プチ・セックスレス化しつつあるわたしとパートナー。ある日の夜、ベッドの上でとうとうわたしがキレてしまい、彼を揺り起こした......というのが前回までの話。今回はその続きで、わたしと彼の「セックスレスとその解消にむけてのてんやわんや」をご紹介したいと思う。

今年に入って、わたしと彼はほとんどセックスをしていない。数にするとたぶん片手で十分あまるほど。「1か月以上セックスをしていないカップルは、セックスレス」という定義では、わたしたちは立派なレスカップルだ。

ところが、「結合以外の性的接触があれば、それはレスではない」らしく、毎日お出かけ時、おやすみ時のキスや、外出の際の手つなぎはしているので、厳密に言うと完全レスではないようだ。

よそからみると「仲良しカップル」に見えるだろうし、おそらく他人は「あんなにスキンシップがあるふたりならば、夜もちゃんといちゃいちゃしているんだろうな」と想像されているだろう。

去年くらいから、なんとなく「セックスが少なくなってきたな」とは感じていたけれど、彼のほうから「今夜はいちゃいちゃしようぜ!」などと声をかけてくることもあって、でもそうは言いつつも夜になるとお互い疲れて、なにもせずに寝ることも多かったんだけど、一応「いちゃいちゃする気はありますよ」という意思表示は、彼にあったことはたしか。

ところが今年に入ってから、それさえもなくなったのだ。わたしも「しないなら、しなくていいけど」と思っていたし、実際仕事が忙しかったり気分が乗らなかったりして、セックスしない夜が長く続いてもまったく気にしなかった。

その前に、わたし自身がなんだか今年に入って、セクシャルなことに対して「否!」の境地に入ってしまったのだ。それも突然に。

セクシャルなことに嫌悪感を感じはじめた理由は自分でもわからない。正直言うと、もう別にパートナーとセックスなんてしなくてもいい。誰ともこれから先、セックスなんてしなくていいや。彼と仲良く暮らしていれさえすれば問題ないのでは......なんてことも思いはじめていた。

時期を同じくして、彼のほうもわたしに対してまったくギラギラしなくなった。つきあいも3年になるので、お互い「ギラギラするよりかは、安堵の夜」を望むようになってしまった。

ところがある夜、わたしはキレた。以前にも記事にしているのだが、去年、彼は浮気をして、思い切りわたしにバレてしまったことがある。そのことを思い出したのだ。

「よその女性には欲情して、わたしにはしなくなったのであれば、それは許せない!」。

地球上の全女性に対して欲情しなくなったのならば、しかたがない。でも地球上で「わたしにだけ欲情しなくなった」のであれば、それは由々しき問題。すでに「浮気問題」についてはお互い話しあって解決して、わたしも「忘れないけど許してあげた」のに、突然蒸しかえすように腹が立ってきたのだ。

そして、それは「セックスをしたい」という気持ちとイコールではなく、「セックスはしたくないけど、わたしにだけ欲情しない彼に猛烈に腹が立つ」状態だった。

「ちょっと! ねえ、ちょっと! 起きてよ!」。わたしは隣で寝ている彼を揺りおこした。彼は寝ぼけながら「なに? どうしたの?」とむにゃむにゃ。

「なんで、わたしといちゃいしゃしないの?」
「......はあ? どうしたの、突然」
「いいから! どうしてわたしといちゃいちゃしないの! どうして触れないの?」
「だって眠いから。今日はもう無理だよ〜、いったい何時だよ〜、まこちゃんも落ち着いて寝なよ〜」

頭のなかでゴングが鳴った。「今日は無理だよ」だって? 今からしようって誰が言ったか。だって、わたし、セックスはしたくないもの。

「今日いまからのことじゃないわよ! ずっとずっと今年に入って、わたしに触れようとしないじゃない」
「そんなことないよ〜、この前だっていちゃいちゃしたじゃん......」
「この前って......何百年前の話してんのよ! きーーーーっ!」
「まあ、セックスはそういえば最近してないかもだけど、毎日チュウだってしてるじゃん」

