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キリッと舌にくる酒。谷崎潤一郎ゆかりの蔵のスパークリング

キリッと舌にくる酒。谷崎潤一郎ゆかりの蔵のスパークリング

京都・伏見でもっとも古いといわれるにごり酒と古酒の蔵元、創業1675年の「増田徳兵衞商店」。日本酒「月の桂」を手がける酒蔵として知られます。

およそ55年ほど前に、明治時代以降にいちど製造が禁止になったにごり酒を、日本最古の料理本と呼ばれる『本朝食鑑(ほんちょうしょっかん)』をもとに"にごり酒"として再現させた造り酒屋なのです。

江戸時代に発行された『本朝食鑑』の著者は、江戸幕府に仕えた侍医を父にもつ人見必大(ひとみひつだい)。医学的見地から庶民の摂取する食物の効果、滋養、構成をまとめ、全12巻で構成しています。

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© Nguyen Sonomi

増田家は、徳川時代中宿をしていた歴史があります。12代目以降の当主の文化的教養の高さも相まって、増田家には、知る人ぞ知る文化人が足繁く通いました。

独自の美意識を貫き、作品世界だけでなくそのパーソナリティに魅了されたファンも多い、耽美派・谷崎潤一郎。この文豪の衣食住と、その様式美へのこだわりは有名ですが、彼の日本酒についての書簡がこの蔵元に存在します(書簡は非公開)。

「灘の男酒、伏見の女酒」と呼ばれるように、彼の作家性と似通ったしなやかな軟水から生まれるこの伏見の酒へ魅せられたのか、谷崎氏がしたためた書簡の宛先は、友人、永井荷風氏。京都の蔵元、増田徳兵衞商店の当主13代目を紹介する内容です。

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© Nguyen Sonomi

なにしろ、『陰翳礼讃』の著述にもあるように、谷崎氏は偏屈な文人であったと言われています。

客嫌いの私はよほど気の合った同士とか、敬愛している友達とかに久振で会うような場合を除いて、めったに自分の方から喜んで人に面接することはなく、(中略)文学者は朋党を作る必要はない、なるべく孤立している方がよいという信念があったのであるが(中略)私が永井荷風氏を敬意するのは、氏がこの孤立主義の一貫した実行者であって、氏ほど徹底的にこの主義を押し通している文人はいないからである。

谷崎潤一郎著『陰翳礼讃』人ぎらいより引用

醸造学の最高権威、故・坂口謹一郎氏お墨つきの酒

この渦中の13代目が、昭和40年に「大極上中汲にごり酒」を誕生させるのです。昭和のはじめごろに当時の酒税法で、もろみを濾さないと日本酒と認定されない、という規定があり、どぶろくと呼ばれる酒は明治以降姿を消してしまいます。

にごる=もろみが残っているという理由で、税務署とさまざまな押し問答があったなか、特殊な汲み出し法「中汲み」を認可させ、ついに翌年41年に発売します。

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© Nguyen Sonomi

にごり酒とどぶろくの違いは、

「月の桂大極上中汲みにごり酒」は、その名の通り厳冬期に仕込まれた清酒がその味わいを静かに醸し出す工程で、もろみが十分に発酵し熟成したころに桶の中ほどから汲み出される酒なのだそうだ。

上槽したばかりの生酒のオリを分離させて、一回だけ"オリ引き"したものがにごり酒。もろみを濾しとらないどぶろくとは性格の異なる酒である

「増田徳兵衛商店プレスリリース」より引用

そして現在、国境を越えてとあるNYの4つ星レストランでも使用されているのが、「祝・純米大吟醸にごり酒」。軽い発泡とキリッとした飲み口は、日本酒なのに「スパークリング」という言葉がぴったりはまります。

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© Nguyen Sonomi

谷崎氏の書簡には、厳密に酒の名称を指し示す言葉が入っていません。それは、酒の味の向こうに存在する、研鑽した酒作りと豊かな文化教養を両方蓄えていたこの蔵元当主との談議が、なによりのアテであり、贅沢なひとときだったからではないでしょうか。

どういった銘柄をどのようなアテと飲むか、というマテリアルはもちろんですが、それ以上に、酒を通したコミュニケーションとは何かを考えさせるエピソードともいえます。酒にこめられた逸話で粋に一杯というのはいかがでしょうか?

増田徳兵衞商店

ニュイエン園美

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