして、その情報がもたらす印象で自分の範囲を狭めてしまう傾向がある気がします。僕自身は、なにかひとつの思想や理論に集中してしまうと、ほかを受け入れようとする意識を排斥してしまうのでそういう考え方を持たずに、俯瞰でベースにあるものを見つめることを大切に思っています」(天児さん)

ーー女性にとっても立ち居振る舞いは大切ですが、舞踏の妙技とは何でしょうか?

「踊る(ダンス)という行為を説明するときに、飛ぶことの難しさや技術にフォーカスしがちですが、まず大前提に、浮上するためには、あえて重力に抵抗して身体の力を抜く。それが大切なんです。身体を動かす行為を考えるとき、この緊張(張り)と、緩和(リラクゼーション)の組み合わせによって、ひとつの動きが生み出されます。踊るうえでそれはもっとも重要な出発点だと思うのです」(天児さん)

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MEGURI ©Sankai juku

高揚、嫉妬、焦燥、欲望、競争心、etc......。目に見えずとも自分の足元や内面をゆすぶるさまざまな"重力"が、私たちが飛ぼうとする先を阻み、逆に力さえ与えることもある。彼らの舞台は、言葉を持たず、目前に浮遊するそれらエレメントと人間の相対性を紐解き続ける。

男性のみの舞踏集団が海を越えて魅せるものは、生命を宿すフェミニズムであったりもする。たおやかな天空世界に身を任せ、次に飛ぶ場所へ向けて心を整えてみてはどうだろうか?

天児牛大(舞踏家)

1975年「山海塾」を旗揚げ。1980年最初のパリ公演を果たし、'82年以降パリ市立劇場との共催で2年に一度新作を発表し、今日に至る。1992年フランス政府より芸術文化勲章「シュヴァリエ」賞を受賞。「山海塾」の振付・コンセプト・演出を手掛ける。

日本公演 福岡・北九州『降りくるもののなかでーとばりー』

2017年3月19日(日)14時開演

会場:北九州芸術劇場 中劇場

http://www.sankijuku.com/sankaijuku_j.htm

写真/MEGURI ©Sankai juku

Writing byニュイエン園美

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