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友情は愛以上にミステリアス。映画『セザンヌと過ごした時間』インタビュー

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友情は愛以上にミステリアス。映画『セザンヌと過ごした時間』インタビュー

人生の折り返しともいわれる40代になると、仕事や体調面に何かと変化を感じやすくなり、いくつまでキャリアを築くことができるのか不安に感じる人も多いはず。そこで、年齢に関係なく自らの道を追求し、生涯現役でいることを実現している女性に話を聞いてきた。それは、現在75歳にして精力的に映画制作をこなしているフランスのダニエル・トンプソン監督

若者でさえも過酷と感じる現場に立ち、いまだ男性社会でもある映画業界で走り続けられる原動力はどこにあるのだろうか。まもなく日本で公開を迎える最新作『セザンヌと過ごした時間』に込めた思いとともに秘訣を語ってもらった。

私自身は昔と何も変わっていない

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年齢を感じさせないバイタリティ溢れる雰囲気を漂わせているトンプソン監督にとって、パワーの源とは?

「まずは健康であることね。でも、これは冗談じゃなくて、映画を作るのは肉体労働で、すごく疲れることなのよ。だからそれが一番だけど、あとはやっぱり好奇心からエネルギーが湧いてくるんじゃないかしら。残念ながら鏡で自分の姿を見ると変わったと思うんだけど、それ以外は全然変わってないと思っているわ」

そう言って笑う顔には、どこか少女のような無邪気さも垣間見えるが、変わらない情熱こそが若さを保つカギなのだろう。そして、彼女のもうひとつの魅力は、品の良さ。おそらく長い人生ではさまざまな困難にも立ち向かってきたと思うが、そんな苦労をまったく感じさせない佇まいと芯の強さは、働く女性たちにとっては理想の姿といえる。

映画監督の父と女優の母を持っていたこともあり、1966年から脚本家としてキャリアをスタートし、才能を開花させているが、若い頃は違う職業を目指していたという。

「実は弁護士になろうと最初は思っていたんだけれど、違うと感じて美術史を勉強したこともあったわ。でも、大きなきっかけとなったのは、やっぱり父の影響ね。映画監督だったこともあり、私のなかにある脚本家としての何かを見極めてくれて、『一緒にやらないか』と誘ってくれたのよ。やってみたらそれが楽しくて、そこから『脚本家としてやっていこう』と思うようになったの」

何かに迷いを感じているときこそ、自分をよく知っている家族や友人の助言を素直に聞いてみるというのも大切なこと。特に、大人になればなるほど、「自分のことは自分が一番よくわかっている」というプライドが出てきてしまいがちだが、客観的な意見を取り入れる柔軟さも忘れずにいると、思いがけない道が開けることもあるのかもしれない。

セザンヌとゾラ、40年越しの友情の物語

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脚本家としても活躍しているトンプソン監督は最新作『セザンヌと過ごした時間』の脚本も務めており、本作は他の作品に携わりながら15年間も温め続けて完成させたほどの意欲作。その題材とは、日本でも人気の高い「近代絵画の父」ポール・セザンヌと「稀代の小説家」エミール・ゾラとの40年にも渡る友情の実話だが、そのことはあまり知られていない。それだけに、2人の天才がどのような人生をともに歩んできたのかは、興味深いところであり、監督自身も描き方にはこだわったという。

「2人の間にそういう友情関係があるということは、以前はまったく知らなかったわ。それに、私も含めた一般の人たちは、19世紀の偉大なアーティストであり作家であるセザンヌとゾラに対して、自分たちとはかけ離れた遠い存在として伝説のように感じているところがあるわよね。でも、この映画ではそうやって固定化されたイメージを覆してやろうと思って作り上げたのよ」

その言葉通り、感情をむき出しにして魂と魂でぶつかり合うセザンヌとゾラが繰り広げる友情関係には、思わず誰もが引き込まれてしまう。では、トンプソン監督が考える友情とはどのようなものだろうか。

友情というのは愛以上に面倒なもの

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「人生というのは、瞬間瞬間によって矛盾する感情がいろいろと形を変えていくもの。だから、この人とはすごく近く感じるなと思うときもあれば、やっぱり気持ちが離れてしまったと思うときもあるわよね。でも、そういう風に揺れ動きやすさの幅は愛情よりも友情の方が大きいんじゃないかしら。とてもミステリアスなもので、これからどうなるのかが予想できないのが友情であって、それはユニバーサルで普遍的なものだと感じているわ」

友人との間には、友情や愛情だけでなく、ときには嫉妬や憎しみが渦巻くこともあるが、それらすべての感情が湧きあがることで「人生のキャンバス」により彩りを与えているのではないかとさえ感じさせる。

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そして最後に、日本の女性たちへメッセージを送ってくれた。

「日本だけでなく、フランスも同じく私たちはいま変動の時代のなかにいるのよ。だからこそ、そういうときに過去へタイムトラベルすることが非常に重要なことなんじゃないかしら。なぜなら、過去に自分の身を置いてみると、そこから与えられる心地よさというのがあるからなの。もちろん、戦争や暴力も存在していたけれど、でも過去から我々に受け継がれているものは、アートや自然であったりするのよ。私たちはこういう時代に生きているからこそ、この映画で描いたようなものを必要としているんじゃないかと思っているわ」

トンプソン監督が伝えたいという芸術と自然、そのどちらの素晴らしさも身に染みる本作。いまなお世界中から愛されている天才たちの心揺さぶる思いだけでなく、実際に彼らが眺めていたという南仏の美しい景色からも過去の息遣いを感じて欲しい。

撮影/柳原久子

セザンヌと過ごした時間

監督・脚本:ダニエル・トンプソン出演:ギヨーム・カネ、ギヨーム・ガリエンヌ、アリス・ポル、デボラ・フランソワ、サビーヌ・アゼマほか配給・宣伝:セテラ・インターナショナル2017年9月2日(土)よりBunkamura ル・シネマほか全国順次公開©2016 - G FILMS - PATHE - ORANGE STUDIO - FRANCE 2 CINEMA - UMEDIA - ALTER FILMShttp://www.cetera.co.jp/cezanne/

志村昌美

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