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どうなるアカデミー賞? セクハラ蔓延ハリウッドは大波乱の予感 [The New York Times]

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どうなるアカデミー賞? セクハラ蔓延ハリウッドは大波乱の予感 [The New York Times]

大物プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタイン事件に端を発するセクハラ告発がやむ気配をみせないハリウッドで、アカデミー賞やゴールデングローブ賞、権威ある映画賞の選考準備が始まった。業界を揺るがす前代未聞のスキャンダルが賞レースに影響を与えることは間違いない。ワインスタインと親交があった映画人が、黒い影を払おうと躍起になる一方、セクハラで訴えられた俳優をはずす動きも加速。しまいには、アカデミー賞授賞式を取りやめてはという過激な意見も飛び出している。映画界最大のイベントはどうなってしまうのだろう?(以下、2017年11月29日付ニューヨーク・タイムズ記事の抄訳)

映画業界内部のスキャンダルの影響は必至

思い起こせば、昨シーズンはゴールデングローブ賞の受賞スピーチでトランプ次期大統領(当時)を痛烈に批判したメリル・ストリープにはじまり、イスラム教徒の入国禁止や差別主義者によるハラスメントを非難する声が映画賞の授賞式には渦巻いていた。だが、その会場にはワインスタインも出席し拍手を送っていたのだ。"怪物"が身内でないときは批判も楽なことを、ハリウッドは今、噛み締めている。

ワインスタインに対する怒涛のセクハラ告発(本人は同意なしの行為をあくまで否定している)が、今シーズンの各映画賞の選考に与えるインパクトの巨大さは確かだろう。しかし、ワインスタインが賞レースに残した足跡は今もなお残っているのもまた事実だ。

作品がノミネートされる時期にあわせて、センセーショナルな話題づくりで注目を集めるPR手法はワインスタインが導入したものだ。たとえば、ベネディクト・カンバーバッチが主演した『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』(2014)では、ワインスタインは同性愛行為禁止法で有罪になった4万9千人の人々の赦免を呼びかけるキャンペーンをはった。主人公のモデルとなったアラン・チューリングの遺族が、数十万人の署名を伴う陳情書をロンドンの英国首相官邸に届けたのは、オスカーの投票締め切り日の前日のことだった。映画業界では「ハーヴェイは今回、何をやらかすか?」と囁かれるのが毎年の恒例だったのだ。

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とどまるところをしらない怒りのセクハラ告発がアカデミー賞を揺るがす。2016年2月27日ロサンゼルスで撮影 (Patrick T. Fallon / The New York Times)

アカデミー賞有力候補は女性監督やマイノリティを扱う作品

ワインスタインは映画界を追放になった。だが、彼の協力者たち、かつてワインスタインの会社で働いていた人々は、ネットフリックスやワーナー ブラザース、ソニー・ピクチャーズなどでポストを得て、まだ業界に残っている。ワインスタインの恥ずべき行状は知らなかったと話す人もいるし、もうひとつ取り沙汰される、悪名高い彼のかんしゃくによるパワハラ被害にあったことを打ち明ける人もいる。

いずれにせよ、見て見ぬ振りをしていた人間が少なからずいるという思いは、今シーズンのオスカーの行方に暗い影を投げかけている。だからだろうか、今現在、アカデミー賞有力候補と目されている作品にヘテロセクシュアルの白人男性を扱ったものはほとんどない

目下のところ、下馬評の一番人気はロサンゼルス映画批評家協会賞作品賞に輝いた『Call Me by Your Name』で、ゲイであると公表しているルカ・グァダニーノ監督による、イタリアを舞台に2人の青年の恋を描いた作品。人種問題を絡めたホラー・サスペンス『ゲット・アウト』や、ニューヨーク映画批評家協会賞の作品賞受賞作で女優グレタ・ガーウィグの長編監督デビュー作『Lady Bird』も前評判が高い。それに続くのは、第二次大戦後のミシシッピで白人と黒人の人種を超えた友情を描く『Mudbound/マッドバウンド 哀しき友情』。監督のディー・リースはアカデミー賞監督賞にノミネートされる初めての黒人女性となる公算が強い。

しかし、どうしたってハリウッドを覆うハラスメント問題の重苦しい空気はぬぐえない。アカデミー賞前哨戦のスタートを切ったゴッサム・インディペンデント映画賞授賞式はどこか散漫な印象だったし、ガバナーズ・アワードではセクハラ・スキャンダルには一切触れられることがなく「異次元の世界で行われているような不自然さ」と評された。

ハラスメントで訴えられた人間を締め出す動き

一方で、ハラスメントで告発された人間との関わりを打ち消そうと急いでいる映画制作関係者も多い。俳優で脚本家のテイラー・シェリダンは自身のドラマからワインスタインの会社のロゴをはずし、リドリー・スコット監督はケヴィン・スペイシーが演じるジャン・ポール・ゲティ役をクリストファー・ブラマーに差し替えて、『All the Money in the World』を撮りなおした。

アカデミー賞授賞式そのものも影響はまぬかれない。前回のオスカー受賞者がプレゼンターを務めるのは恒例だが、セクハラ訴訟で罪状を認め示談にした主演男優賞のケイシー・アフレックが登壇するのかが注目されるところ。彼を式典から正式に締め出す請願運動も起きている。

ある評論家は、いっそのこと授賞式を取りやめて、開催予定日の2018年3月4日はハリウッドの"償いの日"に制定すべきだと主張する。どこまで本気で言っているのかはわからないが、残念ながら、まずあり得ないだろう。ハリウッドの辞書には償いという言葉がないだけではない。89年の長い歴史の中でアカデミー賞授賞式が中止になったことはただの1度もなく、3回の延期があるだけだからだ。ロサンゼルスが大洪水に見舞われた1939年と、マーティン・ルーサー・キング牧師が暗殺された1968年、そしてレーガン大統領暗殺未遂事件が起きた1981年である。

ワインスタインはハリウッド的には死んだも同然、だが、彼の被害者は生き残ってそこにいる。彼らを授賞式のステージに全員集合させよう。それこそが、ハリウッドで起きたことの真実を明るみにし、いかなるハラスメントも決して許さない意志表示となるはずだ。

©2017 The New York Times News Service[原文:How Can the Oscars Celebrate in Weinstein's Long Shadow? / 執筆: Cara Buckley](抄訳:十河亜矢子)

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