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もはや特権階級の証。低所得者は結婚できないというリアル [The New York Times]

The New York Times

もはや特権階級の証。低所得者は結婚できないというリアル [The New York Times]

ワーキングクラスの半数以上が結婚していない

かつて結婚は、収入や学歴を問わず、アメリカで家族を作るための基本形だった。それがいまや、特権階級だけに許されたものになってしまった。

アメリカで、結婚する人が減っている。そしてその理由は、社会経済的なステータスに関係している。カレッジの学位を持っていない人の間で結婚が急減する一方で、高等教育の学位を持つ所得の高い層では変化がない

2017年9月に2つのシンクタンク(American Enterprise InstituteとOpportunity America)が発表した調査概要によると、結婚しているのは、貧困層成人の26%、労働者階級成人の39%、ミドルクラスとアッパークラスの56%だ。

1990年には成人の半数以上は結婚しており、社会階級や学歴による差異はずっと小さかった。貧困層成人の51%、労働者階級成人の57%、ミドルクラスとアッパークラスの65%が結婚していた。

数字が減少した大きな理由は、失業中の男性が結婚対象として考慮されないことにある。

「女性は扶養の糧を得ることのできない相手と結婚して、リスクをとりたくないのです」。そう語るのは、コーネル大学の社会学者、シャロン・サッスラーだ。

結婚は減っているのにシングルペアレントの家庭が増えている

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パラジウムを使って結婚指輪を手作りするクラスで。パラジウムは質感がプラチナに似ているが、価格が手頃。2011年11月5日撮影。(Joshua Brigt/The New York Times)

ところが結婚しない人が増えているのに、出産数は増えている。つまりシングルペアレントの家庭で育つ子供が増えているのだ。

家庭研究所(Institute for Family Studies)の研究によると、自分の生みの親と暮らす子供の割合は、貧困層や労働者階級では半数強、ミドルクラスとアッパークラスでは77%だ。労働者階級の母親が出産した子供の36%は婚外子だが、ミドルクラスとアッパークラスでは13%だ。

ここでいう「労働者階級」とは、高卒の世帯所得が20〜50パーセンタイル(※)の成人を指す。「貧困層」は、高校未修了で世帯所得20パーセンタイル以下の成人、ミドル/アッパークラスは、学士号(カレッジの学位)を有する50パーセンタイル以上の成人と定義している。

所得層に関わらず、米国人は今も結婚を重要視している。しかしかつては大人になったらするものだった結婚が、今では特に経済力など、他の面でも大人になるまで待つことを余儀なくされている。そしてそれは、学歴と収入のない人たちには、決して叶わないことかもしれない。

妊娠してしまう中高卒と、避妊する大学生

社会学者によれば、カレッジ卒の層は、より長期的な視野に立って人生設計する傾向にある。同居する前に様々な相手を吟味し、キャリアを軌道に乗せるまで避妊にも気をつける。教育費や家賃、避妊薬購入費などに親の援助を受けながら、自分の子どもにも同じようにしてあげられる能力をつけるまで、家庭を持つ責任を先延ばしにする者が多い。

高等教育を受けていない層は、つき合って数か月で恋人と同棲し、若くして結婚前に妊娠する割合が高い。この場合、往往にして、安定した家庭生活を築くのが後に難しくなる。二人の関係が育たないうちに経済的な理由に迫られて性急に同棲を始め、ひっ迫した経済に苦労し、パートナーとの関係もうまくいかない。それがひとつのパターンだ。

養いたいのに仕事がない高卒男性

調査が明らかにしているのは、カレッジの学位を持たない男性が経済的に困窮していることが、結婚の減少に直結しているという事実だ。自動化や輸入により、男性がまともな金額を稼げる仕事がなくなった地域で、それは特に顕著だ。

結婚に"向かない"男性を増やしたのは、労働市場の変化だ。失業してドラッグやアルコール、犯罪に走れば、結婚相手として考慮されなくなる。

ピュー研究所(Pew Research Center)によれば、結婚したことのない成人、特に低所得の30代以下は、経済力を理由にあげる。ほとんどの男性、特に学士号を持たない人は、夫が家族を扶養することが重要だと考えている。

一方で女性は親世代の離婚を見ながら育ち、経済的に自立する必要性を学んだ。労働者階級の女性の多くは、仕事のない男性の面倒を見るつもりはない。

雇用さえ増えれば、また結婚するようになるのか

専門家は、子供に重要なのは安定性であり、結婚制度ではないという。だが籍を入れずに同居しているカップルは、別れる可能性が高いのも事実だ。

安定した家庭を築くにはどうしたらいいかについて、研究者たちのとらえ方は、結婚の減少が経済的な問題と見るか、それとも文化的な問題と見るかに分かれる。リベラルな者は経済が原因だから、低学歴の男性のための雇用を改善すれば状況は変えられると言う。一方、保守的な者は、伝統的な価値観が劣化していると文化に原因を求める。

現実的には、経済と文化にはそれぞれの役割があり、相互に影響を与え合っている。経済的理由により結婚しない男性が増えた結果、文化も変わった。つまり結婚はもはや当たり前のことでなくなり、婚外子も認められるようになったのだ。もしも今後経済が回復して雇用が増えても、婚姻数がすぐに増えるとは限らないだろう。

経済学者は文化的要素を軽視しがちだと、カリフォルニア大サンディエゴ校の経済学者、ゴードン・ハンソンは言う。「研究室の中で考えているだけなので、教会やスポーツリーグ、地域の組織などの役割には思いが至らないのです。雇用が大幅に減っている時は、地域のそうした構造自体が崩れていきます。雇用を取り返しても、一度壊れたものを修復するには時間がかかるでしょう」

学位、仕事、結婚、子どもという順番を教え直す

経済と文化がつながっているのであれば、子供のために家庭の安定を目指す政策は、その両方に取り組む必要がある。

社会科学者たちは、コミュニティカレッジや徒弟制度を通じて、雇用への道を広げよと唱える。若者のための低家賃住宅を整備すれば、経済的必要に迫られての安易な同棲も減るだろう。また、低価格で入手しやすい避妊薬も一助となる。扶養児童の税額控除拡大やマリッジ・ペナルティ(共働き夫婦の所得税が高いこと)の廃止も提案されてきた。

文化を変えるのはもっと厄介だ。たとえば政府の結婚奨励プログラムは成果を上げていない。調査結果は、時間をかけて関係を育み、出産が遅くなった方が、家庭は確実に安定することを示している。

また、そのためにはまず、間違った相手と子どもを持たないために避妊教育が望まれる。家庭研究所のウィルコックスは、高校やポップカルチャーにおいて、学位、仕事、結婚、子どもという、いわゆる成功の順番を強調することが必要と言う。「この順番をたどれば、貧困に陥る可能性はずっと低くなるのです」

※パーセンタイル=データを小さい順に並べたとき、初めから数えて全体の%に位置する値。

© 2017 The New York Times News Service[原文:How Did Marriage Become a Mark of Privilege?/執筆:Claire Cain Miller](抄訳:スマキ ミカ)

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