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今日の私は昨日の私より成長していたい/ワコール 鳥屋尾優子さん

インタビュー/働くあなたに伝えたいこと

今日の私は昨日の私より成長していたい/ワコール 鳥屋尾優子さん

相手を自然とリラックスさせるあたたかな雰囲気と、「成長」を求め続ける強い意志を併せ持つ鳥屋尾優子さん。ワコールの新規事業「ワコールスタディホール京都」の館長/プロデューサーを務め、京都駅前に「美」をテーマにした学びの場を提供している。ワコール内でさまざまな部署を経験してきた鳥屋尾さんに、これまでのキャリアや大切にしていることを伺った。

20171030_career_profile.jpg鳥屋尾優子(とやお・ゆうこ)さん

株式会社ワコール入社後、経理・財務部門に配属。その後、広報部門にてワコールの社外向けPR誌の編集、社内報の編集に携わり、多数の文化人、学者、医療従事者などへのインタビューを実施。ワコールの経営者や社員、世界で働くワコールの仲間への取材を通じてワコールに根付く経営理念を体感する。その後、宣伝部門でPR・企業広告制作業務に従事。広報・宣伝を行うPR部門とCSR活動や情報開発を行う宣伝企画部門の課長を経て、現職に就き、ワコールが2016年10月に京都駅前にオープンする美をテーマにした学び場「ワコールスタディホール京都」を立ち上げる。

ワコールスタディホール京都の館長として

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女性用の下着メーカーとしておなじみのワコールが、京都駅のほど近くに昨年オープンした「ワコールスタディホール京都」。そこで館長とプロデューサーを務めるのが鳥屋尾さんだ。まずは、この施設について教えてもらった。

ワコールスタディホール京都は、『美』をテーマとした施設です。『身体の美』『感性の美』『社会の美』について8つの切り口で講座などを開催しているほか、3600冊の本を揃えたライブラリー、コワーキングスペース、ギャラリーなどを併設しています」

8つのテーマとは、「哲学」「歴史」「文化」「アート」「科学」「トレンド」「生活」「ビジネス」のこと。これらの活動には、どのような狙いがあるのだろうか。

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「ワコールの創業者は、戦後『女性が "美しくなりたい"という願いを謳歌できる時代こそが平和の象徴である』と考えました。最初は商社としてさまざまな女性向け商品を扱いながら、ブラジャーの製造販売を主流にしていくことになりました。昨年、創業70周年を迎え、いま再び創業者の思いに立ち返り、改めて『美しくなりたい』という女性の思いを新たな分野で応援したいと考えたのです。美を学び、成長する。その過程もまた美しさだと思います

この事業やコンセプトを形作るにあたり、これまでのたくさんの経験が生きているという。

「入社してすぐは、経理財務部に配属になりました。その際に学んだ会計の仕組みは、今の施設のやりくりに生きています。その次には社内広報を経てマスコミ広報を担当しましたが、どちらも会社の理念を掘り起こし、事業を見つめて企画を立てていきます。その際に深く関わった理念が、運営に直結しています」

失敗はたくさん。うまくいかないときの解決法は「すべて書き出す」

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どの経験も今の役に立っており、失敗も成長も経験した。うまくいかないときも含め、日々必ずやるのは、課題をすべて書き出すことだという。

「夜中にがばっと起きて、突然書き出すこともあります。『これはすぐに解決する』『今は無理だから半年後に解決を図る』などが整理されるので、すっきりします」

全体を俯瞰して見たいと考えるのは、鳥屋尾さんの特性だ。社内報の業務で経営理念を追求し続けたのは、鳥屋尾さんだからこそだろう。ところが、それゆえ効率重視で進められないこともあるという。

「米国ワコールが20周年を迎えたときに20周年誌を作ることになり、私が担当に。過去に制作した10周年誌が歴史を振り返る内容だったので、同様にしようとこれまでの歴史を調べてまとめてあげていきました。ところが、まとめ上がったとき『なんだか、違う気がします』と自分から言ってしまったのです

期間にして、半年。それまで作り上げてきたものを、納得がいかないからと言及する勇気は、誰にでもあるものではない。すべてを白紙にして作り直すことになった。

「企業史を説明されても、読んだ人はおもしろくないと思ったのです。でも、それに気づくには全部を知る必要があったんですね。20年を経た会社の『今』を映し出すべきだと、ライターさんとアメリカに10日ほど滞在し、毎日夜中まで企画会議。それでようやく完成したのです」

その後もすんなりとは進まず、印刷工程で問題が生じ、刷り直しに。上司からは国際電話で怒鳴られ、自宅で一緒にいた3歳の息子が雰囲気を感じ取って泣き出したことも。それでも、妥協せず20周年のパーティに間に合わせ、納得の出来となった。

「そんな失敗を経て、今はずいぶん人に仕事を任せられるようになりました」

と、鳥屋尾さんは微笑む。本当はすべてを見たいけど......という心の声が聞こえるよう。

父が亡くなった意味。私なりの理解

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妥協せず前に進む鳥屋尾さんが、仕事をする上で大切にしているのは「成長」だ。

「ワコールスタディホール京都のコンセプトにも通じますが、成長とは誰にでもある自然な欲求だと思います。私も成長したいし、私に関わってくれた人たちが、何かしら成長を感じられる関係がつくれたら嬉しい。私は父を中学3年生のときに亡くしており、人の死について考え続けてきました。人はいつ死ぬかわからない。明日死ぬかもしれない。でも人は死をもってしても誰かに影響を与え、成長させている。そんな風に考えています。だから私は、今日は昨日よりも絶対に成長していたいと思うのです

わかりやすく成長が見られるからという理由もあり、9年ほど前から空手に取り組んでいる。今は何と黒帯なのだとか。また、働きながら大学にも通い、京都や日本の美しさを学んでいる。子育てもしながら、いったい何足のわらじをはいているのだろう。

「私自身、大変だと思っていないんです。『大変ですね』と言われると大変な気がしてしまうので、あまり言わないでってまわりに言っています。これからの目標は、ワコールスタディホール京都が地元に根付いて、『ここにあってよかった』と言ってもらえるような存在になること」

形になったことやメンバーが得意とすることは委譲し、鳥屋尾さんは初めてのことにどんどんチャンレジしていく。ものごとを深く考え、ぶれない芯を持つ。そこにこそ鳥屋尾さんならではの「美」があるのだ。

Q.お気に入りの化粧品は?

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Diorの「アディクト リップ マキシマイザー 001(ピンク)」と、estの「アドバンスドリップス 101」。

Q. 現在読んでいる本、愛読書は?

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すべて改めて読んでいる本で『武士道シックスティーン』(誉田哲也著)、『デザインと革新』(太刀川瑛弼著)、『日本史の謎は「地形」で解ける』(竹村公太郎著)。『武士道シックスティーン』は高校2年生の息子に借りたもの。

Q. お気に入りのファッションアイテムは?

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「ワコール ディア」のスカート。

Q. 欠かせないスマホアプリは?

「Facebook」や「Messenger」。

Q. 1か月休みがあったら何をしたいですか?

家族と過ごしたい。旅行でも何でもいいが、どこで過ごすかより誰と一緒にいるかが大切。

撮影/柳原久子、取材・文/栃尾江美、企画・構成/寺田佳織(カフェグローブ編集部)

栃尾江美

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