自分の好きなことと社会から求められること。さまざまな責任を負う立場になると、その2つが大きく食い違ってくるのは、仕方がないのかもしれません。今の仕事は充実していて、役職もある。それでも、昔好きだったことや夢に見ていた職業とは違う現在に、ふと足が止まってしまうことも。

好きなことをして生きていくというと、どこか無責任な話のように聞こえがちです。しかし、実はその奥に、これからの時代をサバイブしていく深い考え方があるようです。働き方が急激に変わろうとしている今だからこそ、知っておくべきいくつかのメソッドを角田陽一郎著『「好きなことだけやって生きていく」という提案』からご紹介します。

時間が無くても自分の好奇心に素直に頼る

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人が「おもしろい」と言ったもの、自分が少しでも興味を持ったものは、できるだけ早く見たり聞いたり、体験したりするようにしてください。知的好奇心というものは、残念ながら、非常に移ろいやすいものだからです。(中略)

何かに対して好奇心を抱いたら、それを実際に体験しつつ、しなければいけない自分のタスクや課題と、どうつなげることができるかを考えてみてまださい。その積み重ねが、いずれ、アイデアという花を咲かせてくれるはずです。

なお、「仕事の納期や締め切りが迫っているのに、まったくアイデアがまとまらない」というときには、「自分の好奇心に頼る」ことをおすすめします。

121~124ページより引用

ふと目や耳にして気になることがあっても、たいしたことではないと流してしまうことがあります。それは忙しいキャリア女性であれば、なおさらでしょう。

著者は、テレビプロデューサーとして数々のヒット番組を、長年にわたり常に叩き出してきた人物です。その著者がこういいます。この映画を見たほうがいいよとすすめたときに、「わかりました! 観ます!」と言ってメモをとった人ほど、ほとんどが観にいかないと。

好奇心が湧かなかったということではなく、「今は忙しいから」「予定がわからないから」と自分に言い訳して好奇心が消えてしまうという人が多いようです。出会った人から得た情報や、自分のアンテナにひっかかった情報。どんなに忙しくても、好奇心を感じる物事にしっかりと反応して行動することこそが、アイデアやヒットを生む鍵といえるでしょう。

好奇心に素直に動いた結果、得た感覚や知恵を、自分の仕事や課題につなげていく。現実逃避ではなく、積極的に好奇心発の成果物をストックすることで、よいアイデアが生まれるようです。

会議で発言をためらわない

仕事におけるアナログなコミュニケーションの最も重要なものが、人と人とがダイレクトにコミュニケーションする「会議」です。(中略)

運転席に座っているのは、議論の中心に立って動かしていく人。助手席に座っているのは、発言もせず傍観し、ただ相槌を打っていくだけの人です。(中略)

「会議の場で発言すると波風を立ててしまうので、この場では黙っておこう」という判断をしたのでしょうが、最も大事な場でそんな判断をする人からは本気さが感じられません。

217~220ページより引用

会議は無駄、という風潮が強い昨今です。多くの連絡や簡単なブレストは、メールや社内ソーシャルメディア内で完結させることが可能です。そんなオフィスにおいて、アナログに自分の考えを語ることができる数少ない場所が、会議の場なのかもしれません。

短くても長くても、たとえ質問であったとしても、会議で発言をするということは、それなりの集中力と覚悟が必要です。さまざまな議題に対して自分事として向き合わないと考えというものは出てこないものです。

浮かんだ考えをその場にいる人々に納得させ、時に論破することも含めて、大げさにいえば戦いの場といえるでしょう。

会議を他人事にしないで自分事にしていくということは、車の運転でいえば、助手席に座って寝ているのではなく、運転席に座ってハンドルをにぎるということ。

自分の好きなことをしていくためには、物事の中心になるべく、アイデアを熱意をもって伝えられる意識づくりが重要なようです。

「成功していない人の7つの条件」をやらない

「この人たちには才能があるのに、なぜ開花していないのか? 」

成功していない人には、次の7つの共通点があります。

1. 出会いを無駄にする。

2. 理由をつけて、すぐに諦める。 

3. 他人の目を気にしすぎる。

4. こだわるポイントが的外れである。

5. テクニック論に走る。

6. 自分の善悪の基準で、物事を判断する。

7.「私は違う」と、すぐに言う。

265~266ページより引用

テレビの現場で、多くのオーディションや面接などに立ち会ってきた著者は、成功する人とそうではない人(名前が世に出る人とそうでない人)には、能力以前に大きな差があるといいます。

成功していない人の7つの共通点は、オフィスの場においても、照らし合わせることができることばかりです。全体的にいえば、本当に大事なこと以外は柔軟なこころで、周りのアドバイスに対して素直になれるかということ。

「好きなことだけやって生きていく」ためには、ただやみくもに自分のやりたいことだけを、わがままにやり続ける、ということではなさそうです。

「好きなこと」で成功するためには、たゆまぬ努力と小さなことを見逃さないセンサー磨きが大切。この7つの条件と反対の行動をすることが「好きなことだけやって生きていく」ためには必須、といえそうです

好きなことだけやって生きていく」という提案

著者:角田陽一郎
発行:アスコム
定価:1,100円(税別)

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