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僕にとって、利益よりも大切なコト [Richard Branson Column]

Richard Branson Column

僕にとって、利益よりも大切なコト [Richard Branson Column]

イギリスの実業家でヴァージン・グループ創始者・会長のリチャード・ブランソンが、自ら実践して成功をおさめた今すぐ使えるビジネス術を教えます。

どんな企業も、信念やミッションがなければならない

なぜ起業するのか? 僕の答えは、50年前に最初の会社を起ち上げた時から変わっていません。人々の生活に、ポジティブな変化をもたらしたいからです。企業というのは産業分野に関わらず、これと似たような願望を持っているべきだと、僕は信じています。

ヴァージンのチームが新しい分野に参入する時は、常にこのことを考えていました。たとえば航空業界。僕らは乗客はもっといいサービスを受けるべきだという信念に基づいて、ヴァージン・アントランティック、ヴァージン・オーストラリア、ヴァージン・アメリカと、3つの航空会社を作りました。航空会社を利用する人は、ていねいで心のこもった接客を受けて当然だし、お客様として尊重され、素敵な体験をしてほしい。断じて、売上の数字や家畜のように扱われるべきではないと思うのです。

でも悲しいことに、なかにはそう考えない企業もあります(僕が言わなくとも最近のニュースから、1社か2社、あなたも思い当たりますよね)。こうした企業は、人よりも利益を優先する。そしてそれは、いずれ公に知られることになります。企業もビジネスリーダーも、必ず間違うことがある。僕も人並み以上に間違ったし、これからも間違うでしょう。でもありがたいことに、失敗に真っ向から向き合い、迅速に対応するという強い企業文化を持っていれば、どんな失敗からも立ち直ることができるのです。

自分自身でいられる自由をスタッフに与えて信頼する

強い企業文化は、人を優先することから始まります。そしてそこには、心のこもったサービスがなければなりません。その鍵となるのは、チームメンバーが自分自身でいられる自由があることです。何か問題が出た場合、対処の手続きがこまごまと決まりすぎていると、それがスタッフの足を引っ張って、自分の経験や人間性、企業文化にそぐう判断ができなくなってしまう恐れがあります。

僕たちのチームは、古くさい規則ではなく良識にのっとって、スタッフが自分で判断できるだけの自由を与えるよう努力しています。よいツールを提供したら、あとは彼らが正しいことをすると信頼する。それが僕らの信条です。

フライトのオーバーブッキング、電車の乗り遅れ、電話の請求書の間違いなど、問題は何であれ、現場で対処するチームが力を発揮できるよう支えることです。素早く対応するにはコストがかかるかもしれないけれど、対応が遅かったり柔軟性に欠けたりすれば、信用をなくすという意味でずっと手痛い損失を生じるでしょう。今はソーシャルメディアの時代なので、顧客との問題はものすごい勢いでネットに広がり、あとをひくダメージをもたらします。

このように柔軟性と責任をチームに持たせるのは問題解決の要素ですが、もうひとつ、重要なことがあります。それはスタッフに、自分は単にお金を稼いでいるだけではなく、もっと大きなミッションに関わっているのだと感じてもらうことです。彼らがそういう気持ちを持てば、顧客への対応が向上し、従って顧客は何度でも戻ってきてくれるようになります。結果として、利益にもそれが反映されるのです。

33年経っても変わらない楽しさ

僕は最近、世界各地のヴァージングループを大急ぎで回ったのですが、その時に飛行機内でこうしたことをじっくり考えたのです。この世界旅行をシアトルで終えたのは、感慨深いものがありました。というのは、33年前、ぽっと出のレコードプロデューサーだった僕に、中古の747旅客機を貸してくれたのが、このシアトルにあるボーイング社だったのです。僕たちはそのおかげで、ヴァージン・アトランティックを創業することができたのです。

当時ほとんどの人は僕たちを相手にせず、絶対うまくいきっこないと言いました。でも、カスタマー・エクスペリエンスを重視しスタッフを強化した航空会社を作るという僕らの目標は、最初から理にかなっていたのです。それによって僕らは、乗客を引きつけるサービスカルチャーを築いていくことができました。僕らは快適な座席や機内バー、座席背面エンターテインメントシステムなどを導入しました。でも、それと同時に自分自身でいられる裁量をスタッフに与えなければ、こうした目新しい機能も何らインパクトを持たなかったでしょう。

それから33年、ヴァージン・アトランティックは就航当時と同じ自信と楽しさに満ちています。それはリーダーシップと企業カルチャーの証として、最初から埋めこまれていたのです。

人々と目的を二の次にした事業は欠陥を抱えており、それを隠すことしかできません。そうではなくて、スタッフをサポートし育てようとするならば、彼らは頑張って成長します。そしてカスタマーは、何度でも戻ってきてくれるでしょう。

リチャード・ブランソン

イギリスの実業家で、ヴァージン・グループの創設者・会長。ヴァージン・レコードを筆頭に、航空産業、携帯電話、出版、金融から、飲料水、宇宙旅行まで幅広い分野で事業を展開。気球で太平洋横断に挑戦するなど冒険家としても有名である。鋭い洞察力、ユーモアに富んだ発言と自由な生き方で世界中に根強いファンを持つ。

© 2017 Richard Branson, Distributed by The New York Times Syndicate

[原文:Never Put Profit Before People / 執筆:Richard Branson]

(翻訳:スマキ ミカ)

photo by Getty Images

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