色とりどりのあでやかな色彩と、複雑なパターンを幾重にも織りなす海の宝石箱、サンゴ礁。だが、このきらめく輝きは、サンゴだけの力ではなし得ない。何十億年にもわたり維持されてきた藻類との共生関係によって生み出されている。

サンゴは共生藻を体内に取り込みシェルターを与え、共生藻はサンゴが必要とする栄養を供給する。植物のように思われがちなサンゴだが、実はクラゲやイソギンチャクの仲間に分類される動物で、筋肉内に持っている微量のタンパク質により、紫外線を吸収して蛍光色に変え、天然の「日焼け止め」の働きをさせている。

浅い海に生息しているサンゴはこのように鮮やかな色をまとうことで、自分自身と体内の藻を強い日射しによるダメージから守っているのだ。

では、海面から遠く深い海底、太陽光線の中でも青い光の波長しか届かない場所にいるサンゴはどうだろう。大体、水深60〜80メートルくらいまでサンゴは目撃でき、オレンジや赤い色で光り輝いているのが見られる。

だが、日光がほとんど届かず、紫外線対策の必要がない深さでも輝く理由については、長く謎に包まれていた。今の今までは。

光合成のため発光する深海のサンゴ

深海のサンゴは、太陽光をより活用するために光っていた。

2017年7月、学術雑誌『王立学会紀要B(Proceedings of the Royal Society B)』に掲載された研究論文によると、サンゴは乏しい光を目一杯吸い込み、赤みがかったオレンジ色に発光する。この光は共生している小さな藻がいる筋肉内まで貫通する。つまり、藻が光合成をするための光を作り出しているのであり、結果として、サンゴにとっては栄養摂取ができるのだという。

「サンゴが光の届きにくい環境に打ち勝ち生存していくための戦略」と、研究を率いた英サウサンプトン大学の生物学者ジョージ・ウィーデンマン氏は、メールでのインタビューに回答した。実際、素晴らしい副産物を備えた見事な適応力というほかない。

サンゴが海中の明るさの違いに応じて適応している様子を明らかにしたこの研究は、サンゴ礁の保全を考えるうえでも示唆に富む。約20年の間、気温が急上昇する危険な気候変動の際には、深海のサンゴ礁は、浅い海のサンゴ礁の避難場所になりうるのではないかと、科学者は考えてきた。

海面に近い浅瀬のサンゴの幼生は潮流によって海中深く沈み、生き残って繁殖し、気温が安定したら再び幼生を浅い海へと送り返す。こうした可能性について検討しているわけだ。

しかし、ウィーデンマン氏は「深い海に移動するのは(サンゴにとって)容易な解決方法とはいえないかもしれない」と話し、浅い海のサンゴがわずかな光しかない環境に適応するのはかなり難しいだろうと懸念する。

「海面に近い現在の生息場所を良い環境に保っておくことのほうが、まずは大切なのだ」

© 2017 The New York Times News Service
In the Deep, Dark Sea, Corals Create Their Own Sunshine/執筆:Joanna Klein]
(翻訳:十河亜矢子)
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