ニューヨークのメトロポリタン美術館(MET)で毎年開催される、アナ・ウィンター主催の「メットガラ」

5月4日からスタートする2017年度のテーマが、「Rei Kawakubo/Comme des Garcons Art of the In Between(邦題:川久保玲/コム デ ギャルソン/間の技)」ということでも注目を集めています。MET開館以来最多である、80万人以上が来場したという2015年度の「China: Through the Looking Glass:鏡越しの中国」を超える来場者数も期待され、開幕まで1ヶ月を切りました。

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(c)2016 MB Productions, LLC

そんな「メットガラ」2015年「China: Through the Looking Glass:鏡越しの中国」の準備期間、そして当日の様子を記録した、ドキュメンタリー『メットガラ ドレスをまとった美術館』が4月15日(土)より公開されます。

同展のキュレーター、アンドリュー・ボルトンとMETの理事でもある米VOGUE編集長、アナ・ウィンターに焦点を当て、準備期間の8ヶ月に密着。アメリカと中国の政治的な関係や、美術館上層部やデザイナーからの異論、頓挫するメインゲストとの交渉に、寄付金という収益が左右される招待客の席順......。「メットガラ」を必ず成功に導かねばならない2人は、次々と襲いかかる難題の嵐を、苦しみながらも切り抜けていきます。

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(c)2016 MB Productions, LLC

「氷の女」アナが見せた「母の顔」

アンンドリュー・ロッシ監督を信頼し、企画からカメラが入ることを許したアナは、なんと仕事場だけでなく、自宅内も撮影を許可。アナの仕事ぶりとともに、普段あまり見せることのない「母の顔」が記録されているところも見所の一つです。そんな自宅でのアナについて、監督は

「お嬢さんといるときの彼女はおもしろかったよ。メットガラの直前、娘さんがアレクサンダー・マックイーンのドレスを試着していた時に、母親としての柔らかい顔がにじんでいたのが、とても興味深かった」

と語っています。アナもプライベートでは2児の母であり、そして働く母でもあるのだ、ということに、改めて気づかされます。

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(c)2016 MB Productions, LLC

対立を恐れないこと。そこに開ける道があるから

38歳で米VOGUE編集長に就任してから、30年間も第一線で活躍し続けるアナ。「ガラ」の装飾スタッフにも容赦なくダメ出しをし、招待NGのゲストに対するシビアな対応など、自分の美意識にそぐわないことや人をバッサリ切っていく姿は、まさしく「プラダを着た悪魔」。

だけれど、30年もの間、人の上に立つということは、並大抵な人にはできないこと。8ヶ月間をともに過ごしたロッシ監督は、アナのリーダーシップの秘訣をこう語ります。

「彼女の秘密の儀式を全部知っているわけじゃないんだけど(笑)、アナは朝すごく早く起きて、常に頭がクリアな状態なんだ。周りには、幅広い年齢の様々な人がいて、皆がファッションに対して大きな情熱を、そして、大きなチャレンジを受けて立てるフレキシビティを持っている。彼女は、"自分の周りにそういった人が自然と集まり、最高のチームを作ることができる"、という才能が秀でているんだと思う。対立や物議が起こると予想していてもそれを怖れない。『だからこそ開ける道がある』というのがアナなんじゃないかな」

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(c)2016 MB Productions, LLC

2017年度の開幕まで1ヶ月を切り、まさに今METの裏側では、本作と同じような情景が繰り広げられているはず! 「華々しいレッドカーペットの裏で、流される汗を知って欲しいんだ」という監督の一言に、ハッとしました。一夜限りの夢の世界のために、8ヶ月間走り続けるその情熱を、肌で感じられる作品です。

メットガラ ドレスをまとった美術館

原題:「The First Monday in May」
監督:アンドリュー・ロッシ
出演:アナ・ウィンター、アンドリュー・ボルトン、ウォン・カーウァイ、ジョン・ガリアーノ、 ジャン=ポール・ゴルチエ、カール・ラガーフェルド、リアーナ、ほかセレブリティ多数
配給:アルバトロス・フィルム
公式サイト:http://metgala-movie.com/
1974年/アメリカ/91分
Bunkamura ル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国ロードショー
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