手土産選び、もとい、お菓子選びの楽しい秋がやってきました。食いしん坊にとっては、こんがりした焼き色を求めはじめ、新栗のお菓子を目指し、イチジクだブドウだ、そろそろショコラも......と、忙しい季節です。

そして、この連載をはじめて1年が経ちました。2年目のスタートとなる今回は、わたしの脳内手土産リストで殿堂入りとなっている名品から。木の葉が乾いた音を立て始める秋らしくもあり、だけど、1年中どんなときでも頼りになる、リーフパイをご紹介したいと思います。

どんなときも、やっぱり「ウエスト」

そう。リーフパイといえば、みなさんご存知の「ウエスト」です。クリーム色の包装紙に金色の紐がかかった包みは、もうあまりにも有名で、「新しい情報」にはならないかもしれません。それでも、手土産の連載をやらせていただいている身としては、初回からずっと「いつか、ここぞというタイミングで紹介しよう」と思っていました。

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わたし自身、これまで、数え切れないくらい手土産にしてきました。「今回はリーフパイだな」とお店を目指すときもあれば、時間のない中、考えるより先にデパートの売り場にかけこむことや、悩みに悩んで、最後に「やっぱり」とたどり着くことも。どちらにしても、カウンターで白いショッパーを受け取れば、もう安心。どこをどうとって見ても、手土産としてパーフェクトだなあと、毎度、惚れ直してしまいます。

銀座や青山のお店で購入できれば、より気分よし。とはいえ、こんなに完璧で頼りになる手土産が、主要ターミナルでサッと購入できるのは、ありがたいかぎりです。

変わらぬ手仕事から生み出される、唯一無二の1枚

リーフパイの材料は、バター、小麦粉、砂糖、卵。これだけ。主役となるバターをはじめ、選び抜いた素材を使用しているからこそ。そして、その素材を生かす技術を持ってお菓子作りをしているからこそ、余計な着色や香りづけは必要ないのだと、シンプルなパッケージと、やわらかな焼き色を見るだけでわかります。

じっくりと熟成させたパイ生地の層は、なんと256層。ずっと変わらぬ木の葉の形も、1枚1枚、職人の手作業で成形されているそうです。よく見ると、1枚ずつちょっと違う表情。だけど食べると、いつも変わらずサックサク。わたしの中では、「ウエスト」のリーフパイに、代役はいません。

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人数の多い部署で配ってもらうようなシーンや、作業の合間でつまんでもらう差し入れに、本当に重宝します。1枚ずつ収められた透明の袋にも、さりげなくロゴ入り。リーフパイのみの箱入りは8枚入りから45枚入りまで、なんと7サイズも展開されているので、人数に合わせて無駄のないチョイスができるのも高ポイント。わたしは隙間なく1列に収められた17枚入りの佇まいが好きで、15人前後を想定するシーンでは、ほぼ迷わず、こちらをチョイスします。

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「リーフパイ」(17枚入り)2,300円(税抜)

余談ですが、「リトルリーフ」という、小包装されていない、ひとくちサイズのリーフパイがあるのをご存知でしょうか。リーフパイと全く同様の工程を経て手作業でつくられるため、1日少量ずつしかできないレアアイテムなんです。なんて細かい作業なんだろうとクラクラしつつも、ポイッ! サクッ! と食べはじめると、止まらない! 個人への差し入れをする場合には、こちらもおすすめですよ。

厚みある真の大人には、洋酒のきいたフルーツケーキを

老若男女問わず、どなたにでも喜ばれるリーフパイですが、贈るお相手が、ブランデーの似合うような、色気だったり、渋さだったりが内側からにじみ出る「大人の中の大人」なお方だったら......? わたしは、ちょっぴりドキドキしながら「ダークフルーツケーキ」を選びます。

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ダークフルーツケーキ(8個入り)900円(税抜)

外箱をスライドさせると、ピシッと並んだ金色の包み。そっと取り出すと、しっとりとやわらかな生地の感触が指に伝わってきます。焦がし砂糖のほろ苦さをまとったダークブラウンの生地には、ブランデーとラム酒にじっくりと漬け込んだフルーツがぎっしり。これまたサイズ感も絶妙で。つい欲張って「もうひとつ」と手を伸ばすと、また包みを開かなければ食べられない、その感じにも痺れるのです。

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秋の夜長にもうっとりするほどハマるので、この時期に差し上げた方からは、ほぼ確実に「あれおいしかったよ」とメッセージをいただいてきました。むろん、お相手は舌の肥えた大人。お渡しした瞬間に「これおいしいよね」と言われたって、それもあり。おいしいものは、何度だって食べたいですもんね。

銀座の街を見つめ続けてきた洋菓子舗

「ウエスト」が、レストランとして銀座に誕生したのは、街でコーヒーが1杯10円だった昭和22年。同店で提供していたコース料理は1,000円でした。ところが開店して半年で、75円以上のメニューを禁止する都条例をうけ、製菓部門のみを残した喫茶へと変身することに。また、昭和37年には、西銀座地下駐車場工事がはじまり、その影響で銀座店の生菓子が売れにくくなると、その打開策として、缶入りクッキーを料亭等に売り歩いたのだそうです。

全国に配送はしているものの、店頭販売は都内のみ。地方の方に「銀座」の冠がのるお菓子はとても喜ばれますし、変化しながら壁を乗り越え、銀座の街を見つめてきた「ウエスト」が守り続けている味ならば、東京で時間を重ねてきた大人にも、安心してお渡しできますよね。

「古き良き」を感じられる生ケーキもときめくし、ツヤツヤのイチゴジャムがのった「ヴィクトリア」も大好き。喫茶が併設された店舗に行ける日は、自分のための時間も取りたい。「ウエスト」が洋菓子を作り続けるかぎり、わたし、ずっと、通い続けると思います。

銀座ウエスト 本店

電話:03-3571-1554
住所:東京都中央区銀座7-3-6
営業時間:9:00〜23:00(土曜・日曜・祝日は11:00〜20:00)
オンラインショップでも購入可
https://www.ginza-west.co.jp

撮影/さくらいしょうこ