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インドのモディ政権下で高まるメディアへの圧力 [The New York Times]

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インドのモディ政権下で高まるメディアへの圧力 [The New York Times]

政府の方針に批判的な本を買うときは、役人に自分の購買履歴を辿られないか心配なのでネットは使わない。

旧知の知り合いが大勢いるパーティで、誰かが少しだけ政府に批判的なことを口にした。そうしたら、次の日にはその人のところに税務署から査察が入ったらしい。

まるで、どこかの警察国家での話のようだ。でもこれは、先月インドに行ったときに2人のビジネスマンから別々に聞いた話なのだ。

世間に蔓延する不安感

2014年にナレンドラ・モディ氏が首相になってから、インドで表現の自由が脅かされるようになっていることは周知の事実だ。だが今回のインド行きで、思っていた以上に世間に不安感が蔓延していると感じた。

私は60年以上に渡ってインドを繰り返し訪れてきた。インドにおいて、表現の自由は必ずしも絶対的な権利と見なされてきたわけではない。1975年にインディラ・ガンディー首相は、非常事態宣言を出しニュースメディアを取り締まった。こうした例に見られるように、かの国の民主主義は常に危うさを伴ってきた。だが批判する者を残らず潰そうとするようなやり方からは、いつか抜け出るものと信じていた。

だからこそ、今回インドで会った人たちから聞いたことには驚かされた。ニューデリー在住の著名作家は仲間とのやり取りにProtonMailやSignalのような暗号化メールを使っているそうだ。メールを使わずにWhatsAppアプリだけで通信するという人もいた。ムンバイの新聞社の編集者は、電話が盗聴されていると言っていた。

監視されているのではないかと感じているのは、政府に反対するジャーナリストや作家だけではない。冒頭のビジネスマンたちの例にあるように、経済重視のモディ政権に期待を寄せる人々も同じような不安を訴えている。

圧力を受ける報道機関

それでも、より強い危機感を抱いているのはやはりジャーナリストたちだ。2017年の6月、中央捜査局はモディ政権と度々衝突してきたN.D.T.V.(ケーブルテレビ局とオンライン・ニュースメディアを運営)のオフィスと幹部の自宅を強制捜査した。これを受けて、新聞記者協会やメディアに関わる著名人らから批判の声があがった。そんな中ある雑誌編集者は、自分や家族が報復の対象になるのではないかと、不安の声を漏らしていた。

さらに不穏なのは、相次いで起きているジャーナリストの殺害(いずれの事件も未解決)と、複数のニュースメディアに対する起訴だ。

与党インド人民党(BJP)の党首であるアミット・シャー氏の息子のジェイ・シャー氏が立場を利用して不当な利益を得たとする記事を発行したニュースサイトのThe Wireは名誉毀損で訴えられた。

グジャラート州(2014年までモディ氏が州の首相を務めていた)の裁判所はThe Wireに対し、裁判が終わるまでジェイ・シャー氏に関する報道を禁止すると言い渡した。The Wireはこれに反発。サイトに命令書の写真を掲載し、圧力に屈しないと宣言した。

役人の不正を暴くための取材が困難に

インド人民党が多数派のラージャスターン州政府は10月末に、役人などの不正を告発する報道を不可能にする法令を出した。これによりジャーナリストたちは、裁判官や役人が勤務中にしていたことについて調査取材をするために政府の許可を得なければいけなくなった。

そして許可が下りるまでは、不正が疑われている裁判官や役人の個人情報(氏名、住所、写真、家族の情報など)は一切公表してはならないことになった。この法令は退官した者に対しても適用される。

もちろん、皆が不安を訴えているわけではない。ためらわず自分の意見を言う人は大勢いるし、勇気あるジャーナリストたちは圧力に負けずに仕事を続けている。だが、自由に発言したり、書いたりすることだけでなく、読むことまで制限されるのではないかと人々の不安が高まっている状況は、世界有数の民主主義国家にとって大きな危機だといえるだろう。

© 2017 The New York Times News Service[原文:The Question More Indians Ask -- 'Is My Phone Tapped?'/執筆:Mira Kamdar](抄訳:Tom N.)

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