イギリスの実業家でヴァージン・グループ創始者・会長のリチャード・ブランソンが、ビジネスパーソンや起業家の質問に応えます。

Q:起業しようとしている時、あなたのやることにことごとく反論し、あなたのいない隙に自分のやり方を通そうとするチームメンバーに、どのように対応しましたか? それを指摘すると何もかも人や物事のせいにして、自分のやったことにまったく責任を取ろうとしない。そういう時はどうしましたか?(ガレス・スタブス)

A:僕は50年間、単純な原則に則って事業を経営してきました。それは、スタッフの面倒をちゃんと見れば、スタッフがお客様の面倒をちゃんと見る、というものです。働く人をサポートしてチームの士気が下がらないよう注意することは、事業の成功に絶対に欠かせません。

態度の悪さはどこから来るのか?

ガレスさん、あなたは社員に自分勝手なことをされていることが、心配なのですね。でも怒りで判断を誤らないようにしてください。チームメンバーの協力的でない態度がどこから来るのか、その根底の理由を考えて、解決策を見つけるべきです。質問の様子から察するに、あなたの出方によってはますます対立を深めることになりそうなので、気をつけてください。

まず、自分に訊いてみてください。この関係を立て直すために、どんなことができるか? トレーニングや人材開発は、チームのためになるか? 一対一の時間をとる、あるいは責務を変更してみたらどうか? うまくいかないことを他の人たちのせいにする社員が出てきた時に、認識してほしいことがあります。それは、たいていの場合こういう態度は、自分の立場を脅かされているように感じているか、不満を持っていることに端を発しているということです。

すでにおわかりでしょうが、ビジネスというのは、人間関係、パートナーシップ、コラボレーションに尽きてきます。そしてその関係を管理するためには、妥協がつきものです。

「あいつと一緒にやっていくのは無理!」

あなたの質問を読んで、僕が友人たちと航空会社づくりに着手した頃の体験を思い出しました。1980年代、ランドルフ・フィールズという若い米国の弁護士が、ロンドンからニューヨーク間を飛ぶ新しい航空会社の投資家を探していました。何年も飛行機を利用してお粗末なサービスとまずい食べ物に耐えてきた僕は、自分たちが考えているような破壊的な企業は、市場に参入してニーズを埋められると確信していました。それで僕らは協力して、ヴァージン・アトランティック航空を設立したのです。

ところが間もなく、ランドルフのやり方は、僕らのやり方と合わないことが分かってきました。会社名から(ランドルフは「British Atlantic」と命名したがりました。すでにBA=British Airwaysという航空会社が存在しているというのに!)、各種ライセンスの申請、発券システムの構築まで、いろんなことで意見が合わないのです。

僕はこうした食い違いにも関わらず、そのままやっていこうとしました。でもチームのシニアメンバーたちが、ランドルフと一緒にやっていくのは無理だと言い始めたのです。米国のオペレーションを仕切っていたデヴィッド・テイトが辞職すると言ってきたのが、最後の決定打になりました。「申し訳ないけど、ランドルフとは仕事をするのは不可能だ」

内部にこんな対立を抱えていたら、会社は成長どころか機能もしないことを、僕は理解しました。それで僕とランドルフは袂を分かち、僕がヴァージン・アトランティックの事業を進めることにしたのです。それはチームの結束を高めるため、そして事業をいい形で進めるために、僕に許された最善の選択でした。ランドルフとはその後もいい関係を継続し、今も僕らの航空会社を生涯無料で利用してもらっています。

家族もビジネスも、人間関係の基本は同じ

つまりこういうことです。仕事仲間であれ、友人や家族であれ、関係というのはすべて手をかけて育まなければならない。僕にこのスキルを一番教えてくれたのは、40年来のパートナーである妻のジョーンとの関係です。僕らが互いに学んだのは、正直かつ率直に話をすること、お互いの自由を尊重すること、関係の中で改善できそうなことがある時はちゃんと話を聴くことです。

ビジネスの経営でも、基本はそんなに変わりません。コミュニケーションをとりやすくしておくこと、他の人の考えを聞く姿勢を持つこと、そして忘れてはならないのは、自分で納得のいく決断をすることです。

責任転嫁をやめさせる方法

自分のチームに対し、責任転嫁は全くもって生産的でないことを伝え、グループ内に信頼を築くためには、メンバー全員が自分の言動に責任を持ち、その結果に責任をとらなければならないことを強調してください。チームの生産性を損なうような態度の社員がいる場合は、メンバーのやる気に影響が出る前に、あなたが手を打たなければなりません。どんな場合であってもそういうことのために、事業の目的やサービスの質、チームメンバーとのパートナーシップを侵されるようなことがあってはなりません。もしもその社員との関係が終わることになっても、それは致し方ないでしょう。

変わったことをやる社員は宝かもしれない

それを踏まえた上で覚えておいてほしいのは、スタッフが自分のやり方で仕事をした場合、それは会社にとってすごく有益かもしれないということです。もしもみんなが同じことしか考えなかったら、この世はとても退屈になるし、事業も活気を失うでしょう。スタッフの多様性はとてつもない会社の財産ですが、これには独自に考え行動する人間も含まれるのです。

同じことは、リーダーが決めたことに異論を唱える社員にも当てはまります。適切に扱うことができれば、反対の声はビジネスの成長を助けてくれる可能性を秘めています。僕の場合は、それぞれの専門分野で僕よりも優れている人たちに囲まれています。彼らの邪魔をしないで仕事を任せ、できるだけサポートするようにしています。

ガレスさん、あなたがこの状況から抜け出す鍵は、コミュニケーションすること、仕事を任せることかもしれません。Good luck!

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リチャード・ブランソン

イギリスの実業家で、ヴァージン・グループの創設者・会長。ヴァージン・レコードを筆頭に、航空産業、携帯電話、出版、金融から、飲料水、宇宙旅行まで幅広い分野で事業を展開。気球で太平洋横断に挑戦するなど冒険家としても有名である。鋭い洞察力、ユーモアに富んだ発言と自由な生き方で世界中に根強いファンを持つ。

© 2017 Richard Branson, Distributed by The New York Times Syndicate

[原文:Temper Bad Attitudes by Building Relationships / 執筆:Richard Branson]

(翻訳:スマキ ミカ)

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