私たちは10年後、果たしてどんな働き方をしているのでしょうか。一部の職業が人工知能に代替されることもあって然り。しかし、その一方で、まだ見たこともない新しいビジネスが花開くのも確実でしょう。

未来予報株式会社著『10年後の働き方』 より、新しいビジネスから見える10年後の働き方について紹介します。

新ビジネスの予兆が詰まった「SXSW」

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SXSWはきわめて独自性の強いイベントです。一般のビジネス論では「次に何がトレンドになるか」を皆が予測して行動しますが、SXSWはもともとインディーズの音楽祭から始まったためか、根本的に異なるのです。他人の動きやトレンドは関係なく、起業家の思いが詰まった、武骨だけれどオリジナリティあふれる発想が集まっています。しかも10年先どころか50年先の未来の議論があちこちでされます。

9ページより引用

世界が大きく変わるときは、凡人の予測を大きく裏切るイノベーションが起きると著者はいいます。ポイントは、その予兆を見逃さないこと。つまり、小さな範囲で熱狂的な変化を起こしているものに、しっかりと注目していくことが大切なようです。

SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)は、アメリカテキサス州オースティンで毎年3月に開催される世界最大級のビジネスカンファレンス&フェスティバルです。最初は1987年にインディーズの音楽祭として開催。現在では、そこに映像、ITを加えた三部門のイベントとして展開されているのだとか。

2007年には、ツイッターがアワードを受賞。その後のブレイクのきっかけになったといいます。注目のイベントSXSWに注目することから、新ビジネスの予兆をキャッチできそうです。

新しい食料を作る職業

培養肉が本当に世界の食糧問題を解決するには、消費者の受け入れ態勢も必要でしょう。(中略)
今は培養肉と聞いても何となく気味が悪い、人工的に作られた肉なんて不安だ、と思う人が大半かと思います。(中略)

確かに、各地の食品工場を見学するのは楽しい経験で、培養肉への信頼感も高まりそうです。各地の工場が個性を競い、地方ごとにブランドが生まれるようになったら、やがては「培養肉マイスター」とでも呼ぶべき看板職人も登場するかもしれません。

30~31ページより引用

地球規模の課題の1つとして、人口増加にともなう食糧不足があげられます。2016年時点で世界の人口は約74億人ですが、2050年には約100億人に達する予測があるのだとか。

とくに深刻なのは肉などのタンパク質の不足であると著者はいいます。SXSWでは、すでに新しいタンパク源の供給を担う働き方に注目が集まっています。たとえば、アメリカのニューハーベストというNPOは、畜産ではなく、細胞の培養による肉の生産を研究しています。2030年には、培養肉が牛肉より安価になるという予測も。

もしかすると、近い未来には培養肉マイスターなどという職業が出てくるかもしれません。

人々がつながる場や哲学を作るデザイナー

地域の住民を巻き込み、今ある課題を解決しながら建物や街を作る「コミュニティデザイナー」という仕事があります。しかし、地域の課題には全員が納得できる解がないことも多く、結局は関係者全員が妥協できる落としどころを探す作業になりがちです。

「場」を作るには、課題解決型のアプローチだけでは不十分な場合もあります。人々がつながる根っことなる「哲学」をデザインする力が必要で、将来的には「フィロソフィーデザイナー」と呼ぶべき役割がもとめられると予想します。

160~161ページより引用

建築やコミュニティという観点にも、新しい働き方が必要になってきます。アメリカのデトロイトでは、財政破綻でコミュニティが崩壊した後に、活気あるスタートアップが集まったりと変化が生まれています。

たとえば、音楽のヒップホップをベースにして、博物館の入り口や空き地といった場所に、即席のパーティ会場や放送基地をつくる。そのような場をつくる試みに成功している団体もあるといいます。

魅力的な哲学がある場所に文化が生まれ、共感する人が集まってくる。これからは、建物や街にある課題をデザインし、人々がつながりうる哲学を作る職業が必要な時代になるのかもしれません。

10年後の働き方

著者:未来予報株式会社
発行:インプレス
定価:1,500円(税別)

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