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レストランガイド「ゴ・エ・ミヨ」宮川編集長に聞く東京フレンチの愉しみ方

今いちばんおいしい東京をどうぞ/Gault & Millau avec cafeglobe

レストランガイド「ゴ・エ・ミヨ」宮川編集長に聞く東京フレンチの愉しみ方

いまや世界をリードするグルメ都市となった東京。パリの約1万2000件をはるかに超え、約8万3800店もの飲食店がしのぎを削るなかで、日々すばらしいガストロミーが生まれ、東京の「食」を目当てに訪れる外国人もますます増えてきました。

ところが私たち大人の女性がこの波を乗りこなしているかというと、イエスとは言いにくいのが正直なところ。「ここぞ」というレストランを開拓したいのに、どこへ行ったらいいかわからない。うまく使いこなせない......。そんなジレンマを解消したいと、カフェグローブ編集長・遠藤が知恵を借りたのはレストランガイド「ゴ・エ・ミヨ」編集長の宮川俊二さん。いま東京で行くべきレストランや、大人の女性のレストランの愉しみ方についてうかがいました。

いま30代若手シェフの料理が面白い

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遠藤:宮川さん、今日はありがとうございます。今回は大人の女性におすすめしたいレストランとして、30代の若手シェフのお店をピックアップしてくださいましたね。

宮川編集長:レストランには、僕はよく女性と行きますが(笑)、口説くとかそんなんじゃなくて、ただ素敵な女性と一緒に「食」と向き合うことが喜びなんです。そんなとき、30代シェフの常に変化する新鮮な料理というのは、テーブルを囲んでいてとても楽しい。ベテランの一流シェフの味というのは非常に安定していて、そこにひとつの価値があります。でも30代のシェフたちは、食材の使い方からプレゼンテーションまで、いろいろな発見をさせてくれる。その楽しさを、ぜひ大人の女性に味わってほしいのです。

遠藤:40代女性は、お金のつかいみちを自分で選ぶことができて、いいものも知っている。だからこそ、30代シェフの「成長過程を味わう」という愉しみは、特別なものになる気がします。

宮川編集長:そうですね。フレンチの世界は広いですから、新感覚のものからオードソックスなものまでいろいろある。そのなかで40代女性にすすめたいのは、まだ「若い」と言っていいシェフの料理を、自分たちで育ててあげること

遠藤:ともに成長する、そんなイメージですね。

宮川編集長:はい。一緒になって東京フレンチのシーンを盛り上げてほしいですね。競争のなかで台頭してきた30代シェフの店は、どこも特徴をきちっと絞って出してきていますから、新しい世界がたくさん広がると思いますよ。

日本人シェフの道を拓いた先人たち

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遠藤:今日、対談の場所をお借りした「オルグイユ」の加瀬史也さんも、宮川編集長が注目する若手シェフのおひとりです。今年で32歳になられるとか。

加瀬シェフ:はい。フランス・シャンパーニュ地方の「レ・クレイエール」や東京の「カンテサンス」で経験を積み、1年半ほど前に「オルグイユ」をオープンしました。

宮川編集長:シェフたちの話を聞いていて思うのは、料理人の修業の仕方がかなり変わってきたということ。いま60代を超える一流シェフが若かったころは、渡航して修業先を見つけるだけでも大変だった。あの世代のシェフたちが、日本人シェフのイメージを変え、存在感を世界にアピールしてくれたんですね。

加瀬シェフ:先輩方が礎を築いてくださったというのは、すごく大きかったと思います。僕なんかも、昔はとても働けなかった名店が、メールしただけであっさり受け入れてくれて......。日本人シェフに対する信頼を実感しました。

宮川編集長:昔のシェフは、40代で初めて自分の世界を持つような感じだったけれど、今はお手本となるシェフが日本にたくさんいる。30代シェフの成長スピードが速くなるのもわかります。

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加瀬シェフ:「オルグイユ」を始めて、大きな店の厨房の奥にいるのではなく、自分の店でお客様の顔や反応をダイレクトに見ながら料理ができるようになって。それを糧に日々ブラッシュアップしています。宮川さんが「30代シェフの料理が面白い」と言ってくれるのは、怖いもの知らずというか、チャレンジする勢いを楽しんでくださっているのかもしれません。

宮川編集長:30代シェフの味は今しかない、どんどん変わっていく。その変動の激しさが面白いんだよね。僕は長い間ニュースキャスターやアナウンサーをしてきて、縁あって「ゴ・エ・ミヨ」に携わることになりましたが、日々変わるものにとても興味を惹かれるんです。だから40代の成熟した女性たちも、そういう......弟たちというか。彼らの成長ぶりをね。

遠藤:そうですね! ひいきの役者さんを見守るような感じでね。

加瀬シェフ:そんなふうに定期的にいらしていただけると、すごくうれしいですね。1年に1回でも、季節を変えてでも。

危機感が新しいコンセプトを生む

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遠藤:新しいスタイルというところで、加瀬さんの「オルグイユ」では、料理とシャンパーニュのペアリングをコンセプトにしていますよね。