「あれは、わたしが頑張って日々のルーティーンとして要求してることで、あなたがわたしを愛おしくて求めてくるキスじゃないでしょ! 結婚する前から、ただの家族関係になるのだけは避けたいから、わたしなりにがんばってスキンシップをはかっているのに!」

わたしは自分の言葉を燃料にしながら、機関車のように蒸気を立てて爆進するタイプで、こうなったらもう誰もわたしを止めることができない。

「わたし以外の女性には、欲情するくせにーーーーー!」
「しないよ〜」
「去年、したじゃん。思い切り、したじゃん! ぎゃーーーーーーっ!」

わたしのことはもう女として見てないってわけね。だったら同棲している意味がないから、別れよう。わたし、なんなら今から出て行くけど。

「ちょっと、まこちゃん、落ち着こう。明日また話し合おう。今日はこれ以上話すのはやめよう。よからぬ方向にいってるから!」

その日は別々の部屋で寝た。わたしの怒りはおさまらず、翌日も彼とはひとことも口を聞かなかった。すると彼が夜、「ちょっと、今いい?」とわたしの部屋に入ってきた。

「たしかに最近、セックスしてなかったよね。まこちゃんのこと、女として見てないというわけじゃないんだ。俺ももういい年だし、そうそうムラムラしなくなってるんだよ。それだけの話だから。まこちゃんのことは大好きだよ」

模範解答かよ! 

「それは違うね。相手がわたしだから欲情しないだけよ。もし隣に壇蜜が寝てたら? 間違いなく欲情するでしょ?」
「まこちゃん、何言ってるのか意味がわからない......」
「とにかく、わたし以外の女性にはムラムラくるはずなんだって。試してごらんよ、他の人だったらすぐ『うひょーーー』ってなるから!」
「試さないし......」
「去年は好き勝手してたじゃない。またすればいいじゃない。わたしといたってどうせつまんないんでしょ。ムラムラしないんでしょ? だったらよそで好きなだけセックスするがいいさ!」
「じゃあさ、いまからいちゃいちゃする?」
「はー!? なに言ってんの。わたし、いまセックスまったくしたくない病なんですけど!」

いま当時を思い出しながら原稿を書いているが、どうしてわたしはこうもいろんなことをこじらせているのか、自己嫌悪になる。支離滅裂にもほどがある。

彼はしばらく黙ったあと「去年のことはごめんなさい。たぶん一生許してもらえないと思うけど、今は謝ることしかできない。まこちゃんを傷つけたから2度と同じ過ちはしないよ」と言った。

そして「今ね、まこちゃんを裏切らないように浮気を我慢してるとか、そういうのではなく、本当にセックス自体に興味がないんだ。不思議なくらいに。俺、そんな年頃になったのかも......」とぽつり。

わたしと一緒じゃん! 

「とくにまこちゃんとは、なんだかエッチするのが恥ずかしくなってるんだよね。もともとまこちゃんは俺にとって妹的な存在だったのもあって、なんというか......つきあいが深まるごとに、エッチしてると背徳感みたいなのを感じてきてさあ。なんでだろう」

なにかに対しても「申し訳ない」という気持ちになって、ムラムラしないんだ......と彼は言った。わたしが少し前から感じている「セックスに対する嫌悪感」ともしかしたら同じなのかもしれない。

この話を、精神科医の男友だちにすると「それはもしかしたら『性的嫌悪症』というやつかもしれない」と話した。なにそれ? と早速Google先生&Wikipedia先生にお尋ねしたところ、「性的嫌悪症とは、性行為あるいは性的な事柄そのものに対して嫌悪感を抱くこと」とあり、性嫌悪により性的伴侶との性的接触のすべてを、持続的または反復的に極端に嫌悪し回避することは『性嫌悪障害』とされるようだ。

なにやら字面からして不穏だ。もしかしたらわたしとパートナーは「性的嫌悪症」なのか。もしそうならば、どのようにして解決するのだろうか。

そのヒントは、精神科医の友人のアドバイスと、周囲のレスカップルの奮闘にあったのだが......長くなるので、この続きは次回に!

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