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素朴な疑問。ラマダンの夜は、なにを食べてるの?

The New York Times

素朴な疑問。ラマダンの夜は、なにを食べてるの?

イスラム教の断食月、ラマダン。レバノン系米国人のアマンダ・サーブさん(28)が思い浮かべるのは、甘くしっとりした焼き菓子「ナモウラ」だ。泡立てたヨーグルトをセモリナ粉と混ぜ合わせて作るのが祖母のレシピ。シュガーシロップに漬けた生地をオーブンで焼き、温かいうちにダイアモンド形に切り分ける。

デトロイト近郊でソーシャルワーカーをしているサーブさんは「1日中、何も食べていないから、食べ物のことばかり考えてしまう。何か食べたくて仕方がないのではなくて、断食が明けた後の夕食でみんなを満足させるメニューを考えてしまいます」と言う。

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アマンダ・サーブさんが祖母のレシピで作った焼き菓子「ナモウラ」(2017年5月21日撮影 (Brittany Greeson/The New York Times)

イスラム教の太陰暦で9番目の月に当たるラマダン。世界のイスラム教徒18億人が30日間、日の出から日没まで断食する。1日のうちで食事ができるのは、日が暮れてからの夕食と、翌朝日が昇る前に急いでとる朝食のみ。今年のラマダンは5月後半から始まるが、アメリカでは春から初夏にあたるため、日の出から日の入りまでが長く、暑い。

断食と聞くとただ苦行のように思えるが、長い1日が終わったとき、家族や友人と囲む食事の喜びはいつもの何倍にも増すという。食べないことによって、食の意味が深まるのだ。料理研究家でパティシエのマリカ・アミーンさん(42)は「みんなで同じお皿を囲んでいると、ぐっとエネルギーが湧いてくる」と言う。「みんな夕食を待ちわびているから、食卓では笑顔になるし、会話も弾みます」。

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日没後の食事のためにスイカのチャートを作る料理研究家兼パティシエのマリカ・アミーンさん。米シカゴの自宅キッチンで。2017年5月23日撮影 (Nathan Weber/The New York Times)

アミーンさん一家は、1960年代に父親がパキスタンから米国へ移住した。子どもの頃、シカゴの家ではイフタール(その日の断食を終えて最初にとる食事)によく人を招いていた。

ドバイのフォーシズンズ・リゾートのような高級ホテルなら、イフタールには豪華なメニューが並ぶだろう。一方、モスクでは、シンプルなチキンとライスの盛り合わせを紙皿で無料で配ったりする。家庭では、近所で持ち回りでイフタールに招き合ったり、手製の料理をコミュニティセンターやモスクへ持ち寄ったりして賑やかにいただく。

米国のイスラム文化の多様性は、イフタールの食事にも表れる。スパイスで合えた前菜「チャート」や、インドネシアのかき氷 「エス・チャンプル」、ナイジェリアの豆のフリット、ハーブがたっぷり入ったペルシャ風スープ......。

アミーンさんは断食後の胃に優しい、軽めのメニューを考える。例えば旬のフルーツをクミン、ドライマンゴー、チリで合えてスパイシーなサラダにしたフルーツチャートだ。チャートにはスイカもよく使う。1日中、水も飲んでいないため「脱水気味だから、スイカはすぐに水分を吸収できるでしょう」。

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ラマダンの食卓の一品、スイカのチャート(スパイス和え)。米ニュージャージー州ジャージーシティで。2017年5月25日撮影 (Melina Hammer/The New York Times)

サーブさんも重視しているのは水分と栄養だ。ラマダン中は「毎日大きなサラダを作ります。これだけは譲れないわね」。アラブには「ファトーシュ」というサラダがあるが、サーブさんは歯ごたえのいい野菜と葉物、ハーブを豊富に使い、ピタパンと一緒にシンプルなレモンドレッシングで和えて、いつもよりジューシーに仕上げる。

「イスラム教徒の隣人とディナーを食べよう」という会でも、サーブさんはこのファトーシュを出している。1カ月に2回、サーブさんの主催で、友人つながりや同僚、フェイスブックで出会った地元の人たちと食事をする会だ。イスラム教徒の米国人についてもっと理解の幅を広げてほしいと思い、自宅のディナーに人を招いたことから始まった。

サーブさんは妊娠中のため、自分自身は断食をしないが、今年のラマダンでもこの会を続けようとした。すると、イスラム教徒でない人々が、会の日に断食をしようと申し出た。「すべてを一緒にやってくれるという寛容な姿勢に感激しました」。

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バズフィード・ニュースの記者でニューヨーク在住のビム・アデウンミさんは、ナイジェリアの全寮制学校にいた時にラマダンを始めた。2017年5月22日撮影 (Sasha Maslov/The New York Times)

バズフィード・ニュースの記者ビム・アデウンミさん(34)は、ナイジェリアの全寮制学校にいた頃に断食を行うことを始めた。昨年ははじめてニューヨークでラマダンを迎えることになったのだが、家に帰っても家族も友人もいない。そこで日没後、マンハッタンにあるパンジャーブ人経営の食料品店に立ち寄り、断食明けの食事は何かないかと聞いてみた。すると「すぐにナツメヤシがたくさん乗ったトレーが出てきました。彼は、私の宗派も信条もたずねませんでした。ラマダンの間は皆が兄弟になり姉妹になるのです」。

じつは、アデウンミさんはナツメヤシが嫌いだ。けれど、人と人とのつながりや寛容、いたわりを尊重するラマダンの精神を前にして、自分の好き嫌いは大したことではなかった。大事なのは、見知らぬ人から受けた好意、そして、ちょっとした優しさだ。アデウンミさんは4粒、ナツメヤシを口にした。

©︎2017 The New York Times News Service

[原文:During Ramadan, Home Cooks Shine/執筆:Tejal Rao]

(抄訳:Tomoko.A)

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