1. Home
  2. ライフスタイル
  3. 計算では動かない。情熱が天から降ってくるの【マイウェン監督インタビュー】

計算では動かない。情熱が天から降ってくるの【マイウェン監督インタビュー】

今この映画

計算では動かない。情熱が天から降ってくるの【マイウェン監督インタビュー】

仕事では経験を積めば問題への対処法がわかるようになるものの、いくら経験を積んでもときに何が正しいのかわからなくなってしまうものがあるとすれば、それこそ恋愛。そんな風に感じている大人の女性たちは多いのでは?

とくに、愛に対して不器用な私たち日本人は、"愛の国"フランスに憧れがちだが、話題作『モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由』では、真実の愛とは何かを痛いほど見せつけられる。そこで、監督を務めたマイウェンに本作を通して伝えたい思いや女性たちへのアドバイスを聞いてきた。

映画で幸せな人々を描くのは難しい

現在、女性監督としてフランスで大きな注目を集めているマイウェン。もともとは子役として活躍していたが、リュック・ベッソン監督との出会いで女優業を一時休止し、17歳にして結婚、出産を経験している。

その後、2人は破局してしまうものの、彼女は女優として復帰するだけでなく、監督としての才能を開花させた。

そんなマイウェンが、今回描いたのは10年にわたる男女の関係。長年考えていたテーマだったというが、どのようにして生み出されたのだろうか。

「インスピレーションというのは、純粋科学ではないから、実験室で『これだけの何かと私の何かを入れたらどうなるか』ということを考えながらつくっていくものじゃないのよ。でも、どんなアーティストも自分が興味のあるものを出していくものではあるわね」

とはいえ、本作を制作する前は「映画で幸せな人々を描くのは難しい」と感じていたという。その理由とは?

正直言って、すべてうまくいってる幸せなカップルを描いた作品なんて、世界で一番退屈な映画になると思うし、ストーリーとしても時間が持たないんじゃないかしら(笑)。というのも、幸せな瞬間というのは甘ったるくてセンチメンタルになりがちだから、そこから真実を引き出すのはすごく難しいことなの。だから、そういう部分をストレートに描くのではなくて、少しひねって練りあげた感じで出さないと幸せな瞬間の真の姿というのはなかなか出てこないものなのよ」

その言葉通り、愛によって引き出されるであろうすべての感情を見事に描き切っている。今回、それぞれの人物に自分自身を投影している部分があるという監督だが、やはり女性の視点から見ているだけに、フランス人も日本人も関係なく女性は共感してしまうところは多い。

しかし、セックス描写については意見が分かれるところもあるかもしれない。監督が考える恋愛関係においてのセックスとは何だろうか。

20170323_movie_02.jpg
©PRODUCTIONS DU TRÉSOR

「まず、ここに描かれているのが代表的なフランス人カップルと思わないでね(笑)。というのも、セックスレスは日本だけじゃなくてフランスでも同じこと。こんな風に情熱が勝ってるカップルというのは、セックスから何かを注入しているから腐れ縁になってしまうのよ。だから、もし彼らの相性が悪かったら、もっと早く別れているんじゃないかしら。私はカップルが長続きする理由の50%はセックスが占めてると思ってるわ

恋するように仕事をしている

この作品を観ていると、これまでの自分の経験と重ね合わせて、さまざまな思いが駆け巡る。そんな気持ちに掻き立てられるほどリアルな傑作に仕上がった勝因としては、主演を務めた2人の熱演なしには語れない。

ダメ男でありながらも、どうしようもなく惹かれてしまう魅力と色気を持つ男性にここまでの説得力を持たせられるのは他でもない、フランスの実力派俳優ヴァンサン・カッセル。観客として見ているだけでも、彼の一挙手一投足には思わず心を鷲掴みにされてしまう。

「彼自身もとにかく何でもスピーディな人で、自分が占領したいタイプの男性よ。すごく愉快だし、頭の回転も速いわね」

そんなヴァンサンは、マイウェンのことを「物事を捉える感覚が敏感で、人間の潜在能力や欠陥をすぐに見抜くことができる人」と話しているが、まわりに対してつねにアンテナを張り巡らせているのか聞いてみた。

20170323_movie_03.jpg
Photo:MITSUHIRO YOSHIDA Hair&Make:Mariko Kubo

「私自身はあんまりそういうことは意識してないわ。たとえば、相手に対して興味があると思ったときは、『監督としてこの人の中から私が引き出したいものを引き出せるかしら』ということをまず考えはじめるの。もちろん、誰にだって引き出せるものは何かあるのよ。それが容易な人と難しい人というのがいるけれど、私が目指しているのはその人の個性やパーソナリティというのをうまく引き出すこと

千里眼ともいえる観察力を持つ彼女だからこそ、普段は監督として活躍しているエマニュエル・ベルコをカンヌ国際映画祭で女優賞に輝かせることができたのかもしれない。事実、「エマニュエルがすごく幸せなときにより美しく見えるのは、私が演出しているからよ」と自信たっぷりに微笑んだ。

インタビュー中、質問ひとつにしても、意味がきちんと理解できるまで聞き返す姿勢からはどんなことにも妥協しない性格であることが伺える。映画づくりにおいてもいかに真摯に向き合っているかは想像に難くない。そこまで駆り立てているものは一体どこにあるのか?

