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#15 人生に無駄はないからネガティブには考えない。NYの洋裁教室主宰・デザイナー【ニューヨークで働く一日】

#15 人生に無駄はないからネガティブには考えない。NYの洋裁教室主宰・デザイナー【ニューヨークで働く一日】

ニューヨークで働く女性の一日を追う連載15回目は、洋裁教室を主宰する中浦都志子(なかうらとしこ)さん

ニューヨーク州立ファッション工科大学(FIT)で学んだのち、「ポロ ラルフ ローレン」のライセンス・コーディネーターや丸紅米国会社で「ブルックス ブラザーズ」などニューヨークを代表するブランドに携わります。キャリアを積んだのち、双日米国会社でプロダクションマネージャーに。

そして2009年に「Sew Easy New York」を設立。好きなものを自由に作る洋裁教室で日々、服作りの楽しさを広めている都志子さん。

最近は、2016年の秋に開設したネットショップで、着物の帯をアップサイクル(再利用するだけでなく、元の素材より価値の高いものを生みだすこと)して作るバッグにも力を注いでいるとか。

長年ファッション業界でデザイナー、パタンナー、プロダクションマネージャーとして活躍してきた経験を活かし、精力的に活動する彼女の一日とは?

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中浦 都志子(なかうら・としこ)◇ 職業:洋裁教室「Sew Easy New York」主宰/デザイナー/ネットショップ・オーナー◇ 住まい:クイーンズ、サニーサイド◇ 家族構成: 日本人の夫と2人暮らし

7:00am

コーヒーを飲みながらEメールチェック。明日のレッスン予約のリマインダーを送信。SNSの更新。インスタグラムとフェイスブックに複数のアカウントを持っているそう。1日に2回更新することも。ブログは週1回ほどの更新ですが、この時間に書きます。

9:00am

教室のミシンをセットするなど準備スタート。

10:00am

レッスン開始。マンハッタンから地下鉄で15分ほどの閑静な住宅街にある都志子さんの教室は、セミプライベートレッスン。2名の生徒がそれぞれ好きなものを製作します。

生徒は日本人がメインですが、男性やアメリカ人も。「アレキサンダー・マックイーン」風の服を妻のために製作したクリエイティブな男性もいたとか。ファッション工科大学やパーソンズ美術大学に入るためのポートフォリオ用に製作していた生徒も。

初級コース(7回)では4アイテム(トートバッグ、ジップポーチ、伸縮素材のチュニック、ワンピース)を作りますが、このコースを修了すれば洋服が自分で作られるように指導してくれます。その後に製作するのは子ども服から「シャネル」風のスーツまで生徒によってさまざま。

ぴったりした「ダイアン フォン ファステンバーグ」風のラップドレスも人気。カスタムメイドの型紙で自分のサイズに合わせて作られるのが、アメリカンサイズの服が合わずに悩むニューヨーク在住者に嬉しい点。日本在住者からも型紙のオーダーを受けるほど、絶妙なフィット感を実現できるとか。

既製品を買うのと手作りはまったく立ち位置が違う、という都志子さん。達成感、愛着、自分の好みや体型に合わせられることが手作りの醍醐味だそう。

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12:00pm

レッスン終了。

12:45pm

主催する「NYCファッション街生地屋さんツアー」のために、地下鉄でタイムズスクエアへ。ファッション街に到着。かならず立ちよる「パリス・バケット(Paris Baguette)」で、景色を楽しみながらサンドイッチとコーヒー。

2:30pm

ツアー参加者と、ファッション街にあるボタンと針のオブジェの前で待ちあわせ。タッセルやカルトナージュ(紙や布を貼りつけて仕上げる小箱)の材料を揃えたい人が最近多いそう。

そのほか、ブランドが使用している生地も日本より揃うのだとか。「プッチ」、「ベルサーチ」、「ミッソーニ」などのハイエンドブランドや「マーク ジェイコブス」で使われる生地に遭遇することも。

多いときは毎週行なっているこのツアー。ツアーとソーイングレッスンを組み合わせた一日ツアーも可能です。

4:30pm

ツアー終了。解散後は材料やサンプル生地など自分の買い物を。

6:30pm

夕食。夫が作ることがほとんどだとか。

8:00pm

型紙やサンプル、ネットショップの商品を製作。SNSやウェブサイトの更新も行います。

12:00pm

就寝。

ツインタワーが崩れる瞬間を目撃。普通に仕事ができるありがたさを知った

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2度目に旅行で訪れたニューヨークで夫と出会い、移住して30年。2001年の9月11日に起きたアメリカ同時多発テロ事件、そして2008年のリーマンショック......、とニューヨークの激動をリアルタイムで見てきた都志子さん。

あの日は勤務先であるミッドタウンの商社の30階の窓から、ビルが崩れる瞬間を見ました

テレビではワシントンD.C.のペンタゴンが攻撃されたというニュース。すぐに電話は通じなくなり、地下鉄は不通に。ストリートには泣きさけぶ人びと、ATMには長蛇の列。そんなパニック状態のニューヨークの街で、夫と待ちあわせし、徒歩でマンハッタンから自宅のあるクイーンズまで帰った、あの日。

さらに2008年のリーマンショックでは、職を失うことに。

「ファッション関係は全然仕事がなくなっちゃって。もう、自分でやるしかないと思いました。今だ! ここだ! ってね(笑)」

まさにピンチはチャンス。もともと抱いていた独立したいという願望も後押しし、翌年の2009年に洋裁教室「Sew Easy New York」を設立します。

「会社員時代は、生地から製品まで全工程に携わっていました。その経験がいま、役に立っています」

人生無駄なことはない、だからネガティブには考えないようにしているという都志子さん。

「以前は大会社に勤めていたけれど、現在はひとり。結構孤独な作業です。でも成功を目指すなら、自分が信じた好きなことを諦めずにやり続けること。継続は力なり、かな。」

そして、落ちこまない、くよくよしない。モチベーションが下がったり「もう、いいや」と投げやりになることはない、と言い切る都志子さん。まだ見ぬ将来を不安に思っても仕方がない、というのが彼女の信条です。

「会社員時代はプレッシャーに押しつぶされそうになったり、海外出張の多いハードなスケジュールを抱え、人間関係でも板挟みに苦しんだり......、違う大変さがありました。個人で仕事をしている今は自分がサボったら収入がないという厳しさはありますが、心がヘルシーでハッピーな今の方が絶対いいです」

2011年にニューヨークという離れた場所から、故郷である日本に起きた東日本大震災をみたのも忘れられない経験だそう。

「家を突然亡くした方たちを目の当たりにして、普通に生活していけるのが、いかにありがたいことかを思いしりました。住む家があり、仕事がある。そんな今がハッピーなんです」

週末も働く都志子さんですが、夢は、2016年からスタートさせたネットショップを成功させること。そして、洋裁の仕事と教室はずっと続けていきたいと言います。

どこか懐かしさのあるサニーサイドの街を歩く帰り道、パワフルな彼女に影響されたのか「まずは、仕事のためにもSNSをきちんと更新しよう!」と前向きな気持ちになっている自分に気づきました。

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Sew Easy New York

撮影・取材・文 / 神田朝子

神田朝子

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