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神サマだって性はあいまい。インドでゲイライツ求める動き [The New York Times]

The New York Times

神サマだって性はあいまい。インドでゲイライツ求める動き [The New York Times]

インド・ニューデリーの混雑した交差点をパレードが通る。「Azadi(自由を)!」とヒンディ語の掛け声をあげる人々。信号待ちのリキシャドライバーが興味深げに身を乗り出している。

毎年恒例となっているデリーのゲイパレードだが、今年はいつもにも増して賑やかだ。同性愛者の権利推進に向けて法律が改正される可能性が出てきたからだ。インド最高裁は2017年の8月、市民のプライバシーは憲法で保障されるとの判決を下した上で、同性愛者にも言及。「性的指向は本質的にプライバシーに関わることである」と追記したのだ。

植民地時代の法律から開放されよう

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数千人もの参加者で賑わったニューデリーのゲイパレード。2017年11月12日 (Rebecca Conway/The New York Times)

英国による植民地時代に制定されたインド刑法377条は、男性同士の性行為を違法としている。この法律を廃止しようと動いている弁護士たちにとって8月の判決は朗報だった。これを足がかりに、377条だけでなく性を巡る他の抑圧的な法律も覆していける可能性が出てきたのだ。これらには去勢を受け女装して暮らす男性に強制される登録制度や、夫婦間でのレイプは罪に問われない法律などがある。

ヒンドゥ教、ジャイナ教、仏教の経典などを紐解くと、性別が曖昧な神々は珍しい存在ではない。神話のなかで男性の神は女神へと姿を変えたりするし、妊娠する男たちも出てくる。

神話についていくつもの著書があるデブダット・パッタナイク氏は言う。「官能と快楽に関するあらゆることに罪悪感を抱いていた英国人は、この国にもそうした考え方を植え付けました」。英国人はまた、伝統的な性別越境者らを「犯罪者集団」だと決めつけたとパッタナイク氏は言う。

今日、多くのインド人が同性愛に反対するのは道徳的な理由からではなく、家族間を結びつける結婚制度を重要視しているからだ。

パッタナイク氏は次のように語る。「西洋には組織だった宗教的戒律があり、同性愛への憎しみもそこから来ています。それに比べインドでは性の捉え方はずっと曖昧です。唯一の問題が結婚で、性的指向はどうあれ、男性と女性が夫婦になるべきだと人々は考えているのです」。

女性の性について語れない社会

1861年に制定されたインド刑法第377条は、「男性、女性、動物に対して行われる、自然の秩序に反する性交渉」を違法とし、懲役10年の刑を課している。咎められるのは主に男性同士の性交渉だが、異性愛者同士でも女性器以外を使った性行為が罰せられることもあるという。

377条廃止を求める活動が本格的に始まったのは2001年のことだ。エイズ撲滅を目指すNaz基金の代表者、アンジャリ・ゴパラン氏が条項の違憲性を訴えたことがきっかけだった。

デリー高等裁判所が377条は憲法に反しているとの判決を下した2009年、彼女たちは一旦は勝利をおさめた。だが、2013年にはインド最高裁で再びこの条項の合憲性が認められ、活動家たちは落胆させられることになる。

8月のプライバシー権に関する最高裁の判決で、希望が見えてきたとゴパラン氏は語る。377条廃止に向けた控訴に対する判決が来年にも出される可能性がある。

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Naz基金の代表者、アンジャリ・ゴパラン氏。刑法第377条の違憲性を訴える活動を続けている (Rebecca Conway/The New York Times)

インド社会での同性愛差別は根強い。デリーやムンバイなどの都会でも、同性カップルはレストランへの入店を断られることがあるし、同性婚の実現などまだ考えられないとする人が多い。さらに、同性愛者の権利を訴える場でも、女性の存在感が足りない現状もある。

ゴパラン氏は言う。「女性の性については誰も語ろうとしません。一切議論されることがないのです」。

ジェンダーの問題については近年進歩もあった。2014年、最高裁による判決でトランスジェンダーの人々の権利が法的に認められ、彼らは第3の性を選べるようになった。

だが、社会意識はそう簡単には変わらない。ドラァグクィーンとして活動するロビン・シャルマさんは職場で女性用のトイレを使おうとして解雇されたという。Mr.でもMs.でもないMx.という敬称を使って欲しいというシャルマさんは「私の居場所はありません」と嘆く。

希望を語る若い世代

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ゲイパレードの後で、ステージに立つドラァグクィーンのロビン・シャルマさん (Rebecca Conway/The New York Times)

前途は多難だが、第10回目となるデリーのゲイパレードは明るいニュースに勢いづけられ、大いに盛り上がった。顔を隠すためマスクをつけた人も例年より少なかった。

参加者の一人、ニューヨーク生まれのアダム・ウィレムさん(22)はパレードの感想を語り、英語を話す教育を受けた階層が中心なのが少々残念だとしながらも、企業スポンサーに頼らない姿勢を評価した。「タタ(インドの財閥)、グーグル、フェイスブックなどのバナーを見かけないでしょう。オーガナイザーたちは敢えてそうしているのです」。

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数千人もの参加者で賑わったニューデリーのゲイパレード。2017年11月12日 (Rebecca Conway/The New York Times)

パレードは最終地点に到達。参加者たちがそれぞれの思いを語れるように設けられたステージの前に人々は集った。

群衆のなかに、パレードに参加するため1100キロ以上も離れたプーネからやってきたアシッシ・チョプラさん(22)がいた。レインボーカラーのサスペンダーを身につけ、母親のシィミ・ナンダさんの手を握っていた彼は、母親をじっと見つめて涙ぐんだ。「母さんには、どうしても一緒に来て欲しかったんです。いろいろと対立もありました。でも最後にはこうして来てくれた」。

シィミ・ナンダさんは言った。「まだよく分からないけれど、理解するように努力しています」。

© 2017 The New York Times News Service[原文:India's Gay Rights Activists Seize Momentum After Landmark Ruling/執筆:Kai Schultz] (抄訳:Tom N.)

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