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幸せってなんだろう。幸福度の高い国々を旅した

幸せってなんだろう。幸福度の高い国々を旅した

幸福の感じ方は、人によって、また年齢によっても変わることがあります。たとえば、手がけてきたプロジェクトで成果を上げた、狙っていたバッグをやっと手に入れた......。

こんな達成欲や支配欲を刺激する幸せも、けっして悪くはありません。ふと感じた風が気持ちいい、ひと口飲んだコーヒーがじんわりおいしい、といった五感が瞬間的に感じるささやかな幸福も、ときにあります。

それにしても、いちばん難しいのが、幸せを感じ続けること。深い、満ち足りた幸福感を、持続的に得て過ごすことなんて、本当に可能なのでしょうか。

そのヒントがぎっしりつまった本『世界幸福度ランキング上位13ヵ国を旅してわかったこと』を、ご紹介します。

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現実を大切に受け入れる国、アイスランド

「幸せというのは、いつもほほえんでいることではなくて、人生の中で生じることを大切にすることね」とドーラは語っていた。少なくとも21世紀に入ってから起きた銀行破綻以降、アイスランド人はそう考えるようになったとも。(中略)

アイスランド人は未来を待つ国民ではない。魚がそこにいれば、すぐに釣る。将来を不安に思う必要がどこにある? 何か不安なことがあっても、それが起こるのは明日で、今日ではない。

「会う時も別れる時も幸せに」という思いを抱いて、アイスランド人は相手を受け入れ、別れを告げる。その思いが実現した結果、アイスランドは今や「幸福度世界第3位の国」になったのだ。

22~27ページより引用

アイスランドといえば氷の国、児童小説に出てくるような幻想的なイメージが強い国です。

ところが、実際のアイスランドは、月面のような殺風景な景色が広がっているというのです。おもしろくもなんともない自然。そして、途方もなく寒く、厳しい冬。小国であるアイスランドの人たちは、だからこそ人間関係がとても良いのだとか。

冬になると、家の中でキャンドルを灯し、仲間たちと快適に過ごす。家族全員が幸せになるようにと願っている大家族のような国民性。

こういう話を聞くと、やっぱりどこかファンタジーだなあと思ってしまうのですが、アイスランドにはかつて、シビアな現実が国を襲いました。しかし、その危機を通ることで、この国の人たちの幸せの概念は、より普遍的なものになったのかもしれません。

楽しいことがあるから、楽しい、嫌なことがあるから、辛いという単純な話ではなく、目の前に起こるひとつひとつの事象に意味があるということ。

そして、明日には何がおきるか分からない、だから今、このときが幸せであるという受け止め方により、無駄なとらわれがなくなっていったのかもしれません。

他者と融和し、ぶつからない国、カナダ

カナダという国のメンタリティは、ヨーロッパ各国、それも大半は英仏からの移民によって形作られてきたが、1970年代以降は、中東とアジア各国からの移民がかなり増えてきている。

基本的には、ここにやってくる人は誰もが、それまでに移り住んできた大勢の人たち同様、最初はよそ者だ。そして、カナダ人は新たにやってきた人全員を何らかの形で歓迎する。(中略)

「カナダ人が幸せなのは、自分が行動する領域を見つけることができるからだと思う。自分の生活を自分でコントロールしていると感じているから、好きなことができると思えるんだ。好きな時に人と付き合うことができるし」

209~211ページより引用

ランキングでいえば、カナダは「幸福度世界第7位」。昨今の移民問題でも、すっかりおなじみの国になりました。カナダ人は基本的にリラックスしていて、論争文化があまりないのだとか。たしかにそれは、納得できるところです。

さまざまな人たちが、宗教や文化の違いを超えて交錯している国で、おたがいの融和をはかって生きるあり方は、必然の話といえるでしょう。

生活のなかで起きるいろいろな食い違いを、あまり複雑にしないということ。ぶつかりあいを少しずらしながら、するっと受け入れる。違いすぎる価値観のなかでコミュニケーションをとらざるを得ない環境。人づきあいを避けるのではなく、対立が生まれないようにソフトにつきあう

結局のところ、自分で自分の感情をコントロールできているからこそ、精神的自由を得られているのかもしれません。

現代の日本、とくにオフィスで、このスキルを持ち合わせていたら、もっと楽に生きていけそうな気がします。

瞬間の幸せを逃さない国、パナマ

「パナマ社会の発展は途中で挫折してしまいました。全国民の生活水準は上々とはとても言えません」では、なぜパナマ国民の幸福度は高いのですか、と訊いてみた。

「この状況では国民は断じて幸せではないのですが、だからこそ折りあらば楽しんでやろうと思っている。それが幸せにつながるんですよ。『私は今という瞬間を楽しんでいる。

なぜなら、明日は仕事で朝4時に家を出なけりゃならないし、晩だって8時にしか帰宅できないかもしれない。その間は子供たちとも会えないし、家族とも会えないから』とね。

たぶん国民は変化を求めていますが、同時に、あらゆる機会をとらえて楽しもうとしている。だからパナマにはお祭りがたくさんあるんです」

266ページより引用

パナマといえば、粋なパナマ帽が何となくイメージアイコンとして頭に浮かびます。

とはいえ、国全体としてあまり裕福そうに見えないのが本音です。それなのに、ランキングでいえば、パナマは「幸福度世界第8位」。それは、どういうことなのでしょう?

かつて、パナマはヨーロッパの植民地になっていたといいます。当時のヨーロッパ人は、この地に長くとどまるつもりはなく、手っ取り早くもうけようとしていたのだとか。その考え方が、今も、パナマの人びとのメンタリティに深く影響しているようです。

それだけではありません。発展が見込みにくく、決して安全ではない国で、ぼんやりしていたら幸福はすっと通り過ぎてしまうということを彼らのDNAが感じ取っているのかもしれません。

状況が好転するということに早くから限界を感じている国だからこそ、今の幸福をしっかりキャッチして楽しむことに貪欲なのかもしれません。

瞬間に訪れる幸せを逃さないセンサーが高いと、人は幸福感を継続的に感じていけるようです。

世界幸福度ランキング上位13ヵ国を旅してわかったこと

著者:マイケ・ファン・デン・ボーム発行:集英社定価:2,000円(税別)

photo by Shutterstock

ナカセコ エミコ

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