「私と職業の関係と私の恋愛というのは、すごく似ているところがあるんだけど、天から降ってくるような感じで私自身には選択の余地がないの。だから、自分で選んだり何か計算したりしているとか、自分を駆り立てるものがあるというよりも、情熱が降って湧いてくるのよ

無理に変わる必要はないから、そのままでいい

昨年、フランス映画祭で来日したばかりの監督が1年も経たずしてふたたび日本を訪れたのは、じつはプライベートでの旅行。それほどまでに日本が気に入っているようだが、日本人はどう見えているのか気になるところ。

「日本とフランスでは文化的に違う部分がすごくあるけれど、私が見たところ日本人は建前を重視していて、まわりからどういう風に見えているかをすごく意識して生きていると思うわ。

一方、私たちフランス人は、自分がそうしたいと思ったときには行儀が悪いことでも平気でやってしまうこともあるから、わりと本音と建前が一致しているのかもしれないわね。でも、私が日本で過ごしやすいと感じているのは、そうやって波風を立てないようにしようとする穏やかさがあるからなの」

最後に、仕事でも恋愛でも、臆することなく突き進むようなエネルギーを感じさせるマイウェンから、悩める日本の女性たちに向けて、前に踏み出すためのアドバイスももらった。

「私が思うに、フランス人だって変われないんだから、日本人もそのままでいいのよ。私は調和を保とうと努力する女性も美しいと思うし、すぐにわめき出す女性もそれはそれでいいと思う。それぞれの文化を無理に変えなくていいと感じているの。それよりも一番大事なのは、自分自身とちゃんと調和や折り合いがとれているかということ。だから、もし自分がやりたくない仕事をイヤイヤやっていたり、好きでもない男と仕方なく暮らしていたりするなら、そういうときはやっぱり戦わないといけないと思うわ」

20170323_movie_04.jpg
Photo:MITSUHIRO YOSHIDA Hair&Make:Mariko Kubo

恋愛観やセックス観について、女友達といつまでも話していたくなるほど胸を熱させる本作から感じることは、楽しさだけをもらえるのが「恋」なら、最高の喜びと痛みを与えるのが「愛」。だからこそ、愛は人を賢くもするし、愚かにもする。

でも、それこそが恋愛の醍醐味であり、鼓動のように生きている実感を味わわせてくれるものなのかもしれない。

『モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由』

監督:マイウェン

出演:エマニュエル・ベルコ、ヴァンサン・カッセル、ルイ・ガレル、イジルド・ル・ベスコほか

2017年3月25日(土)よりYEBISU GARDEN CINEMA、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開

配給・宣伝:アルバトロス・フィルム、セテラ・インターナショナル

© 2015 / LES PRODUCTIONS DU TRESOR - STUDIOCANAL

http://www.cetera.co.jp/monroi/

Photo:MITSUHIRO YOSHIDA

Hair&Make:Mariko Kubo

志村昌美

  • facebook
  • twitter
  • hatena

    Ranking

    1. 誰かに教えたくなるやばい日本史。歴史上のあの人物には裏の顔があった!

    2. 「最近急に太ってきた。さあどうする?」の正解は

    3. あなたの「怒りタイプ」がわかる。アンガーマネジメント診断

    4. 猫背が伸びると気持ちいい! 肩を開くストレッチで、悪い姿勢を解消しよう

    5. 女医さんに聞く、 誰にも聞けないデリケートゾーンのトラブル解決法

    6. 人からの評価を気にする完璧主義者は「プライド型」の緊張タイプ。対処法は?

    7. Sexが痛い!婦人科医からの性交痛治療アドバイス [The New York Times]

    8. 冬の隠れ悩み「デリケートゾーンのかゆみ」には正しいケアを

    9. 「やりたい仕事よりも、まずは求められる仕事をしよう」。心に留めておきたい林修先生の仕事論

    10. 脚がむくむ、乾燥してかゆい。それって「隠れ下肢静脈瘤」かも

    1. 誰かに教えたくなるやばい日本史。歴史上のあの人物には裏の顔があった!

    2. 猫背が伸びると気持ちいい! 肩を開くストレッチで、悪い姿勢を解消しよう

    3. 「やりたい仕事よりも、まずは求められる仕事をしよう」。心に留めておきたい林修先生の仕事論

    4. あなたの「怒りタイプ」がわかる。アンガーマネジメント診断

    5. 人からの評価を気にする完璧主義者は「プライド型」の緊張タイプ。対処法は?

    6. そもそも、なぜコミュニケーションが苦手なのか。この4つが原因かもしれません

    7. 女医さんに聞く、 誰にも聞けないデリケートゾーンのトラブル解決法

    8. 「最近急に太ってきた。さあどうする?」の正解は

    9. 賢い人ほど、とんでもない勘違いをしている? 思い込みにとらわれず世の中を正しく見よう

    10. 人生の宝物にはすべて、40歳を過ぎてから出会った/夏木マリさん[インタビュー後編]

    1. 人を動かしたいなら? 「やれ」と言ってはいけないんだって

    2. 誰かに教えたくなるやばい日本史。歴史上のあの人物には裏の顔があった!

    3. あなたの「怒りタイプ」がわかる。アンガーマネジメント診断

    4. 生きづらさを感じている人は必見。『自分の「人間関係がうまくいかない」を治した精神科医の方法』

    5. 女医さんに聞く、 誰にも聞けないデリケートゾーンのトラブル解決法

    6. 現役東大生のシンプルな勉強法で、効率的に学ぼう

    7. 猫背が伸びると気持ちいい! 肩を開くストレッチで、悪い姿勢を解消しよう

    8. そもそも、なぜコミュニケーションが苦手なのか。この4つが原因かもしれません

    9. ポイントは割り下の黄金比率。究極の「すき焼き」レシピ

    10. 賢い人ほど、とんでもない勘違いをしている? 思い込みにとらわれず世の中を正しく見よう

    計算では動かない。情熱が天から降ってくるの【マイウェン監督インタビュー】

    FBからも最新情報をお届けします。