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嫉妬や執着、不安や怒りに乱れない心をつくるには

女の本棚

嫉妬や執着、不安や怒りに乱れない心をつくるには

ビジネスの世界は、駆け引きや欺瞞に満ちています。「この状況をなんとかしなくてはならない」と感じる事態のオンパレード。日々、渦巻く不安や怒り、執着、嫉妬に、自分自身も攪乱されることさえあります。

終わることのないさまざまな課題に対して、キャリア女性はどのような心で向き合っていけばよいのでしょうか。永平寺で20年修行した禅僧である南直哉著『禅僧が教える 心がラクになる生き方』から、心の持ち方についてご紹介します。

生きるか死ぬか以外は大したことではない

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深刻な問題に悩むことは、誰にもあるでしょう。仕事に追い詰められてウツになったり人間関係で苦しんだり、相談に来られる方の話を聞いていても、つらい状況であることはわかります。

でも極論すれば、人生において、生きるか死ぬかという問題以外に大事なことはありません。それ以外のことで、しかも自分で決められることなど、じつはささいなことです。その視点を養えるかどうか。それが、ときにその人を救うこともあるのです。

53ページより引用

永平寺で修業期間を終えたあと、修行僧の指導的職務に就いていた著者に、こんな出来事があったといいます。部屋で本を読んでいたら、若い修行債がただならぬ声で「南さん、大変です!」と息せききって部屋に駆けこんできました。

著者は「生きるか死ぬか以外は、大変なことなどない!」と一喝。結局、その中身というのは、ある老師からすぐに来てほしいとの要望が入り、電話してみたら、できれば早めに連絡してほしいといったレベルの話だったといいます。

こういったエピソードは、大なり小なり、私たちの身近なオフィスにおいて、よくある話なのではないでしょうか。

人生において、何らかの問題がおきた瞬間、人は視野が一気に狭まります。しかし、広びろとした視界があれば、その問題の本質が掴めて、全体におけるその問題の割合が一気に小さくなります。自分の手に余るのか、対処できるのか。誰かの助けが必要か、それともいったんやりすごせばよいのか。

極論としての生きるか死ぬかの視点というものは、今おきている問題を、広い視野で正確に見定める指針になりそうです。

問題が起きたときに、すぐに答えを出そうとしない

自分の問題を「他人にわかる言葉」にしてみると、解決の糸口が見えてきます。主語と述語を明確にして、自分の置かれた状況や問題点を整理してみましょう。(中略)

だから、「結論」や「答え」を得ようと焦らず、まず自分の問題を自分の言葉で明らかにして、人前に持ち出せるようになることを目指すのです。(中略)

そこまで考えられれば、いつか必ず「答え」を自分なりに見つけられるはずです。

132~139ページより引用

そうはいっても、ある程度の立場になると、ビジネスの場ではすぐに答えを出していかなくてはなりません。

私自身がかつて中間管理職だったとき、仕事の方向性は何とか出せたとしても、それが果たして正しかったのかどうか、後になって自分の決断の是非に答えが出ないことがありました。自分が何に悩み、もやもやしているのかさえ、よく分からないこともあります。

早くスッキリしたいけれど、解決の糸口が見えてこないとしたら、その悩みに対してすぐに答えを出そうとしなくてよいのかもしれません。まずは言語化できるように、自分の中で内省する。誰と誰がからんで、何が起きていて、今どんな感情が自分の中にあるのか。

もやもやしている状況をじっくり言語化することで、問題が自然と浮かびあがってきそうです。この時点になれば、感情はすでにある程度はクールダウンしていることでしょう。ここまでこれば、答えの着地点が自然に得られそうな気がします。

自分が抱えている問題を話せる「淡い関係」の人をつくる

問題を解決するために自力で視界が開けないときは、誰かの力を借りればいいと私は思います。自分の問題を言語化できる相手、心の内側をストレートに話せる相手を、ふだんから確保しておくことは心の健康を保つためにも必要です。ただし、友人や家族など、身近すぎる人間は適任ではありません。(中略)

気心は許せるけれど、日常的に会うわけではない。なんとなくウマが合って適度な距離感があり、信頼できる関係。私はそれを「淡い関係」の人と呼んでいます。

175ページより引用

とくにビジネスの話は、気のおけない同世代の女友達や同僚では、立場や年齢が近い分だけ、いまひとつ話しづらいことも中にはあります。家族の場合は、話の本質が理解されずに本題から逸れて思いがけないやぶへびにあうことさえありますから、気をつけなくてはならないこともあります。

そういう意味でも「淡い関係」という人は、私たち世代には必要な存在だといえるでしょう。たとえば、学生時代に信頼できた教師や部活のコーチ、昔からシンパシ―を感じている親戚、前の職場の上司や先輩など、できれば年上の人がよいと著者はいいます。

私自身にも、20歳近く年上で10年以上前に一緒に仕事をした女友達がいます。この10年の間に2年近く会わなかった期間もあるのですが、要所要所で大事な話をすることができた、稀有な存在です。私にとっての「淡い関係」といえるでしょう。

他人のつらい話や悩みごとは、関係性が薄いと、聞いていてあまり気が入らない部分もあります。また、その人となりをよく知らないと、的確な聞き方をできないことさえあるものです。

仕事上の責任が大きくなり、年齢を重ねるごとに、人は話しづらい悩みを抱えるようになります。そんなときに話ができる「淡い関係」の人をつくっておくことは、仕事に限らず、自分の人生においても大切なことといえるでしょう。

禅僧が教える 心がラクになる生き方

著者:南 直哉 発行:アスコム 定価:1,100円(税別)

Photo by Shutterstock

Writing byナカセコ エミコ

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