相手をリラックスさせるような物腰の伊藤智子さん。おだやかな雰囲気とは裏腹に、次から次へと新しいこと、初めてのことにチャレンジしているのだそう。しなやかな対応力を身につけながら、これまで歩んできたキャリアを伺った。

理系出身ながら、最初の就職はウェブメディアの編集

もともと理系出身の伊藤さん。「超」が付く就職氷河期だったこともあり、卒業後はワーキングホリデーでオーストラリアへ。帰国後は2年ほどアルバイトなどをして、その後、ウェブメディアの編集部へ入ることになった。

「音楽情報を掲載するウェブメディア『BARKS』をお手伝いする仕事に。事務からスタートしましたが、すぐに記事の執筆や編集をすることになりました。文章をしっかりとチェックしてくれる編集部で、書いた記事に編集長からOKをもらえたのは、ようやく1年経ったころ。すごく嬉しかったのを覚えています」

20170324_career_02.jpg

もともと音楽が好きだったため、音楽に携わり、業界のことを知っていくのは大きな喜びとやりがいがあった。ただ、働く時間が長かったこともあり、「違う仕事もしてみたい」と思っていた。ちょうど、音楽専門チャンネルを運営している当時のエム・ティー・ヴィー・ジャパン(現バイアコム・ネットワークス・ジャパン)で募集があるのを知る。

ライセンス事業にビジネス英語と、初めてのことばかり

入社後の2年間は、新規事業部でイベントやカフェ事業など、さまざまなことを経験した。その後、会社が現在のように米バイアコムの100%子会社となり、会社としてライセンス事業をスタート。そのタイミングで、コンシューマープロダクツ部から伊藤さんに声がかかる。

「米バイアコムが保有するアメリカのアニメなどを扱うため、『やりとりは全部英語』と言われました。ワーキングホリデーで1年間の海外経験はあるものの、ビジネス英語はまったく自信なし。さらに、ライセンス事業のスタートなので初めてのことばかりです。それでもよければ、と言われ、チャレンジすることにしました」

20170324_career_03.jpg

初めての経験となる仕事を進めながら、1年間必死で英語を勉強した。日本でキャラクターやロゴを商品化する際には、必ず英語でのレポートや、海外にいる責任者への説得が必要になる。海外の例を参考にしながら無我夢中で取り組んだ。

『ウサビッチ』のケータイ用ストラップが大人気に

「アメリカのアニメだけでなく、2006年にデジタル配信がスタートした日本発のアニメ『ウサビッチ』を商品化することに。日本発のキャラクターは初めての試みでしたが、コンテンツに魅力がありファンも多かったので、商品は大ヒットしました」

ライセンスの仕事は、商品によって毎回勝手が異なる。これまでには、パチンコ台など、思いもかけないライセンスがたくさんあった。

20170324_career_04.jpg
MTVロゴのライセンスも伊藤さんの担当。近年はアパレルとの取り組みが増えている

「2011年の震災後はエンタメ事業そのものが落ち込み、苦しい時期もありました。それでも、毎回さまざまな業種の方とご一緒できるので、とても楽しく感じています。ライセンスの仕事を9年やっていますが、まったく飽きることがないです」

入社して11年の間、親会社や組織の変更を何度も経験した。最初は戸惑いもあったが、いまでは動揺することはないそう。対応力が身につき、「変わること」に抵抗がなくなったのだろう。

人とのコミュニケーションで「今」をキャッチアップ

仕事の難しさは、流行が変わりやすいことだと言う。

「流行は繰り返すと言いますが、たとえば"80年代"が流行っても当時そのままではなく、何かしら『いま』のエッセンスが入っています。だから、お仕事で知り合う若い方とたくさん情報交換をして、『いまっぽさ』をキャッチするように心がけています」

流行に合わせて、キャラクターやMTVロゴなど、注力する商品を変えていくという。

ちなみに部署内はすべて女性。やはり、女性のほうがトレンドに強いのかもしれない。社内は性別や年齢に関係なく、働きやすい職場だという。

「若くてもシニアマネジメントを任されるなど、いい意味で実力主義。女性ならではの生理休暇もあり、上司にも言いやすい雰囲気があります。私自身は上司が外国人なので、『察して欲しい』じゃなく、なんでもオープンに伝えるようになりましたね」

キャラクターなどのライセンスビジネスは、流行に左右されやすい。さらに毎回のように違う商品を扱ううえ、組織変更も日常茶飯事。そんな変化に富む毎日で身につけたのは、そのしなやかさ。これからは、「アメリカのものを日本で販売するだけでなく、日本のものを海外に提供していきたい」という。

伊藤さんなら、身につけた英語力と対応力で、日本発の魅力的なキャラクターを世界に発信してくれそうだ。

20170324_career_05.jpg

伊藤智子

バイアコム・ネットワークス・ジャパン株式会社 コンシューマープロダクツ部 シニアライセシングマネージャー

米バイアコムが保有するコンテンツ、MTV、ウサビッチ、スポンジ・ボブなどのライセンス事業を担当。ライセンス営業、商品アプルーバル、海外とのやりとり、契約書など商品化に向けたすべてのフローを担当している。