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部屋を区切らないがコツ。NYトライベッカ流インテリア3か条

部屋を区切らないがコツ。NYトライベッカ流インテリア3か条

70年代にアーティストたちが移り住み、現在ではセレブが多く住むマンハッタン屈指のラグジュアリーなエリアとなった、トライベッカ

このエリアの新アイコン、通称ジェンガビルと呼ばれる「56 Leonard(レオナルド)」の斜め向かい、いわばトライベッカの中心部に住むのがライター/翻訳家の吉田実香さんです。

青山のプラダビルなどを手掛ける世界的な建築家ユニット、ヘルツォーク&ド・ムーロンによるその高層ビルは、まるでこのエリアの進化を象徴しているかのよう。

彼女がライター/コーディネーターである夫のデビット・G.インバーさんと暮らすアパートは、その巨大ビルとは対照的な佇まいをみせています。

ライターの夫妻が暮らすヴィンテージなロフト

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1986年、結婚と同時にニューヨークへ渡って以来、同じアパートに住みつづけている実香さん。2階分ほどある高い天井をもつロフトで、もともとは1978年頃、デビットさんが大学時代に入居した場所。壁を作ってクローゼットにしたり、バスルームも自分たちで取りつけるなど改造を加えて暮らしてきました。

「プリウォー(戦前の建物)ですか?」との問いに「プリプリプリウォーよ」と笑うアパートは約150年前、日本では戊辰戦争の時代、アメリカでは南北戦争の頃に建てられた年代物

元縫製工場だったというビルで、1フロアに2世帯が入る5階建て。木の軋む音を楽しみながら、まっすぐ伸びた階段で3階に上がると、デビットさんが道端で拾ってきたというピカソのレプリカが飾られた玄関があります。

入居者は昔からいる人と今っぽい人に二分される、と実香さん。現在、下の階に住むのはイタリア版『VOGUE』の表紙も務めるトップモデルだとか。

自宅ワーク夫婦のティップス

「一世帯にライター2人はtoo manyなので(笑)」、ロフトの対角線上、一番離れた端と端にそれぞれの書斎を設けました。ユニットとして、2人で仕事をすることも多いですが、書斎は完全に分かれています。

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こちらは、DJブースと呼ばれるデビットさんの書斎。

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そしてこちらは、2つ並べたPCが存在感を放つ実香さんの書斎。

仕事で必要な会話はインターフォンでしていましたが音質が良くなかったため、糸電話を試みたなんてユニークなエピソードも。最近はメールやテキストで会話しているのだとか。

「仕事は戦い。直接話すと後で言った言わない、になるんです」。

起床し「自分のコックピットのよう」と語る書斎に入ったら仕事モード。フリーランスなだけにプライベートとの切り替えが難しそうですが、自宅でも照明で気分を変えたり、プールで泳いだり、太極拳をする時間をもつことで自分に還るのだそう。

所有より体験したい。ノーインテリアがコンセプト

実香さんが渡米したのは約30年前。当時のニューヨークは、とにかく危険で、日本から遠く感じたそう。通信手段といえばファックスがあるくらい。それも一枚送信するのも高価で、日本で活躍する仲間から取りのこされた感じがしたと言います。

それから一念発起し、翻訳を皮切りに広告の分野へ。その後、雑誌『BRUTUS(ブルータス)』、『CASA BRUTUS(カーサ ブルータス)』で建築、ライフスタイルを中心にライターとして発信しつづけています。

ニューヨークのアート系名門出版社、「Rizzoli(リッゾーリ)」から本を出版するなど、第一線で活躍する実香さん。取材NGであるカリスマ主婦のマーサ・スチュワートの自宅を含め、これまでに800件ほども取材している彼女に自宅のコンセプトを聞くと「ノーインテリア」との答えが返ってきました。

ファッションデザイナーが黒しか着ないのと同じように、最先端のクリエーターのインテリアを見てきた彼女は「いろんなノウハウが入りすぎていて、仕事を思い出してしまうから自宅には置きたくないんです」。

ロフトを飾るアートは友人からもらったもののほか、「仕事が付きまとうんですけど(笑)」手がけた雑誌の中吊り広告まで。

好きな画家はフランシス・ベーコンですが、実香さん自身に所有欲がなく、形にはならないけれど、アートは仕事などで体験できれば、持たなくても良いのだそう。

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部屋には珍しい電気式の時計が。ピンナップガール風でヨーロッパのものとは趣きが違います。

トライベッカのインテリア3か条

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取材で培ったテクニックをもとに、実香さん流トライベッカのインテリアの3か条をあげるとしたら?

1. レンガの壁と家具の色を合わせる2. 区切らない3. 色をポイントでおく(しかし原色は絶対使わない。クッションなど可動的なものに色をつける)

これで空間を広く見せることができるのだとか。「あとは布使い。エスニック系だとタイムレスで古くならないですよ」。

時代を感じないものが好きだという彼女によると、モダンなデザインを創っているデザイナーやホテリエでさえ、意外とインテリアにエスニックなものを使っているのだとか。

「流行のものは仕事柄、何シーズン前のものだな、とか情報が入ってきて疲れちゃうんです。タイムレス、そして人の手で作ったもの、というのが大事」。

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「30年前からトライベッカの住人が変わっていくのを見たのは面白かったです。お金儲けに興味のないアーティストが集まり、弁護士や医者が住みはじめ、そしてジャスティン・ビーバーやスカーレット・ヨハンソンなどスーパーセレブが近所に住むように。街の振り幅の大きさ、このダイナミズムがニューヨークそのものですよね」。

ヴィンテージな家具とシンプルなインテリアが心地よい実香さんのロフトは、そんなクレイジーな外界は何処吹く風。変わらぬものが感じさせてくれる、懐かしい居心地の良さがありました。

吉田実香インスタグラム

神田朝子

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