イギリスの実業家でヴァージン・グループ創始者・会長のリチャード・ブランソンが、ビジネスパーソンや起業家の質問に応えます。

Q:あなたは最初の本で、ヴァージンを上場させた後で非公開株企業に戻し、そのために多額の負債を背負った体験について書いています。とても難しい決断だったそうですが、どのような経緯だったのですか?

自分だったらそんな選択を迫られたら怖くて動けないだろうし、だから起業で成功できないんだと思います。リチャードさんにも恐怖はあったのですか?(テトリウス・デュ・トイト/南アフリカ共和国)

A:ひとつ深呼吸をして、難しい(そして時に勇気のいる)意思決定をする。キャリアを通じて、何度もそういう瞬間を経験してきました。起業家であれば、誰しもそうだと思います。事業をローンチしたり、会社を立ち上げたりしている時期は、現金も時間も足らず、障害も多いものです。

非上場に戻ろう

1980年代の終わり、ヴァージン・グループを上場させて2年しか経っていない頃、僕とチームはグループを再び非公開株にすべきかを検討していました。僕はそうしなければ、事業自体もブランドを拡大する機会も制限されてしまうと感じていました。

非上場企業では、特に長期的な決定をする際、起業家の裁量に任せられるところが大きくなります。僕はいつも、そうした自由を享受してきました。もしもヴァージンが上場企業のままだったら、音楽業界人が航空会社や宇宙船の会社を始めることがビジネスとして妥当なことなのか、株主を説得するのに悪戦苦闘したことでしょう(僕は後に、航空会社をやるという自分の判断がどれだけ重要な意味を持っていたかを知ることになりました)。

僕はその数年前に、上場すれば事業拡大のための資金が手に入りやすくなるし、ヴァージン・グループを世界的に成長させて、音楽エンターテインメントのより多くの分野に入っていけると説得を受けたのです。でも実際には、それとは全く異なる現実が待っていました。1987年の株価暴落後、僕らは事業拡大のチャンスの望みがなくなったことを知ったのです。

借金が怖くなかった理由

残された道を検討した結果、ヴァージンの将来を守る最善の道は、新たに借金をして株主の株を買い取ることだという結論に達しました。このやり方だと銀行から相当な額を借りることにはなりますが、再び自分たちで事業を完全にコントロールできます。

僕は起業家として、自分のアイディアに投資してくれる人をいつも探さなければならなかったので、借金には慣れていました。初めてお金を借りたのは10代の頃、叔母からで、自分にできる最短で返済しました。ヴァージン・グループの借金はもちろんスケールが違いますが、僕は事業に本物の可能性があることを知っていたので、自信を持っていました。非公開株にしてから数か月後、世界進出を手伝ってくれるパートナーが日本で見つかり、そこから少し楽になりました。

ヴァージンが多様化・拡大する中、僕らは各事業の進路を決める裁量は自分たちが持つようにしました。それぞれの事業は、現地市場の開発と活用を助けてくれるパートナーと共に、個々のビジネスとして築いていきました。

チャンスが来た時に問うべき3つの質問

これはというチャンスを見つけてさっとつかむ。これは、どんな起業家にも欠かせないスキルです。でも思い切って新しいパートナーと組んだり、事業拡大のために借金を増額したりするのは怖いこともあります。

以下はこうした恐怖に打ち勝つために覚えておいてほしいポイントです。

1. 自分の会社にとって、正しい動きと言えるか?

大きく物事を変えることを検討中のときは、それが自社のコアサービスにどう影響するかを考えてください。ベスト・ビジネスというのは、サービスを向上させる、もっと何かを簡単にできるようにするなど、問題を解決して人々の暮らしを改善するものです。例えばアップルがiPhoneで電話市場に革命を起こしたのも、そうですよね。

2. このチャンスで成功するためのチームを用意できるか?

細かいことに目配りができないようではダメです。どんなに事業が大きくなっても、ディテールをないがしろにしないチームでいなければなりません。仕事を任せられる人がいるか、その負担をシェアできる人がいるかを検討してください。息の長い事業を築くためには、信頼できる仲間に囲まれている必要があります。

3. このチャンスは、自社製品やブランドの宣伝に繋がるか?

あらゆる機会を使って、自らブランドのプロモーションを行ってください。僕が長年やってきて言えるのは、ヴァージンブランドを広告費をかけずに巻頭ページに掲載してもらうことができたのは、自分のクレイジーな行動や冒険のおかげだったということです。

以上のような問いを参考にして、競争の激しさ、資金難、不況など、様々な障害を乗り越える勇気を奮い立たせてください。Good luck!

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リチャード・ブランソン

イギリスの実業家で、ヴァージン・グループの創設者・会長。ヴァージン・レコードを筆頭に、航空産業、携帯電話、出版、金融から、飲料水、宇宙旅行まで幅広い分野で事業を展開。気球で太平洋横断に挑戦するなど冒険家としても有名である。鋭い洞察力、ユーモアに富んだ発言と自由な生き方で世界中に根強いファンを持つ。

© 2017 Richard Branson, Distributed by The New York Times Syndicate
[原文:Having Doubts about Debt/執筆:Richard Branson]
(翻訳:スマキ ミカ)
photo by Getty Images