毎年開かれる国連気候変動枠組み条約締約国会議、通称COP。専門的で難しそう、任せておこうと思いがちだが、温暖化や異常気象の影響はすでに日本でも毎日の生活にしのび寄っている。2020年から実施される「パリ協定」を目指し、今年は何がポイントとなっているのかチェックしてみよう。(以下、2017年11月10日付ニューヨーク・タイムズ記事の抄訳)

159の国と地域が集う

気候変動との闘いの節目といわれているのが、2020年から実施される「パリ協定」だ。産業革命前からの世界の平均気温の上昇を2度未満で「余裕をもって」抑える努力を、2015年の国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で159か国・地域が誓った。

だが、各国は今、高く掲げた目標をどう具体的な政策やアクションに落とし込むか、苦心している。また中国に次いで温室効果ガス排出国2位の米国が、トランプ政権になってパリ協定からの離脱を表明したことは世界に衝撃を与えた。

では、2017年11月6~17日までドイツ・ボンで開催されている今年の第23回締約国会議(COP23)では、何が焦点となっているのだろう?

パリ協定の「ルール作り」

COP全体の目標は常に「深刻な地球温暖化を、今後数十年でどう食い止めるか」だ。

パリ協定施行後は、各国が自主的に温室効果ガス削減目標を打ち出し、5年ごとにそれを評価し合い、更新することになっている。だが、そうした約束だけではいまだ十分ではない。

日本や米国を含む多くの工業先進国の取り組みは軌道に乗っていない上、たとえ計画通りに進めても、現在の取り組み方では気温上昇幅は3度以上に達してしまう。このままではグリーンランドや南極の氷河が崩壊し、海面上昇が起き、熱波や干ばつといった異常気象が深刻化するリスクが高まる一方だ。

気温上昇幅を2度よりもかなり低く抑えるためには、各国がこれまでに打ち出している目標よりもずっと速いペースで、化石燃料使用による排出ガスを削減する必要がある。

ボンでは各国が2020年までに現在の取り組みをさらに強化し、パリ協定を実施するための詳細な「ルール作り」が課題となっている。このルール作りは2018年中に完了することとなっている。

各国に対策を強化させるには?

パリ協定の問題の一つとされているのは「あいまい」な点だ。

パリ協定は参加国全体の合意を促そうとしたために、対策案はおおむね各国の「自主性」に任されている。つまり各政府に対策の強化を強制することはできない。また現時点では、各国のデータの透明性や目標達成方法の公開の仕方にも問題がある。

ボンでは、参加国がそれぞれのアクションについてもっと積極的に責任を持ち、互いに協力したり圧力をかけたりしやすいよう、実施プロセスの正確さや透明性を向上させる方法が議論されるだろう。

離脱を表明した米国は?

米国はトランプ政権になってパリ協定からの離脱を表明したが、正式には2020年までCOPから脱退できないため、今回も少数の代表団を派遣している。

一方で、トランプ政権のスタンスとは異なり、パリ協定を支持する米国の州知事や実業家、環境保護団体などは会議への参加を継続し、自治体や企業ごとに努力を続ける方針で、温暖化対策をめぐる米国内の亀裂が浮き彫りになっている。

先進国と発展途上国の対立は?

各国の取り組みに対し、評価やプレッシャーを与える際の指針となる「ルールブック」作りでは、大きな議論が起きそうだ。例えば温室効果ガス排出量のモニタリング基準について、米国はこれまで、発展途上国も富裕国と同様の厳格な基準を採用すべきだと主張してきたが、中国とインドは先進国とは異なる基準を求めてきた。

また途上国は、クリーンエネルギーの使用を拡大したり、気候変動による国土荒廃に対処したりするためには、富裕国からの資金援助が必要だと主張している。

COP23 うまくいった場合、いかなかった場合

ベストなシナリオは、情報公開の透明性や気候変動ファイナンス(気候変動問題解決に必要な資金の調達)について進展があること。この場合は、米国の代表団がルールブック作りで貢献する可能性もある。

逆に米トランプ政権のパリ協定離脱表明が影響し、他の国までもが気候変動に対するグローバルな取り組みから手を引いてしまう可能性もある。あるいは、以前から続いている富裕国と貧困国の対立によって議論が行き詰ってしまう可能性もある。その場合、各国目標の引き上げを目指す次の山である2018年を前に協議が失速する恐れがある。

© 2017 The New York Times News Service
[原文:What's at Stake in the Bonn Climate Talks?/執筆:Brad Plumer]
(抄訳:Tomoko.A)