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フードビジネス激戦区NYの「食べる」を支える人々って?

仕事の本棚

フードビジネス激戦区NYの「食べる」を支える人々って?

冬のニューヨーク......想像しただけでドラマチックな印象を受けます。そして、NYは食の街としての顔も持っています。調査報道ジャーナリストであるアイナ・イエロフ著『NYの「食べる」を支える人々』 より、NYの食にまつわるビジネス・ストーリーについてご紹介します。

覚悟とチャレンジ精神がNYの食を支えている

私は完全にアップアップでした。そういう経験をすると、もう誰かの下で働いているんじゃないことを否が応でも実感させられます。与えられた仕事でもなければ、夢でもない。現実。それも自分に起こっている現実なのだと。

自分がボスになったら、すべて自分に降りかかってくる。トイレ掃除がされていなかったら自分でするし、ゴミ出しがされていなかったらそれも自分でやる。それが雇われシェフと経営者の違いです。経営者になるということは、昼も夜も、休日も、仕事に身を捧げるんです。

26ページより引用

日本では表参道と銀座に店を構える「ドミニクアンセルベーカリー」。クイニーアマンやクッキーショットが有名。おしゃれなスイーツ屋さんというイメージでしたが、意外にも創業者による泥臭いビジネス・ストーリーが語られています。

ドミニク・アンセルは、パリの老舗エピスリー「フォション」で、誰もが羨む重要な役職に就くも、NYに渡ってレストラン「ダニエル」にてパティシエとして6年間働きます。やがて、2013年に独立。ソーホーに自分の店を構えますが、それが「ドミニクアンセルベーカリー」です。

オープンした日に10人のお客さんが並んでいた光景を見てほっとしたのもつかの間、2、3日後、ニューヨーク・タイムズ紙に小さな記事が載ったことを機に、お客様が殺到しアップアップになったといいます。そして、新作開発に試行錯誤し、多くのヒット作が生まれます。

こんな展開は誰も想像していなかったけれど、ヒット商品にあぐらをかいてはいけないと彼はいいます。経営者として、すべてを引き受ける覚悟と、初心を忘れずに新しいことにチャレンジする精神。こんなメンタリティが、NYの食を支えているようです。

ケーキの女神、成功のコツは

ニューヨークのケーキの女神。ケーキのレオナルド・ダ=ヴィンチ。バタークリームの貴婦人。フラワー・ファッショニスタ。どれも彼女のことだ。これでも大きすぎるメガネがトレードマークの、このほっそりとした白髪の女性を賛美する言葉のほんの一部にすぎない。彼女の作るケーキはそのために結婚する価値がある、とまで言われる。シルヴィア・ワインストックは、ずっと早回しのような日常を送っている。中略

それでも彼女が一番好きなのは、ウェディングケーキだ。それは昔から変わっていない。

267ページより引用

シルヴィア・ワインストックは、1979年代に夫と別荘を建て、家族が出かけた後にお菓子を焼き続けたといいます。結局、家族が食べきれないくらいに作りすぎてしまい、近くのレストランに売りに行ったことが成功のきっかけであるというから驚きです。さらに、初めてウェディングケーキを作ったのは娘の友達のため。それがきっかけで注文が入るようになったのが「シルヴィア・ワインストックケークス」の始まりであるといいます。

ウェディングケーキをつくるにはプロセスが重要なのだとか。どのケーキもお客様へのコンサルティングをしっかりと行い、どんなものを求めているのかイメージを膨らませて作る。アメリカンドリームの波にしっかり乗りつつ、お客様の声に耳を傾ける。

すべての成功のもとは、ていねいなヒアリングとコンサルティングにあるようです。

『NYの「食べる」を支える人々』では、ほかにも様々なNYフードビジネスのストーリーが綴られています。「食べる」を支えるお仕事の方、もっぱら「食べる」が専門の方にも面白く読める一冊です。

NYの「食べる」を支える人々

著者:アイナ・イエロフ 発行:フィルムアート社定価:2,300円(税別)

photo by Shutterstock

ナカセコ エミコ

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