加瀬シェフ:はい。星の数ほどレストランがあるなかで、若手の僕らがやるのであれば、なにか自分の特徴なり、個性なりをコンセプトとして打ち出していかなければいけません。酸味や軽さを大切にする自分の料理は、シャンパーニュにとても合いますし、いまはシャンパーニュを好むお客様も増えています。フルコースに合わせられるほどバリエーションも豊富なので、そこを楽しんでいただけたらと思って。

遠藤:私は30代のベンチャー企業家に取材することも多いのですが、加瀬さんのお考えと共通点を感じます。自分の強みや、どういうふうにビジネスを進めていくべきか、すごく考えている方が多いんです。

宮川編集長:これからご紹介する「アビス」や「クラフタル」も、それぞれ独特のコンセプトがあります。彼らが今後も、そういうふうに料理の焦点を絞ったままで進むかはわからないけれど、そこも含めて魅力と可能性を感じます。

大人の女性がレストランを愉しむには

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遠藤:おふたりに、大人の女性がレストランを愉しむいいアイディアをぜひお聞きしたくて。たとえば会食のセッティングとプライベートでは違いますよね。

宮川編集長:よくお店選びの相談を受けますが、みんな情報量が少なすぎる。「先方はフランス料理が好きらしい」とか、それくらいでフレンチレストランを予約するのは危険です。フレンチはものすごく幅が広くて、オーソドックスが好きな人を前衛料理の店に連れていったりしたら大変ですよ。「こんなの食べられない」ってびっくりされてしまう。

加瀬シェフ:今はSNSやネットに情報があふれているから、相手の好みもある程度リサーチできますよね。あの人は魚が好きとか、シャンパーニュが好きとか。お酒が飲めない人なら、ノンアルコールでペアリングを提案してくれる店もあります。評判がいいというだけではなく、お店の個性を知っておくと失敗がないと思います。

宮川編集長:どんなふうに時間を過ごせる相手かにもよりますね。この人とだったら、2時間も話が続かないから、さっと食べられる店に行こうとか。フレンチはゆっくり食事を愉しむ場所だから、相手と向き合わなきゃいけない。僕がカウンターを好むのは、料理を作っている様子が見られたり、シェフと話ができたりして、間が持つからということもあるんです。

遠藤:相手の好みを知り、リサーチしてからお店に行く。時間の過ごし方も考えておく、ということですね。

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加瀬シェフ:レストランはお客様ありきなので、そうしていただくと、全員にとってすごくいい時間が作れると思います。

宮川編集長:ひとつ言いたいのは、お喋りに夢中になりすぎずに、もっと料理を楽しんでほしい、ということ。なかなか手がつかないお皿があったりすると、人ごとながら気になってしまう(笑)。「早く食べてあげて!」って。

遠藤:会話も楽しいけれど、そのなかに「お料理に集中する瞬間」があると、もっと豊かになりますよね。そこから生まれる会話もある......。

宮川編集長:僕がなぜフランス料理が好きかというと、一番深いんですよ。食材の数の多さも、手のかけようも。だから、フランス料理って食べていて面白いんだよね。人生の楽しみのひとつに、そういった「複雑なもの」に挑戦する、ということがあると思うのです。

遠藤:ワインもフレンチも、ハマる喜びがわかると、どんどん世界が広がっていきますよね。

加瀬シェフ:大人の女性なら、きっと以前とは違うレストランの楽しみ方が見つかると思います。Tシャツや短パンの子どもがいない店で、ゆったりドレスアップして食事をするのって、いいものですよ。

* * *

「ゴ・エ・ミヨ」宮川編集長に聞く、東京フレンチの愉しみ方。次回から、いま訪れるべき30代若手シェフのレストラン3店をご紹介していきます。最初のレストランは、対談にも参加してくださった加瀬史也シェフの「オルグイユ」です。お楽しみに!

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「ゴ・エ・ミヨ(Gault&Millau)」編集長宮川俊二(みやがわ・しゅんじ)さん

早稲田大学第一文学部卒業後、日本放送協会(NHK)入局。退職後、フジテレビ「ニュースJAPAN」のキャスターを務める。現在はフリーとして報道・情報・クイズ・バラエティー等に出演中。食通として知られ、日本ソムリエ協会認定ワインエキスパートの資格を持つ。1972年にフランスで誕生し、1973年に「ヌーヴェル・キュイジーヌ」を提唱した歴史あるレストランガイド「ゴ・エ・ミヨ(Gault&Millau)」の日本版創設にともない、2018年版編集長に就任。東京・北陸の名店を網羅した「ゴ・エ・ミヨ 東京・北陸2017」は2017年2月2日に発刊。

撮影/八田政玄 取材・文/田邉愛理

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