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#14 幸せを見つけるのは自分次第。EQの大切さを教える大学教授【ニューヨークで働く一日】

#14 幸せを見つけるのは自分次第。EQの大切さを教える大学教授【ニューヨークで働く一日】

ニューヨークのラグジュアリーキャリアの一日を追う連載14回目は、マンハッタンにある私立大学非常勤教授のKanako Rossoさん。

日中は会社員として働き、週に2回ミッドタウンにある大学で心理学の教鞭をとる彼女。実はそれだけにとどまらず、ニューヨーク州認定スクールカウンセラー、そしてパステルシャインアートのインストラクターとしての顔も持っています。まさに多才。マルチな才能を発揮しつつ、個性豊かなニューヨークの学生に教えるのが楽しくて仕方がない様子のKanakoさん。

そんないくつもの顔を持つ彼女のフルスロットルな一日とは?

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Kanako Rosso(かなこ・ろっそ)◇ 職業:大学教授(バークレー・カレッジ、心理学教授)/会社員/パステルシャインアート・インストラクター◇ 住まい:マンハッタン、アッパーウェストサイド◇ 家族構成:アメリカ人のご主人と二人暮らし

【6:00am】

起床。トロピカルなものが好きだからとフルーツジュースを飲み、大学関連のメールをチェック。学生からのメールは24時間以内に返信するルールがあるのだそう。

【7:10am】

地下鉄で出勤。本日は、夜間に大学での授業が控えているため、早く出社する必要があります。

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【7:45am】

ブルックリンにある勤務先の最寄り駅に到着。カフェに立ち寄り、ラテを購入。このカフェでは採点をしたり、レッスンプランを考えたりもするそう。

【8:00am】

始業。Kanakoさんは、人事業務を担当しています。

【12:00pm】

ランチタイム。勤務先は食品系のため、まかないが食べられるのだそう。

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【4:45pm】

退社。大学へ向けて出発。マンハッタンの中央駅である、グランド・セントラル・ステーションで降ります。

【5:15pm】

大学に出勤。レッスンプランをコピーするなど準備作業。授業開始の10分前には教室に入り、早く来ている学生とおしゃべりするひとときを持ちます 。

【6:00pm】

2時間半の講義がスタート。

【8:30pm】

本日の講義終了。授業の後もしばし学生とおしゃべり。概して夜間クラスの学生は日中はフルタイムの会社員でモチベーションが高く、質問も多いのだとか。なかには、マンハッタンでビジネスをしながら、メリーランド州から3時間かけて通っている学生も。

【9:00pm】

お気に入りというスーパーマーケット「トレーダー・ジョーズ」でグローサリー・ショッピング。夕食を購入。自炊はしない、と言い切るところにKanakoさんの合理的な性格、さらに潔さを感じます。

【9:30pm】

帰宅。スーパーで購入したリコッタチーズ、トマトと野菜入りのパスタで夕食。シャワーを浴びて髪を乾かす間に、その日の出欠のチェックや、学生に課している日記を少しずつ読みます。じつはこの日記、Kanakoさんは35名を2クラス担当しているため膨大な量。

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彼女の感情学習の原点といえるのが、母親との交換日記。日記は自己開示のプロセスとして重要であり、学生も「コメントを書いてくれるのが嬉しいみたい」とのこと。

ご主人もオンラインの大学で授業をとっているため、一緒に勉強しています。レッスンプランは週末に考えることが多いそう。

【12:00pm】

就寝。

IQだけじゃダメ。人間性を高めなければ世の中はうまく渡れない

20170503_ny_06.jpg学部長であるDr.Ralph Petersと校舎ビルの前で談笑。

東京都出身、父親の仕事により5歳のときにニューヨークへ渡ったKanakoさん。10歳で帰国した後は日本の大学に進み、外資系商社に就職しました。そして、25歳のときに一人旅で再びニューヨークへ。

「住んでいた頃とは、違う景色に見えました。多様性が実にエキサイティングで戻ってきたい、と留学のことを考え始めました」

27歳でウェストチェスターの大学に留学し、心理学を専攻。日本の大学では特にパッションもなく、英語ができるという理由で外国語学科を選んだというKanakoさん。しかし、もともと人間観察が好きで、人と交流し、サポートする仕事をしたいと思っていた彼女。心理学が好きなことだったと気づいた、と言います。ニューヨークの大学院では、スクールカウンセラーの資格を取得。

「留学時代に小学校でインターンとして働いた経験は、現在の仕事にも活かされています。オープンな心でなんでも試してみることの大切さを実感し、たくさんの引き出しになるヒントを学びました。童心に還ったような心で授業に参加してね、と学生に伝えています」

一度はビザの関係で帰国するものの結婚を機に渡米。そして大勢の前で話したことすらない彼女が即戦力を見込まれて「採用の翌週には教壇に立っていました(笑)」と、いうニューヨークらしいスピードで大学教授に。

Kanakoさんが教鞭をとるのは、ヒューマンリレーションズのクラスです。人間関係をいかに良くして楽しい人生を送るか、をテーマに、言語/非言語コミュニケーションスタイル、自尊心の育て方、ポジティブ心理学、モチベーション、自己開示法、ストレスとの付き合い方、チーム作り・リーダーシップ論、衝突があったときにどのように穏便に解決するかなどを心理学の観点から様々なアプローチで学んでいきます。

その全てのベースとなるのがKanakoさんの専門である、エモーショナル・インテリジェンス。一般的に「EQ」と呼ばれるスキルです。

IQだけでは世渡り上手になれません。人間性を高めることも大事です。自分を内観し、気づきを促すきっかけ作りを心掛けています」

15週間の学期が終わると、学生から「セラピーのようだった」という感想を受けることも。学生たちは20代から60代と幅広い年齢層で、軍隊に所属していた経験があったり、元ホームレスだったり、学生や会社を立ち上げたばかりの学生だったり、と多様性に富んでいます。

「わたしが教える立場ではありますが、わたしの経験したことのないバックグランドを持つ彼らからも多くの気づきのプレゼントを頂いています

Kanakoさんの授業は、一般教養科目の中のひとつなので、ビジネス、ファッション、IT、医療、法律など、学生がそれぞれに異なる専攻を持っています。そのため、学んだことの活かし方もさまざま。

「単なる知識のインプットではなく、インターンシップ先や会社、家庭などで、いままで上手くいかなかったことが最近穏やかになりました、なんて報告をもらうと嬉しいです」

自分の心の持ち方、対処の仕方で周りは変わってくる。相手も自分も気持ちよく過ごせることを創造するチカラこそIQの高さよりも必要な、成功するための第一歩なのかもしれません。

終始笑顔を絶やさず丁寧に語るKanakoさん自身、誰もが好感を持たずにはいられないムードの持ち主です。ブライアントパークに程近い、チョコレートショップで行ったインタビュー。「あんなに美味しいホットチョコレートは初めてです」と取材後にメッセージを下さった彼女に、思わず私の心も温かくなりました。

EQの大切さを何より「彼女の存在そのもの」が教えてくれているようです。

撮影(人物)/Fumika Sugimoto 取材・文/神田朝子

神田朝子

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